【アクション告知】

■ 霞ヶ関アクション (原則毎月19日に開催
 
  日時:8月19日(土) 
 18時30分~19時30分
   場所:首相
官邸前

   内容:抗議行動

■ 
新宿アクション (第4の土曜日開催に変更しました)
   日時: 8月26日 18時~19時   (開始時間を変更しました)
   場所: 新宿JR東口 アルタ前広場 (雨天決行)
   内容: 街頭宣伝


 第9回 新宿デモ (予告)    
   「子どもを被ばくから守ろう! 自分も、家族も!」 (仮称)
   日時: 11
月11日 
13時~ (14時デモ出発)

   場所: 新宿JR東口 アルタ前広場

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2012年5月31日木曜日

【裁判報告8】疫学的証明という原子力ムラの「方言」の見直しを迫った児玉龍彦氏の証言を提出

あなたの評決が子どもたちを救います。まだの方は今すぐ-->こちらから

1、一つのエピソード(七対一の荒野の決闘)
 児玉龍彦東京大学アイソトープ総合センター長は、昨年7月27日、国会で低線量被ばくの問題について参考人として証言したあと、昨年11月25日「第4回低線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループ」に呼ばれ話をしましたが、その顛末を、金子勝氏との共著「放射能から子どもの未来を守る」の中でこう紹介しています(181頁)

このワーキンググループは、これまでの原子力政策にかかわってきた、「低線量被曝はあまり問題ない」と言う医学者、専門家が7名出席していた。
 そのメンバーがあまりに、これまでの「低線量被曝は安全だ」と言う研究者に限られていることに、日本弁護士会連合会の宇都宮健児会長が批判の声明を発表しているほど、偏った人選であった。
 最初、ワーキンググループ出席依頼のあったときにはお断りした。メンバーを見たら、議論が平行線になるのは目に見えていたのである。

しかし、彼は、現在の中心テーマでお世話になっている人からのたっての依頼で断り切れず、参加することになりました。 以下は当日の報告です。

私は、本書で紹介したように、低線量被曝は遺伝子の切断を生み出すこと、それに対してヒトの細胞は、修復の仕組みが働きだすこと、だが修復のときに、大半の遺伝子は正常化するにもかかわらず、染色体の7番のようにエラーが起こることがあり、それががんに至ることを報告した。
 このゲノム科学の成果については、7人の反対側の委員からは誰も発言がなかった。

理由は単純明快です。
ゲノム科学は、それまでの恣意的な一部のデータによる統計学と違って網羅的、系統的であり、それがより正確であることに異論は挟めない
からです。その結果、どうなったかというと、

そこで反論は、膀胱がんの一点に集まった。
なぜなら、
 「チェルノブイリで膀胱がんが増えることは疫学的に証明されていない」
 からだというのです。

これに対し、児玉氏は、低線量被ばくから住民の健康を守るために何をなすべきか?という科学の原点に立ち帰って問題を論じようとしました。つまり、

私は、トロトラストの肝がんでも成人のがんの増加は30年たってようやく証明できるようになっている。成人の膀胱がんの増加は、チェルノブイリから25年しかたっていない現在ではまだ困難であろう。今、大事なのは、何十年もかかる疫学データすべてがそろうのを待つことではなく、公害問題で確立された「予防原則」にしたがって放射性物質を取り除き、住民の健康を守ることである、とくり返し述べた。

この「科学は誰のためにあるか?」という根本を問う児玉氏の問題提起に対し、原子力ムラの人たちは何と答えたか。

しかし、座長の前川和彦先生のひと言は、強圧的だった。
「疫学的データがないことを認めるのか。イエスかノーか!」 (183頁)

2、原子力ムラの掟「疫学的証明にあらずんば証明にあらず」がもたらした悲劇
 3.11以来、科学に問われている最大の課題は「低線量被ばくから住民の健康を守るために何をなすべきか?」です。
 それに対する児玉氏の見解の表明に対して、 原子力ムラの人たちが問うたのは
問題は「疫学的データがあるかどうか」
もっと端的に言えば「疫学的データがないことを認めるのかどうか。イエスかノーか」
です。
 これは、あたかも「平家にあらずんば人にあらず」「薩長にあらずんば人にあらず」 と同じ位の「疫学的証明にあらずんば証明にあらず」の態度です。

では、なぜ、彼らはこれほどまでに疫学的証明にこだわるのか。その最大の動機は単純明快です。
疫学的データはない。
     ↓
低線量の被ばくからこれこれの健康障害が発生したという証明はない。
     ↓
証明がない以上、安易に、これこれの健康障害の危険があると不安がるべきではない。
     ↓
わざわざ避難することも、何か積極的な対策を取ることも必要ない。

つまり、疫学的証明は 低線量被ばくから住民の健康を守るために何をなすべきか?」について、別に何もする必要がない、という結論を導き出すことができるアラジンの魔法のランプだからです(従って、話題が被ばくの危険性ではなく、原発の安全性となったとき、「安全性の証明」に関して、彼らは一転して、「疫学的証明」話法を語らない)。

例えば、疎開裁判の一審裁判所(福島地裁郡山支部)は昨年12月16日、14名の子供たちの避難の申立てを否定する判断を下した際、その最大の理由は、
100ミリシーベルト以下の被ばくでは健康障害について「実証的な裏付けがないこと」 (19頁末行)
でしたが、この「実証的な裏付け」とは疫学的証明のことを意味します。すなわち、裁判所の、子供たちの避難を認める必要がないという判断は、100ミリシーベルト以下の被ばくでは健康障害が発生するかどうか疫学的証明がないことを最大の根拠にしたのです。

しかし、児玉氏は、それはチェルノブイリの悲劇から何も学んでいないことだと指摘します。

1991年、ウクライナの学者が子どもに甲状腺がんが多発していることを発表しました、しかし、ソ連崩壊後、賠償責任のからむロシアの学者がまず異をとなえ、日本やアメリカの研究者は、「原発事故による低線量の被曝とがんとの因果関係はわからない」と懐疑的な立場をとりました。1986年以前のデータがないので、統計学的に有効ではないというのが理由です。124頁

つまり、米国、日本、及びロシアらの学者から「疫学的証明(統計学的なエビデンス)がない」という理由で取り上げられず先送りされました。その結果、どうなったかというと、

ようやく事故と病気の因果関係が証明されたのは、事故から20年たち、4000人の甲状腺がん患者が出たあとでした。
(児玉龍彦「内部被曝の真実」(幻冬舎新書)第三部チェルノブイリ原発事故から甲状腺がんの発症を学ぶ――エビデンス探索20年の歴史と教訓 参照)  

3、チェルノブイリの悲劇に対する2つの態度
このチェルノブイリの悲劇に対して、これまで次の2つの態度が存在しました。
①.ひとつは、これが悲劇であることを認めようとせず、そこから何ひとつ学ぶことはないとする態度。
従って、この態度を取る人たちは、福島でも、同様の悲劇をくり返すことを何とも思わない人たちです。
②.もうひとつは、児玉龍彦氏のように悲劇であることを認め、その悲劇をくり返してはならないと肝に銘じ、この悲劇から最大限、教訓を学び取ろうとする態度。

①の典型が、2004年のドキュメンタリー「真実はどこに?」に登場するIAEAの代表の次の発言です。
我々は現在何を知っているのか?
実は新たな情報など何も無いのです

こで賞金100万ドル級の難問を一つ
予想できない影響は測定もできないのに、本当にあると言えるのか

よくある質問です

私の回答はこうです
これは解決不能な科学認識論の問題で、直接理解する術はない
私達は知らないのです(12分~)

つまり、国際原子力ムラや日本の原子力ムラの人たちに共通する態度です。

②の典型が、上記のドキュメンタリー「真実はどこに?」に登場するヤブロコフ・ネステレンコ報告の作者アレクセイ・ヤブロコフ、ワッシーリ・ネステレンコ、心臓病などがん以外の疾患で画期的な発見をしたユーリ・バンダジェフスキーECRR(欧州放射線リスク委員会)科学事務局長のクリス・バズビー、WHOの欺瞞性を告発するミシェル・フェルネクスたち、日本では京都大学原子炉実験所の熊取六人衆今中哲二、小出裕章各氏ら)、市民と科学者の内部被曝問題研究会(肥田舜太郎、沢田昭二、矢ヶ崎克馬、松井英介各氏ら)、チェルノブイリで5年半、甲状腺疾病の治療にあたった菅谷氏たちです。 

4、疎開裁判の真実の証明に対する正しい態度
では、前代未聞の疎開裁判において、真実(低線量被ばくによる健康障害の発生)に関する証明はどうあるべきなのでしょうか。
過去に前例がないときの基本的な態度は「原点に帰る」ことです。今回も、法と裁判の原点に帰るだけです。
言うまでもなく、法の根本理念は「正義・公平」です、紛争を解決する裁判の極意は「臨機応変」です。 つまり、法と裁判の原点とは正義・公平にかなった臨機応変の態度を発見することです。それは「証明」、ここでは「低線量被ばくによる健康障害の発生」に関する証明でも妥当します。言い換えれば、いかなるケース(紛争)において、いかなる証明が用いるのが適切かは、全て、正義・公平の理念に照らし、臨機応変に決定すべき問題です。
従って、「疫学的証明にあらずんば証明にあらず」を金科玉条のごとく崇める態度は、少なくとも法と裁判の原点にとって無縁です。
第一、法は、証明を疫学的証明に限るとはどこにも書いていません。それどころか、最高裁は、原因行為と健康障害との因果関係の証明に関し、次のように述べています。

訴訟上の因果関係の立証は、1点の疑義も許されない自然科学的証明ではなく、経験則に照らして全証拠を検討し、特定の事実が特定の結果発生を招来した 関係を是認しうる高度の蓋然性を証明することであり、その判定は、通常人が疑いを差し挟まない程度に真実性の確信を持ちうるものであることを必要とし、か つそれで足りる」(1975年10月24日最高裁判決「東大病院ルンバール事件」) 

5、疎開裁判における具体的な証明方法
 疎開裁判が提起する問題は、長期間を要する大量のデータの収集を待ってから解決すればよいというゆうちょな問題ではありません。全てを差し置いてでも、復興の中で真っ先に取り上げられなければならない差し迫った最優先課題です。
 「証明方法」も、この疎開裁判の本質に踏まえて、正義・公平の理念に照らし、臨機応変に決定すべきです。
 この点、児玉氏は、疫学的証明に代わる別な証明方法を提唱しており、ここでは次の2つを取り上げます。
①.事実論
 児玉氏が「低線量の被曝は避けたほうがいいと自信を持って言える」(放射能から子どもの未来を守る185頁)と表明するとき、その根拠となっている次の科学的知見です。
――現代は、何も疫学的証明ばかりに頼らなくても、最先端の分子生物学(ゲノム科学)の成果により低線量被ばくによるがん発生の基本的なメカニズム(放射線で切断された遺伝子が再結合される際の修復のエラー(ミス)から起こることが解明されているからである。小児甲状腺がんであれば、染色体7番のq11という領域で放射線で切断された遺伝子の修復ミスで発生することが明らかにされている(同上.124~125頁・185頁)。

これは昨年9月、疎開裁判に提出した矢ヶ崎意見書の12頁に詳しく述べられていることです。

②.法律論
 もうひとつが、上記の科学的知見(事実論)を踏まえた次の社会的、倫理的な価値判断です
――「今、大事なのは、何十年もかかる疫学的データすべてがそろうのを待つことなく、公害問題で確立された「予防原則」にしたがって放射性物質を取り除き、住民の健康を守ることである」(同上182~183頁)。

児玉氏は説明していませんでしたが、この「予防原則」で最重要なものが「立証責任の転換」と言われるものです、つまり、市民が「被ばくと健康障害との間に因果関係があること」を証明するのではなく、市民から訴えられた行政や加害企業の側に「被ばくと健康障害との間に因果関係がないこと」を証明する責任が転換し、その証明ができない限り、因果関係が認められることになるというものです。
 これが認められると、昨年12月16日の一審裁判所(福島地裁郡山支部)の判断もあべこべになります。なぜなら、たとえ、
100ミリシーベルト以下の被ばくでは健康障害について「実証的な裏付けがないこと」 (19頁末行)
を前提にしても、立証責任の転換により郡山市が、「100ミリシーベルト以下の被ばくでは健康障害がないこと」について、立証する責任があるため、それができない限り、100ミリシーベルト以下の被ばくで健康障害が発生するとみなされて、子供たちの避難を認める必要がある、という正反対の結論が導き出されることになるからです。
これが、正義・公平の理念に照らして臨機応変に決定したときのやり方というものです(※)。

(※)さらに言えば、そもそも疎開裁判を申立てた子どもたちは福島原発事故の純粋な被害者です、なおかつ科学技術の素人です。これに対し、疎開裁判の相手方(郡山市)は福島原発事故の加害者であり科学技術の専門家集団を擁する国と共に「子供たちを安全な環境で教育を実施する憲法上の責務」を負っている者です。このような事情にある当事者同士の裁判で、申立人である子どもたちに、被ばくと健康障害との間に因果関係があることを立証する責任があると、一審裁判所の判断のように民事裁判の一般論を機械的、形式的に当てはめて、果してそれで済むのでしょうか。これが、法の根本理念である正義・公平に反するのは自明です。

のみならず、私たちは、既に、チョルノブイリ事故による放射能汚染と健康被害という甚大な犠牲の上に手にした貴重なデータとの比較調査から、福島の未来を予見することができます。それについては、既に裁判所に提出した矢ヶ崎意見書3頁以下、松井意見書11頁以下、バズビー論文松崎意見書等で明らかにしています。

6、まとめ
 以上から、原子力ムラや一審裁判所の判断のように、「被ばくと健康障害の間に疫学的証明がない」というひとことをもって、被ばくと健康障害の間に因果関係がないと結論を引き出すことはできません。
 子供たちの救済という目の前の差し迫った問題を解決するためには、
①.事実の次元で、分子生物学やチョルノブイリ事故に関するデータとの比較調査といった成果を活用して(事実的)因果関係の解明に努め、
②.さらにそれを基礎として、法的次元で、正義・公平や予防原則の観点などの法的価値判断を踏まえて、(法的)因果関係について最終的な結論を引き出す必要があるのです。

 (※)以上を、今回の抗告人準備書面(1)第1、はじめに、児玉氏の証言その他の証拠で主張・立証しました。

2012年5月29日火曜日

【裁判報告7】郡山市の学校給食は安全か?をめぐる疑問点を提出

あなたの評決が子どもたちを救います。まだの方は今すぐ-->こちらから

1、郡山市の学校給食の現状
郡山市の小中学校の給食では、従来から「地産地消」をうたって、福島県産の食材(地元産新米「あさか舞」など)が積極的に使用されています。
ところで、3.11福島原発事故を受け、昨年度の新米について、収穫前の予備検査と収穫後の本検査を実施し、放射性セシウムの暫定規制値(500Bq/Kg)を上回る新米はなかったとして、福島県は昨年10月13日、安全宣言を行いました。しかし、翌11月16日、福島市の一部の地域の新米から暫定規制値を上回る値が検出され(福島県の公表資料)、郡山市の一部の地域(大槻町、喜久田村、富久山町、御舘村、赤津村、河内村、日和田町)も含めて緊急再調査を行うこととなりました(福島県の表資料①公表資料②)。
しかし、福島原発事故により食品の放射能汚染が懸念されているにも関わらず、郡山市の教育委員会は、昨年11月8日より、地元産新米の使用を開始し、県による上記緊急再調査の際にもいったん中断することもせず、地元産新米の使用を続けてきました。
これに対し、私たちは、疎開裁判で、
それでは学校給食の安全性が確認されたとは到底言えない抗告理由書24頁ウ)
と主張しました。
これに対し、郡山市は、次のように答弁してきました。
放射性物質の検査を実施しており,特に,給食米については,出荷時におけるJAの検査と,相手方郡山市の二重の検査を行っていることから,危険性はない(答弁書7頁)

しかし、そのような検査で本当に「危険性はない」と言えるのでしょうか。

2、郡山市の学校給食の問題点
(1)、武本報告書2~4頁甲137号証)
この点、郡山市の学校給食の運営について情報開示手続により実態を把握した武本泰さんの報告書によれば、次の問題点が指摘されています。
①.学校給食の基本原理
本来、郡山市は学校設置者として子どもに対し、「教育を受けさせる憲法上の義務」を負っており、その義務の一貫として「安全な環境で子どもに教育を受けさせる義務」を負っていて、その具体化として、子どもに安全な学校給食を提供する義務があることは言うまでもありません。 ましてや、子どもと保護者の側に学校給食の食材を選択する機会も自由も与えられていないのですから、郡山市は一層高いレベルで、学校給食の安全性の確保のための措置、そして十分な検討・審議や保護者に対する説明責任などの適正手続が求められることになります。

②.適正手続の欠落
ところが、3.11福島原発事故により食品の放射能汚染が懸念されている最中、郡山市教育委員会は、昨年11月8日より地元産新米の使用を決定する際、教育委員会内部で慎重に検討・審議した文書類が存在しませんでした。
のみならず、その8日後の同月16日、福島市などで暫定規制値(放射性セシウム500Bq/Kg)を上回る新米の放射能汚染が発覚し、県による緊急再調査が開始され、その際、郡山市の一部の地域の水田も緊急再調査の対象地域となりました。当時、食品の放射能測定器も十分に配置されておらず、保護者の間にも動揺が広がっていました。それにもかかわらず、郡山市教育委員会は、地元産新米を学校給食に継続して使用するかどうかをめぐって、教育委員会内部で慎重に再検討・審議した文書類が存在しませんでした。つまり、 漫然と、地元産新米の学校給食での使用を継続たのです。
このように、、郡山市教育委員会は、本来、学校給食の安全性の確保のために高いレベルの十分な検討・審議が求められているにもかかわらず、そのような適正手続を果した形跡がありません。

 ③.説明責任の欠落
さらに、この「十分な検討・審議という適正手続の欠落」に対応するかのように、郡山市(教育委員会と市議会)は次の通り、「保護者に対する説明責任」を放棄してきました。
3.11原発事故以来、学校給食に関して、郡山市から小中学校の児童・生徒の保護者に対する連絡は、殆ど文書によるものだけでした。
そのため、学校給食の安全性に不安を抱く保護者の間から、学校給食の安全性確保に関する説明の機会を求める声があがり、昨年12月、『学校給食について、保護者などに対面形式での説明や質疑応答の機会を定期的に設けること』を求める請願書を郡山市議会に提出しました。
しかし、12月16日、市議会は、市民のこのつつましい請願すら反対多数(賛成10、反対29)で否決し、教育委員会が最低限の義務である説明責任を果すことは必要ないと「行政に優しい」立場を表明しました。否決の主な理由は、
(1)、定期的に説明会を開くことで行政の負担が増える、
(2)、定期的にすることで不安を煽るのでは、
(3)、日常業務の中で対応すべき、
です(以上については、甲108号証のブログ記事を参照)。  

④.検査体制の不備
地元産新米の放射性セシウム濃度の検査体制について、次の問題点がありました。
(1)、当初、米販業者(JA)が中心となって行っていて、その際、安全性を確保するために検査方法の詳細等について米販業者との間で取り交わした文書も存在せず、結局、検査は米販業者に丸投げであること、
(2)、検査方法は、 30Kg入りの玄米10~42袋からサンプリングして1検体として測定しており、各袋毎の検査を行っていないことが示唆されること、
以上から、検査方法そのものに対する信頼性が担保されているとは到底認められません。 

⑤.地元産新米の購入価格をめぐる不可解な動き
開示文書から、学校給食で使用する地元産新米の購入価格について、昨年度は一昨年度より1キログラム当たり15円高い価格で購入することで市教育委員会が郡山市農協と合意していたことが判明しました。
しかし、その開示文書(各小中学校長宛てに出された購入条件に関する通知)の日付である1月24日からわずか1週間も経たないうちにJA全農が福島県産米の販売価格を60キログラム当たり500円値下げしたとの報道がなされました(日本農業新聞1月31日版参考)。
このような地元産新米の購入価格をめぐる不可解な動きから、郡山市の学校給食が販売不振に陥っている地元産新米の受け皿になっている実態が懸念されます。

(2)、緊急再調査の問題点
  昨年11月、福島市で暫定基準値を上回る放射線量検出に端を発して、福島県が新米の緊急再調査を実施しましたが、その際、郡山市の一部の地域(大槻町、喜久田村、富久山町、御舘村、赤津村、河内村、日和田町)も含まれたため、その検査結果について、郡山市のホームページは次の通り、報告しました(郡山市の米の放射性物質緊急調査の結果について)。
郡山市の米からは、食品の暫定規制値を超えるものは検出されておりません。

しかし、一言、こう報告するだけで、いったい何ベクレル/Kgだったのか測定値を明らかにしようとしません。そのページで紹介されている福島県の文書「米の放射性物質緊急調査の結果(第17報)について」にも、測定値は明らかにされていません。
この姿勢は、緊急再調査の中で、福島県の測定で郡山市の農家2戸の検体から、108ベクレル/Kg(1月6日測定)と159ベクレル/Kg(同16日測定)が検出され、後に「検出されず」に訂正された問題(福島県水田畑作課の報道用文書「郡山市産玄米の放射性物質緊急調査測定結果の一部訂正について」〔甲140号証〕)でも、郡山市保健所は、測定した値をついに明らかにしようとしませんでした。
こうした情報非開示の姿勢は終始、首尾一貫していて、これが郡山市民の終始、首尾一貫した不信感を形成する最大の原因となっているのです。


(3)、市民による放射能測定の結果
 他方で、3.11以後、「市民の、市民による市民のための」自主的な放射能測定が始まりました。郡山市にも、昨年8月19日、市民放射能測定所の「にんじん舎」 (郡山市片平町字中町 にんじん舎かたひら農場中町作業所 内)が開設され、そこで明らかにされた、放射性セシウムが10ベクレル/Kg以上の可能性がある米は以下の8件です(本年5月22日現在。元のデータは->こちらを参照)。


 野菜についても、郡山市の上記「にんじん舎」の測定により放射性セシウムが10ベクレル/Kg以上の可能性があるものとされたものは9件ありました(本年5月22日現在。元のデータは->こちらを参照)。

(4)、まとめ
以上から、「地産地消」の郡山市の学校給食に、これら10ベクレル/Kg以上と同様の放射能に汚染された米や野菜が提供される可能性は否定できません。

3、郡山市から予想される反論とその吟味
これに対しては、郡山市から次の反論が予想できます。
仮にそうだとしても、それらの値はいずれも米や野菜の安全基準である100ベクレル/Kgよりはるかに小さい値だから問題ない

しかし、
【裁判報告6】食品・水の安全基準の基本原理は「最善を尽くすこと」であって、「がまん量」ではないことを明らかにした証拠を提出
で述べましたが、3.11原発事故以来、食の安全基準として導入された基準値は従来の食の安全の基本原則とは相容れない「がまん量」(リスク-ベネフィット論)に立脚するもので、その考え方は食の安全基準として本来間違ったものです。
東京大学アイソトープ総合センター長の児玉龍彦氏が喝破した通り、危機管理の基本とは、危機になったときに安全基準を変えてはいけないということ」であり、この原理に帰って、もっぱら「人体に悪影響を示さない量(無毒性量)」からスタートする本来の食の安全の基本原則を立脚すれば、「安全な被曝量というものはない」放射性物質はゼロでなければならないものです。
従って、《100ベクレル/Kgよりはるかに小さい値だから問題ない》では到底、済まないのです。

この意味で、とくに放射能に感受性の高い子どもたちは、放射性物質ゼロの安全な食物が確保できる環境を実現することが緊急の課題です。
この点でも、疎開措置を即刻講ずることがこの緊急課題の最も明快な解決方法であることは改めて言うまでもありません。

以上、子どもたちに迫っている危険な事態を、現実から目をそらさず、事実(科学)の倫理(人権)の基本原則に立ち帰って抜本的に解決しようと考え抜けば、解決方法は自ずと明らかな筈です。

2012年5月28日月曜日

【裁判報告6】食品・水の安全基準の基本原理は「最善を尽くすこと」であって、「がまん量」ではないことを明らかにした証拠を提出

あなたの評決が子どもたちを救います。まだの方は今すぐ-->こちらから

2、食品・水の安全基準の基本原理は「がまん量」(武谷三男)ではない
(1)、食品・水の安全基準をめぐる3.11以後の混乱とその原因
3.11以後、新たに、食品・水の安全基準値が定められ、その値をめぐって混乱が続いています。しかし、その混乱の最大の原因は、従来の食品・水の安全性の基本原理に対し、それとは本来相容れない、全く異質な考え方を無理矢理持ち込もうとしたからで、「無理が通れば道理が引っ込む」のは当然です。

では、 食品や水の安全性に関する従来の考え方とは何か。
それは、安全な食品や水を提供するために「最善を尽くすこと」です。
例えば、食品添加物の許容量を出すために以下のような方法を取ります。

さまざまな動物を使って安全性試験を行い、各試験におけるその動物に悪影響を示さない量(無毒性量)を求めます。
 次に、各試験の無毒性量のうちで最も低い無毒性量をもとに、一日摂取許容量(ADI※1)を設定します。ADIは、『無毒性量÷安全係数※2(通常100)』で算出されます。》(甲122号証。食品安全委員会作成「食品添加物のリスク評価を考える」1頁中段)

ここで、「動物に悪影響を示さない量(無毒性量)」とは、「実験動物が一匹も健康被害を起こさない投与量」のことを意味します。言い換えれば、実験動物で一匹でも健康被害を起こすような投与量を基礎とすることは許されず、この無毒性量を元にして、さらに念には念を入れて、安全係数として100で割って許容量を導き出すのです。すなわち、もっぱら食品添加物が人体に被害を与えないことだけを考え、そこから許容量を導き出す。これが食品の安全基準値の基本原則です。

これに対し、放射線の許容量はその基本原理が全く異なります。放射線の許容量とは放射線の利用によってもたされた利益を一方においた上で、その利益のためにどれくらいの被害をがまんできるか、その「がまん」の限度として許容量が決められるからです(それゆえ、物理学者の武谷三男は放射線の許容量を「がまん量」と呼びました〔武谷三男編「原子力発電」(岩波新書)14~15頁参照〕)。
「がまん量」論とは、放射線による被害(リスク)とこれによりもたらされる利益(ベネフィット)という対立し衝突する2つの要素を天秤にかけてどこかで折り合いをつけるものです。別名、「リスク-ベネフィット論」のことであり、ICRPも1965年勧告でこの立場を採用しました(甲12号証の4。中川保雄「放射線被曝の歴史」第7章「核実験反対運動の高まりとリスク-ベネフィット論」参照)。

(2)、 食品・水の安全基準の従来の基本原理を鏡にして眺めた3.11以後の基準値
その意味で、食品や水の安全性について定めた食品衛生法や水道法に、3.11以前に、放射能に関する定めがなかったのは当然です。なぜなら、「どんなに低線量の被ばくであっても人体に悪影響を及ぼす」ものであることは今日の科学的知見の到達点ですから、たとえどんなに低線量の被ばくも「無毒性量」と言うことはできず、安全な食品や水として許容できないからです。

にもかかわらず、3.11以後、新たに、政府は食品・水の安全基準値を定めました(放射性セシウムにつき「一般食品」は1 Kg当たり100ベクレル、水道水は10ベクレル)。これは何を意味するか。厳密に言えば、それは、許容量ゼロからの安全基準値の引き上げに該当します。
従って、先ほどの【裁判報告5】の

基本原則2:安全基準値の変更が許されるのは、「安全性に関する重大な知見があったときだけ」「安全についての新しい知見が生まれた」(甲120号証。児玉龍彦VS金子勝「放射能から子どもの未来を守る」157頁)ときだけ。

が適用されます。つまり、食品でも水でも、安全基準値の変更が許されるのは、「安全についての新しい知見が生まれたとき」だけです。しかし、食品に関して、水に関して、3.11以後、なにか「安全についての新しい知見」が明らかにされたでしょうか。科学雑誌 ネイチャーやサイエンスでもどこでもいいですが、どこに、それを明らかにする画期的な論文が発表されたのでしょうか。
何ひとつ明らかにされてないのではないか。もしそうなら、政府のこの間の食品・水の基準値の変更は、食品の安全に関する基本原則2を否定したものです。

また、食品・水の安全基準値の本来の基本原則からすれば、もっぱら放射能が人体に被害を与えないことだけを考え、そこから許容量を導き出すことになります。従って、食品でも水でもゼロベクレルが本来の安全基準値です。それを「安全についての新しい知見」もなしに、引き上げることができるとしたら、それは唯一、食品・水の安全基準値に関する基本原理を、従来のそれを捨て、放射線による被害(リスク)を「がまん」しろという「がまん量」に転換したからと説明するしかあり得ません。
食品・水の安全基準値の基本原理に関するこれまでの何十年の歴史を一挙に失うことになるような、そんな基本原理の大転換を、3.11以後のドサクサまぎれに乗じて、やってよいものでしょうか。

(3)、まとめ
以上から、 3.11以後、政府の食品・水の安全基準値の定めは、
①.「最善を尽くす」という従来の基本原理を否定して、「がまん量」という相容れない基本原理を導入するものであり、なおかつ
②.安全基準値の変更に関する基本原則2を否定して、「安全についての新しい知見」に拠らないで安全基準値を変更したものであり、
この2点において、これもまた、膨大な市民を極めて危険な状態に陥れる重大な侵害行為=「人道に関する罪」(※)と言わざるを得ません。

(※)「国家もしくは集団によって一般の国民に対してなされた謀殺、絶滅を目的とした大量殺人、奴隷化、追放その他の非人道的行為」のことで、ジェノサイド、戦争犯罪とともに「国際法上の犯罪」の1つとされる。

以上を、今回の抗告人準備書面(1)第1、はじめに、食品安全委員会の資料その他の証拠で主張・立証しました。

【裁判報告5】3.11以後の政府三大政策の1つ「様々な基準値を上げること」の誤りをただした児玉龍彦氏の証言を提出

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1、安全基準値の変更はいかなる場合に許されるのか
周知のとおり、3.11原発事故以来、政府が我々市民にしてきた政策は、要するに次の3つです。
「情報を隠すこと」「事故を小さく見せること」「様々な基準値を上げること」
 つまり、原発事故の加害者として徹底した責任追及されるのを予防することに全精力が注がれました。
 では、本来、どのような理由に基づいてなら「安全基準値を上げること」が許されるのでしょうか。
 それをズバリ証言したのが児玉龍彦東京大学アイソトープ総合センター長です。
 「危機管理の基本とは、危機になったときに安全基準を変えてはいけないということです。安全基準を変えていいのは、安全性に関する重大な知見があったときだけ」である(昨年11月25日「第4回低線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループ」での児玉龍彦氏の発言〔21分~〕)
 つまり、
基本原則1: 危機になったときに安全基準を変えてはいけない。
基本原則2:安全基準値の変更が許されるのは、「安全性に関する重大な知見があったときだけ」「安全についての新しい知見が生まれた」(甲120号証。児玉龍彦VS金子勝「放射能から子どもの未来を守る」157頁)ときだけ。

 為政者は、「安全についての新しい知見」がないにもかかわらず、そのときどきの自分たちの都合で安全基準を変更することは許されません。そのようなことをすれば、膨大な数の市民を危険な状態に陥れる重大な侵害行為=「人道に関する罪」(※)と言わざるを得ません。

(※)「国家もしくは集団によって一般の国民に対してなされた謀殺、絶滅を目的とした大量殺人、奴隷化、追放その他の非人道的行為」のことで、ジェノサイド、戦争犯罪とともに「国際法上の犯罪」の1つとされる。

しかるに、政府は、3.11以来、様々な口実を設けて、放射能に関する安全基準を変更してきました。
原発作業者の緊急時被ばく限度(100ミリシ-ベルト→250ミリシーベルト)しかり、
学校校庭の安全基準値(年間1ミリシ-ベルト→20ミリシーベルト)しかり、
廃棄物の安全基準値(放射性セシウムにつき1Kg当たり100ベクレル→8000ベクレル)しかり、
食の安全基準値(食品衛生法にも水道法にも定めナシ→放射性セシウムにつき「一般食品」は1 Kg当たり100ベクレル、水道水は10ベクレル)しかり。
 

むろんそれらの変更にあたっては、優秀な官僚たちが作文した立派な理由がつけられています。しかし、ここで肝心なことは児玉龍彦氏の証言通り、それが安全についての新しい知見が生まれた」からかどうかの一点にあります。この点、どれを取っても「安全についての新しい知見が生まれた」からというものは一つもありません。あれこれ御託を並べているが、すべてそれ以外の説明ばかりです。

例えば、いま、郡山市の大問題の1つである「放射能汚染土壌等を埋めた市内の仮置き場」問題で、放射能汚染土壌等を仮置き場に埋めることができる基準値として放射性セシウム濃度が8000ベクレル/Kg以下とされていますが、これは昨年6月に、それまでの100ベクレル/Kg以下が80倍にアップされたものです。
この基準値の引き上げについて、児玉龍彦氏は次のように述べています。

僕は長らくJ放射性物質にかかわってきましたが、1ミリシーベルト以上を誰かに被ばくさせたら始末書を書きました。100ベクレル以上のものを出してしまったために、東京大学の大学評価がワンランク下げられたこともあります。これらの基準は、いつから変えても大丈夫となったのでしょう。児玉龍彦VS金子勝「放射能から子どもの未来を守る」156~157頁)

また、徳島県はホームページで次のように述べています。

放射性物質については、封じ込め、拡散させないことが原則であり、その観点から、東日本大震災前は、IAEAの国際的な基準に基づき、放射性セシウム濃度が1kgあたり100ベクレルを超える場合は、特別な管理下に置かれ、低レベル放射性廃棄物処分場に封じ込めてきました。(クリアランス制度)

 ところが、国においては、東日本大震災後、当初、福島県内限定の基準として出された8,000ベクレル(従来の基準の80倍)を、その十分な説明も根拠の明示もないまま、広域処理の基準にも転用いたしました。(したがって、現在、原子力発電所の事業所内から出た廃棄物は、100ベクレルを超えれば、低レベル放射性廃棄物処分場で厳格に管理されているのに、事業所の外では、8000ベクレルまで、東京都をはじめとする東日本では埋立処分されております。)

 ひとつ、お考えいただきたいのは、この8000ベクレルという水準は国際的には低レベル放射性廃棄物として、厳格に管理されているということです。

 例えばフランスやドイツでは、低レベル放射性廃棄物処分場は、国内に1カ所だけであり、しかも鉱山の跡地など、放射性セシウム等が水に溶出して外部にでないように、地下水と接触しないように、注意深く保管されています。」(環境整備課からの回答

従って、
原発作業者の緊急時被ばく限度を100ミリシ-ベルトから250ミリシーベルトに引き上げた措置も、
学校校庭の安全基準値を年間1ミリシ-ベルトから20ミリシーベルトに引き上げた措置も、
廃棄物の安全基準値を放射性セシウムにつき1Kg当たり100ベクレルから8000ベクレル引き上げた措置も、
いずれも、安全基準の変更に関する基本原則2を踏みにじったもので、人々を途方もない危険な状態に置こうとする重大な侵害行為=「人道に関する罪」にほかなりません。

従って、政府は、すみやかに、 安全基準の変更に関する基本原則1(危機になったときに安全基準を変えてはいけない)に立ち返り、3.11以前の安全基準値に戻って市民の生命・健康・安全に努めるべきです。
 その意味で、疎開裁判で、昨年12月、一審裁判所は、避難を認めない結論(決定)の根拠の1つとして「学校校庭の安全基準値を年間1ミリシ-ベルトから20ミリシーベルトに引き上げられた」ことを持ち出しましたが(19頁)、これなぞもってのほかというほかありません。

食の安全基準値の変更については、次の記事で解説します。

【裁判報告4】いまだデータも対策も公開しない郡山市内小学校のホットスポット情報を提出

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5月8日の記事でお伝えした通り、郡山市は教育委員会が、本年1月23日より、ひそかに市内の小中学校でホットスポットの測定を週1回のペースで実施していました。
今回、一市民の情報開示手続によりこの事実を突き止め、5月6日、緊急の記者会見を開いた結果、不十分ながらこの問題は新聞等で報道されました(但し、東京新聞特報部は、5月17日、この問題で特集を組みました)。

にもかかわらず、 郡山市は、その後も、郡山市内小中学校のホットスポット情報を公開しないばかりか、その対策も公表しません。
小中学校の敷地内のホットスポット問題という重大な問題は、依然、闇の中にしまわれたまま、まさしく数百年前と同じく、市民は「依らしむべし、知らしむべからず」のままです。

他方で、 郡山市は、本年3月23日、昨年5月から実施してきた屋外活動を3時間に制限するルールを4月から解除すると発表しました。その2日前に起案し、前日に決裁をした「屋外活動制限解除について(伺い)」(市民が入手した開示文書)1頁によれば、解除の第1の理由として、
除染等により学校が最も安全な場所のひとつになっていること
をあげています、郡山市内小中学校に深刻なホットスポット問題なぞ存在したこともなかったかのように何食わぬ顔をして。しかし、子供たちがこれを知ったら、「それは正真正銘のウソツキだ」と言うのではないでしょうか。

以上の問題とホットスポット情報を、今回、仙台高等裁判所に主張し、証拠を提出しました。

また、郡山市内小学校のホットスポット問題と屋外活動制限の撤廃問題の詳細については、
2012年5月8日火曜日
【速報】1年1ヶ月後に初めて明るみにされた郡山市内小学校のホットスポットの一端 
をご覧下さい。

(※)以上の詳細は、このホットスポット問題に関し郡山市が公開しない公文書を情報開示手続により入手した武本泰さんが作成し、証拠として提出した報告書――情報公開制度を通してみえてくる郡山の現状について――第3(4頁以下)を参照ください。

2012年5月27日日曜日

【裁判報告3】放射能汚染土壌等を埋めた郡山市内21ヶ所の仮置き場マップを提出

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郡山市は、昨年11月から「郡山市線量低減化活動支援事業」として、市民協働といううたい文句で市民による除染活動を積極的に推奨しました。当該事業では、地域の自治体やPTA単位等で通学路の除染を行い、これまでに約400団体が参加しました。

問題は、この除染に伴って生じた放射能汚染土壤等の処分(廃棄)です。

昨年10月27日午後、郡山駅西口の植え込みで80μSv/h(部分的には120μSv)の放射線検出というニュースが報じられましたが、郡山市の通学路にはこうしたホットスポットが存在する可能性があり、通学路等の除染によって発生した放射能汚染土壤がどれほど高濃度なものであるかは測定してみないと分かりません。
しかし、現実には、その測定を行わないまま、回収した放射能汚染土壤等を市内21ヶ所の仮置き場(以下の住所の通り)に埋められました。
その結果、 法律で放射能汚染土壤等を埋める時には放射性セシウム濃度が8000Bq/Kg以下であることが条件であるにもかかわらず、それに違反している可能性もあります。
しかも、この21ヶ所の仮置き場は、証拠として提出した以下の「仮置き場マップ」〔甲144〕が示す通り、殆んどが市街地の公園、スポーツ広場です。
その上、これらの仮置き場を示す掲示板は置かれておらず、子供たちはそこで知らずに遊び回っています。
今、郡山の子どもたちは、5月6日「ホットスポット問題の記者会見」で明らかにされたように、学校内で知らずしてホットスポットで遊び回っているおそれがあるのと同様、学校外でも知らずして、極めて高濃度の仮置き場のすぐそばで遊び回っているおそれがあります。

では、郡山市のような都市部で、この仮置き場問題を解決するためにどうしたらよいか?
私たちは、神戸大学の山内和也教授の意見書(甲103)が提示した「集団疎開とセットで解決を目指すアイデア」(14頁)が最良の解決策であると確信しています。

(※)以上の詳細は、この仮置き場問題に関して郡山市が公開しない公文書を情報開示手続により入手した武本泰さんが作成し、証拠として提出した報告書――情報公開制度を通してみえてくる郡山の現状について――第4(6頁以下)を参照ください。

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【裁判報告2】35.1%の子どもに「のう胞」が見つかった福島県民甲状腺検査結果(第2回目):3.11以前の山下見解を鏡にして3.11以後の山下見解を写し出した意見書を提出

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1、 第2回目の甲状腺検診調査結果について
本年4月26日、福島県は、福島の子どもの甲状腺検診調査結果(第2回目)を発表しました。本年1月25日に発表した第1回目の分(4市町村、約3000人)も合わせたもので、13の避難区域市町村の子ども3万8114人についての検査結果は以下の通りです(県民健康管理調査・14頁)。



 朝日新聞(4月27日)によれば、報告した福島県の検討委員会はこの検査結果に対して
通常と変わりない状況で安心できる
という見解を公表しました。また、朝日新聞は、検討委員会の記者会見を聞いて、
しこりがないなど問題ないとされた子どもが99.5%を占め、残りも良性の可能性が高いと判定
と報道しています。

 これは、本年1月25日の第1回目の発表と同様です。このときの検査結果は以下の通りでしたが(県民健康管理調査・資料2「甲状腺検査について」5頁)、











これに対し、読売新聞(1月26日)によれば、記者会見した鈴木真一・県立医科大教授は、
しこりは良性と思われ、安心している
と述べたと報じました。また、読売新聞は、検討委員会の記者会見を聞いて、
分析を終えた約3800人に原発事故の影響とみられる異常は見られなかった。甲状腺に小さなしこりやのう胞と呼ばれる袋状のできものがあった26人については、念のため2次検査を受けるよう通知している。いずれも良性とみられ、事故以前からあった可能性が高いとしている。
報道しています(矢ヶ崎意見書(4)別紙1参照)。

 この検討委員会には福島県立医科大学副学長で日本甲状腺学会理事長の山下俊一氏も入っています。つまり、甲状腺検査結果に対する検討委員会の見解は山下俊一氏の見解でもあります。

2、検査結果の問題点について
ところで、上記検査結果によれば、3万8000人余りの子どものうち、35.1%の子どもに「のう胞」が見つかりました。
では、科学の立場からみたとき、この検査結果はどう評価されるべきでしょうか。

(1)、まず、 検討委員会は、35.1%の「のう胞」を、なぜ「通常と変わりない状況」と言ってよいのか、なぜ「安心できる」と断言してよいのか、その証明(説明)を何も示していません。
  本来、科学とは証明(実証)されて初めて科学と言えるのであって、科学者が科学的な見解を述べるとき、証明もされていないことを、「通常と変わりない状況」とか「安心できる」とか軽々しく口にしてはいけない筈です。
証明が抜け落ちているという致命的な点で、 山下俊一氏も含めて検討委員会の上記見解は、科学的な見解ということはできません。精々、自己の信念或いは願望を語っているにとどまるでしょう。

(2)、しかし、 山下俊一氏は過去ずっと自己の信念或いは願望を語るだけの人間だったのでしょうか。むろんそんなことはありません。少なくとも3.11福島原発事故以前の山下氏は低線量被ばくによる甲状腺の健康障害の問題について科学的見解を語ろうとしていました。
その1つが、非汚染地域の子供たちの甲状腺の健康調査をおこなった2001年の論文
もう1つが、チェルノブイリ周辺の子供たちの甲状腺の健康調査をおこなった1999年の論文
です。
そこで、これらの論文の成果を踏まえ、3.11前の山下見解を鏡にして、今回の甲状腺検査結果とこれに対する山下見解を写し出したらどのように見えるだろうか?という視点から 検討したのが、北海道深川市の内科医松崎道幸氏の意見書(甲131号証)です。

3、 松崎意見書の概要
(1)、2001年の山下氏らの論文によれば、非汚染地域の
長崎県の7才から14才のこども250人中、甲状腺のう胞が見られたのは0.8%(2人)だった

In Nagasaki, only four cases showed goiter (1.6%) and two cases (0.8%) had cystic degeneration and single thyroid cyst..(2001年論文593頁の右3行目)

(2)、 1999年の山下氏らの論文によれば(論文中の下の図11を参照)、
チェルノブイリ地域の18歳未満のこどもの甲状腺のう胞保有率は0.5%だった。












図11 甲状腺超音波診断画像異常所見発見頻度(%)の年次推移(1991~1996)

(3)、主に米国人を対象にした甲状腺検査結果をまとめた論文によれば(論文中の下の図を参照)、
甲状腺のしこりやのう胞は、生まれた時はほとんどゼロだが、5才過ぎから徐々に増え始め、20才になると10人に一人が甲状腺にしこりやのう胞が出来る
















以上を表にまとめると、次のようになります(松崎意見書5頁)。









この検討結果をまとめると、次のようになります(松崎意見書6頁)。

 1. 内外の甲状腺超音波検査成績をまとめると、10才前後の小児に「のう胞」が発見される割合は、0.5~1%前後である。
2. 福島県の小児(平均年齢10歳前後)の35%にのう胞が発見されていることは、これらの地域の小児の甲状腺が望ましくない環境影響を受けているおそれを強く示す。
3. 以上の情報の分析および追跡調査の完了を待っていては、これらの地域の小児に不可逆的な健康被害がもたらされる懸念を強く持つ。
4. したがって、福島の中通、浜通りに在住する幼小児について、避難および検診間隔の短期化等、予防的対策の速やかな実施が強く望まれる。
5. 以上の所見に基づくならば、山下俊一氏が、全国の甲状腺専門医に、心配した親子がセカンドオピニオンを求めに来ても応じないように、文書
(※)を出していることは、被ばく者と患者に対する人権蹂躙ともいうべき抑圧的なやり方と判断せざるを得ない。

(※)日本甲状腺学会の理事長である山下俊一氏らは、同学会会員宛てに、甲状腺検査を受けた福島県の子どもたちのうち5mm以下の結節や20mm以下ののう胞が見っかった親子たちが、セカンドオピニオンを求めに来ても応じないように、文書を出していました。 これがどれくらい前代未聞の残忍横暴な振る舞いであるか、このあと真実の裁きが下されるでしょう。

4、呼吸機能と骨髄機能の問題
(1)、呼吸機能
 サウスカロライナ大学疫学生物統計学部のスベンセン博士らのグループは、2010年の論文で、セシウムによる高汚染地域に住み続けたこどもたちの肺の働きが悪くなっていることを明らかにしました(「チェルノブイリ核事故被害を受けたウクライナの小児におけるセシウム137曝露と呼吸機能の関連」Environ Health Perspect.(環境医学展望誌)118巻2010年5月号、720~5ページ)。

この結果を福島に当てはめると、現在福島の浜通りと中通りに住んでいる子どもは、肺の働きが数年早く低下(老化)するおそれがあることになります(松崎意見書8頁)。

(2)、 骨髄機能
4月に来日したウクライナ医学アカデミー放射線医学研究センターのステパーノヴァナ博士らのグループは、 2008年の論文で、高度汚染区域に住み続けたこどもでは、放射線被ばくで血液を作る働きが落ちて、白血球が減ったり貧血になることを明らかにしました(「チェルノブイリ事故による放射線汚染がウクライナ・ナロージケスキー地区の小児の赤血球数、白血球数、血小板数に及ぼす有害影響」環境医学誌.7巻2008年5月号、21ページ)。

福島についてこの論文から医学的に想定しなければならないことは、現在福島の浜通りと中通りに住んでいる子どもは、血液を作る骨髄機能が長期間妨害されるおそれがあるということです。白血球が減ると、細菌やウイルスに対する抵抗力が減ります。赤血球が減ると貧血になりやすくなります。血小板が減ると、怪我をした時に血が止まりづらくなります。

しかも、もしも何か別の病気や肉体的ハンディを持っている子どもさんが、現在の福島中通り・浜通りに住んでおられる場合には、この程度の骨髄機能への影響によっても、もともとの病気やハンディがさらに悪化する恐れを考慮する必要があります松崎意見書9頁)


5、松崎意見書の全文と別紙(山下氏らの論文)
以上のことを述べた松崎意見書の全文とそこで取り上げられた山下氏らの論文は以下の通りです。
(1)、本文
(2)、別紙1(甲状腺検査の実施状況と結果概要←県民健康管理調査13~14頁)
(3)、別紙2(非汚染地域の子供たちの甲状腺の健康調査をおこなった2001年の論文
(4)、別紙3(ニュー・イングランド・ジャーナルMazzaferri論文の1頁目
(5)、チェルノブイリ周辺の子供たちの甲状腺の健康調査をおこなった1999年の論文

6、参考文献
本年1月25日に発表された福島の子どもの甲状腺検診調査結果(第1回目)の問題点を詳細に検討したのが矢ヶ崎意見書(4)です。→これを報告したブログ記事『疎開裁判の今:「チェルノブイリは警告する」から「ふくしまは警告する」へ』。

 矢ヶ崎意見書(4))と今回の松崎意見書を合わせて読むことにより、福島の子どもたちが今、 甲状腺の疾病について、どのような危険的な状況に置かれているかを正しく理解することができます。そこから明らかなことは、いま、福島は
「チェルノブイリは警告する」から「ふくしまは警告する」の段階に進んだことです。
子供たちの疎開・避難は一刻の猶予もならない、最も差し迫った緊急の課題です。

1991年にチェルノブイリで正しい住民避難基準を作りながら、それができあがるまで事故から5年もかかってしまった、そのため、その5年間被ばくを余儀なくされてしまった、これが「チェルノブリ最大の悲劇」の1つです。
この「チェルノブリ最大の訓え」を学んで、その悲劇をくり返さないために、即刻、子供たちの疎開・避難を実現しましょう。

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2012年5月25日金曜日

【裁判報告1】ウソツキはWHO?の告発者ミシェル・フェルネクス医学博士の講演「福島の失われた時間」を提出


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1、この間の経過
ふくしま集団疎開裁判は、いま、二審の仙台高等裁判所に係属中で、
2月末  私たちから抗告理由書の提出
4月17日 郡山市から答弁書の提出
を受け、
5月20日に、私たちから、答弁書に対する次の反論を提出しました。
①.抗告人準備書面(1)
②.証拠説明書(10)
③.甲12号証の4・ 同120~146号証

以下は、その報告です。

2、スイスのバーゼル大学医学部名誉教授のミシェル・フェルネクス氏講演「福島の失われた時間」の提出
チェルノブイリの重要な警告の1つとして「遺伝的影響」という問題があります。これは、低線量の内部被ばくによる健康障害が直接被ばくした本人のみならず、その第二世代により強く現れ、第三世代にはもっとより強く現れるという深刻な遺伝的影響のことです。

この問題の重要性を訴えているのがスイスのバーゼル大学医学部の名誉教授で、元WHO専門委員の ミシェル・フェルネクス氏(※)です。

(※) 2011年11月30日緊急提言「人々が被曝から身を守るために-福島の即時の影響と後発性の影響を予測すること-

彼の最新の講演「福島の失われた時間」( 今月12~13日、ジュネーブで開かれた「WHOの独立を求める会」→その解説)を、いま福島の子どもたちが直面している深刻な遺伝的影響の問題を証明する重要な証拠’(甲132号証)として提出しました。
  講演「福島の失われた時間」(日本語)  (英語)(その説明は→証拠説明書(10)の132)

3、 チェルノブイリの「遺伝的影響」の問題を取り上げた映像
また、近日中に、 チェルノブイリの「遺伝的影響」の問題を取り上げた映像「真実はどこに? 」を証拠として提出予定です。

ドキュメンタリー「真実はどこに? 」(2004年)

これは、 チェルノブイリ事故により「遺伝的影響」を受けた第二世代以後の子どもたち、そして2001年6月、WHOの後援を受けて開催されたキエフでの「チェルノブイリの惨事の医学的影響に関する国際会議」の様子を描いた映画です。

この映画の冒頭に登場するのが、「福島の失われた時間」の講演をしたミシェル・フェルネクス氏です。
彼は次のように語ります。

WHO私は協力関係あります。 
マラリアとフィラリアの研究委員会で熱帯医学者として15年間いたからです。
WHOには大きな尊敬念を持っていますが、
1986年から年間WHOチェルノブイリの現場に不在であったことを大変悲しんでいます。
年間 彼らは現場に一切姿を見せなかった。
WHOは国際原子力機関IAEA現地調査を一任した。
残念なことです。

フェルネクス氏も参加した上述の2001年6月のキエフの国際会議には、疎開裁判の重要な証拠の作成者たちが次々と登場します。

アレクセイ・ヤブロコフ(16分~・18分~・45分)
ワッシーリ・ネステレンコ(27分30秒~30分30秒・35分~37分)

疎開裁判の最も重要な証拠の1つである松井意見書、それは、
チェルノブイリ事故により、郡山市と汚染度が同程度の地域で発生した様々な健康障害が郡山市でも今後予想されることを明らかにしたもの(11頁以下)ですが、この意見書がベースにしたいわゆるヤブロコフ・ネステレンコ報告(報告書『チェルノブイリ――大惨事が人びとと環境におよぼした影響』(Chernobyl: Consequences of the Catastrophe for People and the Environment))の作者が上記の2人です(この報告書に関する動画は→ジャネット・シェルマン博士のインタビュー)。

ユーリ・バンダジェフスキー(20分~23分・46分~47分30秒)

上記松井意見書(22頁以下)がベースにしたもう1つの文献が「チェルノブイリ事故による放射性物質で汚染されたベラルーシの諸地域における非がん性疾患」ですが、その作者がバンダジェフスキー氏です。
ちなみに、この映画の監督によれば、、《バンダジェフスキーは、(キエフの国際)会議の翌日に、牢獄にぶち込まれた。軍事裁判所で、8年の収容所収監の判決を受けた。》

 ECRR(欧州放射線リスク委員会)科学事務局長のクリス・バズビー(38分30分~41分30秒)

昨夏、ふくしま集団疎開裁判の会の招きで来日し、「福島の子どもたちの放射線被曝と心臓発作」という意見書の作成者であるクリス・バズビー氏も登場し、低線量被ばくの健康障害についてこれまでの評価の見直しを迫ります。
これに対し、議長団のメンバー中嶋宏元WHO事務局長が「あなたの表明は正しいと思うので、この勧告により正確に挿入されるべきでしょう」と表明したにも関わらず、会議の最終決議文には追加されませんでした。

ヤルモネンコとヤブロコフとのやり取り(23分~25分)
ヤルモネンコと女医達の対話(31分30秒~35分)

以上の人たちの見解に真っ向から反対するのがヤルモネンコ(47分~)氏。
彼の議論を注意深く聞いていると、彼の話が昨今「東大話法」と命名された次の話法と殆んウリ二つであることに気がつく。今年4月、ベラルーシから来日し、全国で講演したM.マリコ博士が1997年の論文「国際原子力共同体の危機」で喝破したように、日本の原子力ムラが国際原子力ムラの模範的な一員であるのと同様、「東大話法」が国際原子力ムラの模範的話法であることが分かります。
  • 規則 1: 自分の信念ではなく、自分の立場に合わせた思考を採用する。
  • 規則 2: 自分の立場の都合のよいように相手の話を解釈する。
  • 規則 3: 都合の悪いことは無視し、都合のよいことだけ返事をする。
  • 規則 4: 都合のよいことがない場合には、関係のない話をしてお茶を濁す。
  • 規則 5: どんなにいい加減でつじつまの合わないことでも自信満々で話す。
  • 規則 6: 自分の問題を隠すために、同種の問題を持つ人を、力いっぱい批判する。
  • ‥‥

2012年5月8日火曜日

【速報】1年1ヶ月後に初めて明るみにされた郡山市内小学校のホットスポットの一端

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 神戸大学大学院教授の山内知也さん(放射線計測学)からコメントをいただきました(→6、専門家の見解
※ UPI通信社がこの問題を世界に報道しました。→World News
  5月8日16時にアップした本速報に次の誤記がありましたので、訂正します(5日21時現在。下記の表は訂正済みのものです)。
3、測定値が~6μSv/時
番号 小学校名    提出日           測定場所     測定値
10 安積第三小学校 2/22 体育館裏(誤)→側溝(正)
11 永盛小学校    2/22                 同上
12 柴宮小学校    2/22                 同上 
44 桜小学校      2/22 雨水等の排水口      2.986(誤) →3.978(正)

福島県内の小中学校など教育施設でのホットスポットの測定は3.11以来の緊急の課題であり、「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」などは昨年6月以来その実施を要求してきましたが、ずっと無視されてきました。福島県内の市町村で小中学校等のホットスポットの測定結果が公開された話はまだ聞いたことがありません。
  しかし、郡山市では教育委員会が、本年1月23日より、ひそかに市内の小中学校でホットスポットの測定を週1回のペースで実施していました。今回、一市民が情報開示手続によって、この事実を突き止めました。
情報開示請求により初めて明らかにされたホットスポットの情報は、看過できない重大なもので、 
連休最終日の5月6日、以下の3団体の代表と疎開裁判の弁護団は、この問題について、緊急の記者会見を開きました。
・ ふくしま集団疎開裁判の会(代表 井上利男)
安全・安心・アクションIN郡山(代表 野口時子)
子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク(代表 佐藤幸子)

  以下が開示資料。
郡山市教育委員会が市内各小中学校にホットスポットの測定を依頼した文書(本年1月23日)

4月4日付けの開示請求に対する開示決定通知書(本年4月18日)

開示文書(1月25日分、2月22日分、直近〔4月4日分〕)

教育委員会から一方的に提供された文書(4月17日分)

以下、開示資料の解説です。
1、測定器では測定できなかった測定不能(毎時9.999マイクロシーベルト以上)
これに該当する小学校は以下の5校。この地点は年間に換算すると、87.6ミリシーベルトです。

 2、測定値が6~9.999マイクロシーベルト/時
これに該当する小学校は以下です。この地点は年間に換算すると、52.56~87.6ミリシーベルトです。

3、測定値が(3にほぼ近いものも含む)~6マイクロシーベルト/時
これに該当する小学校は以下です。この地点は年間に換算すると、26.28~52.56ミリシーベルトです。

 4、問題点
①.教育委員会の測定方法の指示の仕方
本年1月23日、教育委員会が市内各小中学校にホットスポットの測定を依頼した文書によれば、次のようになっています。
 「下記の場所で、線量が高いと思われる箇所を各校で1箇所選定し、放射線量を調査票により報告願います。
  ① 中庭
② 雨水箏の排水口
③ 側溝
④ 体育館裏
⑤ プールののり面
⑥ 生け垣
⑦ 樹木等の密集地帯
⑧ その他(上記以外で線量が高いと思われる場所) 」

ホットスポットは1mちがうだけでも値が大きく違ってくることはよく知られた事実です。しかし、今回の測定は、各学校の判断で、「線量が高いと思われる箇所を各校で1箇所選定し」ろと指示するだけで、それ以上、具体的な指示は何もありません。各学校はどうやって、「線量が高いと思われる箇所」を見つけ出すのでしょうか。実際も、測定値は各回で次のようなバラツキが発生しています。
 大島小学校で、同じ体育館の裏でも、値が、
    0.827(1/25)    6.311(2/22)
 と8倍も開きがあることは、本年2月に仙台高等裁判所に提出した神戸大学の山内知也教授の意見書5頁で、
2月19日のX小の体育館裏で、西側の中央(番号31)と西側の端(番号32)とでは、
 0.59(番号31)  6.24(番号32)
と10倍以上も開きがあることからも示されています。
また、今回の郡山市の測定ではX小の体育館裏の3回の測定値は、
0.9~1.4
であり、山内教授が見つけたホットスポットの測定に失敗しています。
この意味で、今回、高い線量が見つかった地点は、現実のホットスポットの一端にすぎないもので、まだ知られざるホットスポットが学校敷地内に数多く存在する可能性があります。

②. 測定不能となった地点の再測定の不実施
このような極めて高い線量(年に換算して87.6ミリシーベルト)の場所については、測定範囲の広い新たな測定器で再測定を行う必要がありますが、1月25日以後も、単に「測定不能」としか記載していないことから、再測定を行った痕跡は見当たりません。

③.屋外活動制限解除(3月23日発表)との関係
教育委員会は、本年3月23日に、「体育などの屋外活動は1日1時間以内、部活動は1日2時間以内とした」屋外活動制限を新学期から解除すると発表しました。
このときの解除の理由として、校庭の空間線量が平均して0.2マイクロシーベルト/時以下に低減したことを挙げています。
しかし、このとき、教育委員会は、既に2ヶ月間、市内の小中学校のホットスポットの測定を実施していて、極めて不十分ではあれ、年に換算して87.6ミリシーベルト以上の測定不能の小学校だけでも5校ある結果に象徴されるように、大変危険な現状を把握していたにもかかわらず、ホットスポット問題の対策を何ひとつ講じないまま、なぜ屋外活動制限解除に踏み切ることができたのか、その理由が分かりません。
現実の子どもたちは、決して、「平均して、 0.2マイクロシーベルト/時以下」の被ばくするわけではありません。知らない間にホットスポットに近づいていたら、知らない間に大量に被ばくします。
ホットスポット問題が解決しない限り、少なくとも屋外活動制限解除は即刻、撤回すべきです。

5、疎開裁判に与える影響
昨年12月、福島地裁郡山支部は、避難を求める申立を却下しましたが、その理由の1つとして、郡山市が、
「校庭の表土除去や,児童生徒の屋外活動の制限など,債権者らを含む児童生徒が債務者の設置する小中学校等において受ける放射線量の低減化に向けた措置をとっていること及び債務者におけるこれらの措置は一定の効果をあげていることは,上記認定事実のとおりである。」(20頁)
ことを挙げました。
しかし、今回のホットスポットの情報は、校庭の表土除去だけでは「放射線量の低減化に向けた措置」が機能せず、学校内のホットスポット問題は何ひとつ解決しておらず、学校の敷地内は依然、極めて危険な状態にあること、にもかかわらず新学期から「児童生徒の屋外活動の制限」を撤廃したことは、申立を却下する理由の柱が2つ失われたことを意味します。この大変重大な事態を、今後、仙台高裁に主張・立証する予定です。

6、専門家の見解
神戸大学大学院教授の山内知也さん(放射線計測学)のコメントです。
(山内教授は、本年2月、郡山市の2つの小学校の校庭で152箇所を測定し、測定結果と考察を意見書として作成、仙台高等裁判所に提出しました)

―――最初に全般的なことをお尋ねします。今回、郡山市内の小学校のホットスポットの測定に関する開示文書をご覧になって、まずどのような思いましたか。

除染をどのように理解するかですが、私は事故前の状態に戻すことだと考えています。そうであれば、ホットスポットがある以上は除染は完了していません。
ホットスポットがあるということは降雨等の自然の働きでセシウムが濃くなるポイントがそこにあるということであって、そのまま放置していると、さらに汚染が高くなるところである(厳密には、ところもある)と考えるべきです。

―――そのようなホットスポットに対しては、どうしたらよいのでしょうか。

まず、それぞれのポイント(測定場所)の値が高くなっている理由をさぐることが必要です。その理由を明らかにした上で、ホットスポットにならないようにする対策をとるべきだと思います。
また、除染しないのであればこの間の測定は無駄になると考えます。除染と避難の関係については、私の意見書に詳しく書きましたが、避難が出来るのであればするべきであって、線量が下がるのをまって戻ることもできると、線量が下がるまでの間の避難だというように考えることもできると思います。

―――次に個別のことについてお尋ねします。今回のホットスポットの測定で、雨水等の排水口や側溝がずいぶん高い値になっています。これについてどう思われますか。

私は本年2月に郡山市の2つの小学校の校庭を測定し、意見書に次のように書きました。
「雨水升や側溝の汚染レベルが高いままになっているところを見ると、校舎の屋上や体育館の屋根には今も相当な量のセシウムがあると見られる。」(意見書14頁)

この指摘が郡山市内の小学校全般に妥当するものであることが今回の測定で明らかとなりました。
雨樋や側溝の線量が高いのは上流からセシウムが流れて来たからであり、その上流、つまり校舎の屋根や屋上の汚染を調査する必要があります。その上で、屋根や屋上の除染対策をとる必要があります。
これは、グランドの土を入れ替えたことをもって「除染した」としていう考えが間違いであることを示しています。

―――さらに、今回のホットスポットの測定で、毎回、測定値が随分変動するケースがあります。例えば46番の大島小学校では、体育館裏の測定値が0.827、6.311、4.978と毎回、大きく変動します。これはなぜなのでしょうか。

私の意見書にも書きましたが(12頁)、郡山市にとどまらず、東日本と関東に広がった高い空間線量率を伴う汚染の実態は放射性のセシウムであって、その密度分布によって空間線量率は増減します。したがって、例え数メートルであっても、場合によっては数センチであっても、測定する場所が変われば空間線量率は変化します。

―――そうすると、1箇所だけ測定して、その値がホットスポットの値であるとはとうてい言えないですね。

その通りです。

―――そうすると、教育委員会が今年1月に各小中学校に出したホットスポット測定依頼の文書では、「下記の場所(注:中庭、側溝、体育館裏など8箇所)で、線量が高いと思われる箇所を各校で1箇所選定し」測定しなさいとなっていますが、これではホットスポットの測定として不十分ではないでしょうか。

この文面では不十分だと思います。周辺をくまなく測定して最も高いポイントを複数選び出して記録し、対応策に役立てる、というようなものでなければと思いました。
実際に、私も今年2月に郡山市の小学校を測定したとき、体育館裏で11箇所測定し、0.27~6.24マイクロシーベルト/時(高さ2cm)とスポットによって23倍以上ものバラツキが出ました(意見書5頁)。

―――それと、市民が今年4月4日にホットスポットのデータの開示請求をしたあと、教育委員会は、突然、地表から50または100cmでもホットスポットの測定をやるようになりました(4月17日の測定データ)。その意図がどこにあるのか教育委員会は明らかにしていませんが、その測定結果をみますと、地表1cmより50または100cmのほうが値が高い場所が意外とたくさんあったことです。これは何を意味するのでしょうか。

私の意見書にも書きましたが(13~14頁)、ガンマ線は100 m以上も離れたところから飛んできます。したがって、本来、ある場所の空間線量率を下げるには、数百メートル半径の一体を除染しなければなりません。汚染土壌が除去されたグランドでも、地表1cmよりも50または100cmの線量率のほうがより高くなるのは、地面に近づくほど、幾何学的な関係にしたがって、離れたところから飛んできたガンマ線が入射しにくくなるからです。
今回、ホットスポットの測定値が地表1cmよりも50または100cmのほうが高くなっている場所はこのような理由によるものと考えられます。

―――逆に言うと、そのような場所は、ホットスポットから出るガンマ線だけで値が決まらず、離れたところから飛んでくるガンマ線によって値が決まるということですか。

そうです。意見書にも書きましたが(14頁)、そのような場所は、周辺からのガンマ線がその位置での線量率を規定しており、ホットスポットの汚染が線量率を高くしている第一義的な原因ではなくなっていると見られるます。学校周辺の除染が進んでいないことが問題なのです。

―――この問題に対する対策は学校内部だけでは解決しませんね。

その通りです。学校を含めた広い範囲でセシウムを除去しない限り、空間線量率は下がりません。すなわち除染になりません。

―――以上をまとめると、今後、やるべき除染はどうなりますか。

少なくとも、一方で、グラウンドの土の入れ替えのみならず、校舎の屋根や屋上の汚染も調査し、除染する必要があり、他方で、学校周辺の地域の汚染も調査し、除染する必要があります。
そして、これらを真剣に取り組むためには、汚染土壌等の仮置き場がどうしても必要となりますが、それが確保できないことがいま大問題となっています。これについて、郡山市のような都市部については、次のような方策しかないことを私は意見書で述べました。

「(4-4)除染の効果を出すために必要な方策
福島県内の都市部での除染が進まない原因のひとつは、汚染土壌の仮置き場がないことである。国は自治体・郡山市に除染をさせるという。郡山市は自治会に仮置き場を選定するように要請するが、家が密集している限り見つかる道理がない。農地を提供しようという人が居たとしても、その周辺の地主が了解するとは限らない。そうなると公的な空間ということになるが、町中の公園では自ずと限界がある。
計測に際して、郡山市内をいろいろと案内してもらったが、地域の人口にほぼ比例した相当量の汚染土壌を仮置く場所として可能性があるのは、小学校や中学校のグランドである。
この1年とか2年の間、小中学校の教室を線量率の低いところに移して、その間にグランドを仮置き場として利用して、地域の徹底した除染に取り組むというのが現実的な除染の方法であると考える。今のままでは、除染は遅々としていつまでも進まない。いつまでもセシウムがあちこちに残っているような学校の中で学び、屋根にセシウムがこびりついた家で寝食し、気持よく大地に触れたり、駆け回ることのできないような街中で、子供たちは生活をしなければならない。除染と避難・疎開は対立しない。ともに被ばく線量を下げるために、人とセシウムとの間に距離を設けるというものであり、相補ってはじめて効果が出る方策である。本当の意味での除染を行うには、元の郡山市を取り戻すには、子供たちを線量率の低いところに一旦移して、数年をかけて徹底して除染作業を継続することが不可欠である。」(意見書15頁)


7、参考情報
週刊東洋経済の特集記事
郡山市が小中学校内の「ホットスポット」除染に連休明けから着手。運動会開催前には終わらず(1)
郡山市が小中学校内の「ホットスポット」除染に連休明けから着手。運動会開催前には終わらず(2)

新聞記事など
毎日新聞
東日本大震災:郡山集団疎開申請支援団体、放射線量値の証拠提出へ 仙台高裁抗告審で /福島
 日本経済新聞
郡山の小学校などホットスポット 毎時20マイクロシーベルトも
 東京新聞
郡山の学校に「ホットスポット」 情報公開で判明
ベスト&ワースト
【速報】情報隠ぺい?福島県郡山市の学校内ホットスポットが情報公開請求で判明!最大毎時20.4マイクロシーベルト!