福島の核災害は、戦後日本のエネルギー政策が、石炭から石油へと移行し、さらに原子力の「平和利用」と称する核エネルギーを加えたことだけでなく、あらゆる警告を無視して、これを闇雲に推進してきたことの当然の帰結でした。
ノーム・チョムスキーは、アメリカの核戦略による覇権主義がもたらす地球規模の破滅的なリスクという大状況を背景として、福島第1原発事故を語ります。
「安全神話」を唱え、反原発の声を封じてきた、日本の支配層に巣食う「原子力ムラ」が、核惨事の被災者を切り捨て、子どもたちの健康と「いのち」すら被曝のリスクから守ろうとしないのも、ある意味で当然の帰結でしょう。
チョムスキーが言うように、「かれらは、短期的な利益を得て、自分たちの子どもは死ぬかもしれないが、短期的には儲かるという人たちです」
2013年5月28日
【お願い】
あなたのアクションが、フクシマの子どもたちのいのちと健康を守る大きな力になります。
いまもフクシマの子どもたちが最大受忍限度20ミリシーベルト/年という超法規的な被曝を強いられている…このような人権侵害状況について、あなたのコメントを下記リンクの記入欄にお書き込みください。
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マサチューセッツ工科大学 2013年5月28日
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クリス・ウィリアムス
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[00:01]
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「子どもたちを放射能から守る世界ネットワーク」のインタビューに応じていただき、ありがとうございます。
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[00:08]
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まず、到達可能な最高水準の身体および精神の健康を享受する権利に関する国連特別報告者、アナンド・グローバー氏について、お聞きします
つい先日、グローバー氏は、2012年11月の精力的な訪問にもとづく福島報告を公表しました。
2ページ以上の勧告が付されています。とても手厳しい報告です。
主な論点のいくつかは他でも報道されていますが、日本政府の方針に真の安全対策が欠如しているとまで断言しています。
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[00:38]
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対応体制は、まとまりに欠け、不適切、または活用されなかった。放射線緊急時対策は、断片的で不適切。
そして、日本政府の原子力規制当局と核産業との結びつき、とりわけ(福島第1原発を所有する)東京電力との結びつきは不透明であり、現在の最高水準の科学にもとづく独立した規制からは程遠い。
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[01:05]
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その結果、安全が置き去りになった。
日本政府は事故のあと、人びと、とりわけ子どもたちを、長期被曝量レベルが国際許容基準を超えている場所から移住させる責任を拒んでいる。
さらに日本政府は、除染費用、その他の財務負債を肩代わりすることによって、東電のさらなる損失を補填している。そのため、日本国民に東電の負債がツケ回しされている。
いま日本の子どもたちに配布されている教科書では、安全な放射線量は最大100ミリシーベルトまでとされている
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[01:41]
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国連報告は、これが日本の法律、国際基準、疫学研究と一致しないと指摘しています。
その他にも、報告はさまざま多くの問題を提示し、福島県内外の地域住民、それに除染作業に従事する原発労働者の身体および精神の健康に影響をおよぼしているとしています。
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[02:02]
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そこで何よりもまず、国連特別報告者の調査結果に対する、あなたのご意見は、それに、2011年3月の恐ろしい大惨事に対する日本政府の行動について、あなたの知りえたことは、どのようなものでしょうか?
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ノーム・チョムスキー
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[02:18]
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そうですね。
そもそもの発端から、政府は情報を抑えていました。行動するにしても、尻込みしていました。多くの意味で、この悲劇的惨事をさらにずいぶん深刻化させてしまいました。批判されるしかないのも、当然です。
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[02:41]
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国際社会と日本国内からの圧力が、政府にもっと建設的な姿勢の対応を促すことをわたしは願っています。
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[02:53]
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こう考えるべきです…「日本政府だけの問題ではない」。
たとえば、詳細な検証がなされなかったのは、「自分の罪は問わない」…こういう原則があるからです。
「他人の犯した罪だけ」…これが大原則なのです
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[03:12]
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だが、かなり大量の証拠がイラク国内と国際社会の科学者たちによって集められていますが、米英軍による初戦攻撃をこうむったイラク各地で、放射線レベルが極めて深刻な脅威になっています。
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[03:33]
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ファルージャからの報告では、放射線レベルがヒロシマにほぼ匹敵します。なるほど、検証されていないので、詳しいことがわからないにしても、まず、こういう問題をわたしたちがわが国にも突き付けたうえで、必要な対策を取っていないと、当然ながら日本政府を断罪するべきです。
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[03:55]
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考慮すべきことばかり…わたしたち自身について、そしてもちろん日本の放射能汚染におけるアメリカの役割について…考えるべきことがあります
わたしたちは、それについて、知るべきだし、考えるべきだし、何かするべきです。
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[04:17]
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具体的な問題ですが、もちろん、あらゆる手段を尽くして、子どもたちの安全を確保しなければなりません。
原子力推進を完全に廃絶するか、または…
…最高水準を維持し、追求するかのどちらに積極的になるか…
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クリス・ウィリアムス
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[04:40]
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はい。あなたがヒロシマに言及なさったのは興味深いですね。
国連報告によれば、福島第1のメルトダウンによる放射性セシウム放出量は、ヒロシマ原爆による放出量の168倍になります。
それなのに、福島県の汚染地域に30人の子どもたちが住んでいます。
日本の強制避難基準はチェルノブイリ事故よりも低く設定されています。
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[05:09]
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あなたがおっしゃるように、日本政府は、これまで職責を真剣に果たしていないようです。人びとの移住を支援し、移住を保証する責任です。
経済など、理由はいろいろですが…
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[05:22]
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とりわけ子どもたちの問題では、訴訟(ふくしま集団疎開裁判)に関連して、「子どもたちを放射能から守る世界ネットワーク」が日本政府に圧力をかけています。
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ノーム・チョムスキー
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[05:34]
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わたしが思うに…明らかに日本政府はもっとやるべきですが、わたしたちもやはりそうです。
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[05:43]
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原子力利用は、国際責任です。
原子力が利用されている理由は、化石燃料がもたらす途方もない被害、そして――特に日本の場合――化石燃料の入手難でした。
だから、豊かな国々には、このような惨事の脅威を減らし、持続可能な発展を期すために、研究開発と行動を大幅に拡張する厳しい責任があります。
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[06:24]
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子どもたちへの脅威は、もちろん、たった今の第一の関心事であるべきです。
だから、これは幅の広い責任です。
たとえば、わたしが日本政府の失策を非難するのは、当然のことです。じっさい、重大な失策です。
しかし、あなたにも、わたしにも、もっと差し迫った課題があります。
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クリス・ウィリアムス
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[06:46]
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その通りです。
国際原子力機関は、じっさい、日本で協力しており、除染と健康問題の一端に関与しています。しかも同時に、この機関は原子力推進の責任を担っています。
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ノーム・チョムスキー
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[07:01]
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巧妙な手口です。
じっさい、最も有名でやり手の気候学者たちの一部、ジェームズ・ハンソンらは、原子力推進に賛成しています。
あらゆる意味で軽視できない気候問題の危険性をすべてあげつらうにしても、代案がずっとひどいこともありえます。
化石燃料は生命に計りしれない影響を与えます。真の代案は、持続可能な選択肢を開発することでしょう。太陽エネルギーがそうですし、他にもあるでしょう。
相当な努力が必要ですし、まだ余りにも不十分です
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クリス・ウィリアムス
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[07:45]
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日本は、世界史上で唯一、核攻撃をこうむった国ですし、1952年までアメリカに占領されていましたが、それでいて同時に、原子力を開発し、54基の原発を保有している国であり、しかも、地震活動が非常に活発です。
日本の核技術の大部分は、ウェスティングハウスとGEといったアメリカの技術の産物です。
日本で原子力開発を推進する当初の方針ですが、これは、どの程度まで日本の決定だったのか、あるいはアメリカが国家発展のために最善策を考慮した決定だったのか、あなたはどのようにお考えですか?
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ノーム・チョムスキー
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[08:30]
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直接占領下の日本は、もちろん、多分にアメリカの影響下にありました。そして今もアメリカの影響下にあります。
たとえば2、3年前のこと、日本国総理大臣が米軍基地を沖縄から県外に移す問題をあえて提起しました。沖縄住民は米軍基地に断固反対してきたのです。総理大臣は、アメリカの圧力により、早々と辞任に追い込まれました
この通り、アメリカの役割は重要でした。しかし、他に道はなかったのか、問わねばなりません。
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[09:05]
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第2次世界大戦の直後、アメリカはヨーロッパ諸国と日本を石油にシフトさせるように多大な努力をはらいました。とりわけ石油は、基本的にアメリカの独占物であり、またはかなりそれに近かったのです。
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[09:23]
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考え方は明白でした。
ジョージ・キャノンは主導的な計画立案者のひとりでした。そのかれが、機密指定を解除された当時の文書で指摘しています。
アメリカが、中東にある世界のエネルギー資源に対する支配権を維持すれば、日本に対する拒否権を握れるだろうといっているのです。一種の生殺与奪の権を握ることになりますので、隠密に事を運ぶ必要がありました。
今より当時のほうが別の道がありましたが、当時と違って今では、事情が明らかになりました。
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[10:12]
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だが、原子力の選択は、ある程度、これに対する反作用です。
これは逃げ道のひとつです。
もちろん、当座の化石燃料はありますが、化石燃料資源は潤沢にはありません。石炭にしても、それほどありません。
ですから、第2次世界大戦…太平洋戦争の主な要因のひとつは、東南アジアにある化石燃料の確保でした。
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[10:32]
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東南アジアの石油です。
アメリカ、イギリス、中国、オランダのABCD4国にフランスを加えた包囲網が、(大日本)帝国を封鎖した後のことです。
1930年代はじめ、台頭する日本の競争力から西側を守る方策として帝国の体制は封じ込められました。そこで日本は、野蛮な対抗策に訴え、資源奪取を企て、第2次世界大戦にいたりました。
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[11:09]
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戦後、アメリカの計画は、日本の帝国を、キャノンのいう「南進する帝国」として回復することでした。それは基本的に、アメリカの支配下に収めた日本の体制を回復しました。つまり、アメリカはキャノンのいう拒否権を保持することになったのです
そして、このような流れにそって、核エネルギーへの方向転換が図られました
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[11:36]
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ですから、考慮しなければならない要因はたくさんあります。
見識ある科学者は同意するはずですが、本当の選択肢とは、破壊的なエネルギー資源に代わるものを見つけることです。
化石燃料や核エネルギーは破壊的ですので、別のもの、太陽エネルギーなどを探求すべきです
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クリス・ウィリアムス
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[12:01]
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現在の状況に話題がつながりました
日本に、民間による原発稼働の結果、プルトニウムが大量に蓄積されています。
また日本の政界には、核兵器禁止を打破し、核兵器開発を願う分子がいます。
アメリカは、われわれの核の傘の下にいれば安全だといっています。これは第2次世界大戦以来のアメリカの政策でした。
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[12:30]
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ですが、発言力を強めた中国のために、地域内の緊張が高まっています
いったいどうなるか。あなたのご見解では、現在の状況の進展として、これがどうなるかと思われますか?
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ノーム・チョムスキー
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[12:41]
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アメリカが、君たちは核の傘の下で安全だというなら、数多くの疑問が湧き上がります。じっさい、核の傘は極めて危険です。これは実質的にアメリカの破滅を招きます
覚えておくべきですが、国際関係論で読むこととは裏腹に、アメリカ合州国は安全保障を自国の優先事項とはしていません。
これはすぐにわかります。アメリカ史を調べるだけでよいのです
このことでは、アメリカは第一人者であり、だからこそ重要なのですが、また非常に開かれた社会ですので、証拠はたくさんあります
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[13:18]
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日本を含め、記録をちょっとおさらいしてみましょう。
1950年代はじめ、アメリカは、桁外れの安全保障、巨大な力、世界の富の半分を享受していました。
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[13:32]
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比類のない安全保障ですが、潜在的な脅威がひとつありました。水爆弾頭装備の大陸間弾道ミサイルです。まだ存在していませんでしたが、潜在的な脅威でした
ロシアは、アメリカに技術面ではるかに遅れていることを、そしてわが国が開発している技術を知っていました。そこで、ロシアはこうした破壊兵器の禁止条約をアメリカに持ちかけました。
アメリカはどう対応したでしょうか?
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[14:02]
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さて、マックジョージ・バンディが著した、とても権威ある核兵器の歴史書があります。
著者は、ケネディ、ジョンソン政権以来、国家安全保障担当の補佐官でした。大量の内部文書を閲覧できる立場でした。
(破滅の)可能性を考察する記録や文書は1枚もなかったと、かれは一度ならず書いています。国民を全面的な破滅から守る可能性を考察する発想すらなかったのです。ほかの要因や問題のほうが大事だったからです。
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[14:39]
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10年後に話を進めて1962年、ジョン・F・ケネディは主観的な見込みに賭ける意志を固めました。3~5割方、大量破壊となる核戦争にいたるかもしれない決断でした。
原則を確立するためでした。アメリカには、どこにでも攻撃用核兵器を配備する権利があり、他国には、その権利がないとする原則です。綿密に見ると、そういう原則です。
この原則を確立するために、あえて核戦争に向き合ったのです。
日本も巻き込みました。キューバ・ミサイル危機の直前、6か月前ですが、ケネディは核弾頭付きのICBM(長距離ミサイル)を沖縄に送り込んでいました。
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[15:33]
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アジアが深刻に緊張していた時期、これが中国の脅威になりました
インド・中国間に、本格的な紛争が進展していたのです。このため、日本に破壊がおよぶところでした。
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[15:48]
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これが1962年の状況です。
10年後の1973年、ヘンリー・キッシンジャーが核警戒態勢を要求しました。理由は何でしょう?
中東戦争です。イスラエルとアラブの戦争です。
ロシアとアメリカは停戦させることに合意しましたが、キッシンジャーはイスラエルに停戦順守は不必要と密かに助言しました。
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[16:16]
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イスラエルは戦争を続行することができました。
核警戒態勢はロシアの介入の排除を狙っていました。核の警告ですから、もちろん誰でも知っています。
これが1973年のことです。もう10年進んで、ロナルド・レーガンが大統領です。
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[16:34]
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レーガン政権は、ロシアの防衛網を検証するために、最新鋭爆撃機などによる対ロシア核攻撃の模擬演習実施を決定しました。
ロシアは、進行中の事態をまったく理解できませんでした。現実のものか、模擬演習なのか、決めかねたのです。そこで、ロシアは厳重警戒態勢を発令しました。
戦争の瀬戸際にいたりました。
ここで、今日の状況に移りましょう。2、3週間前のことです…2、3か月前だったかな…
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[17:05]
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じっさい、最新のオバマ大統領の大演説を聴いてみますと、世界規模の核の転換――
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クリス・ウィリアムス
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[17:14]
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主軸をアジアへ
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ノーム・チョムスキー
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[17:15]
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そうです。いや、それ以上のことです。
2、3週間前、オバマが公表した軍事政策に興味深いくだりがありました。
オサマ・ビン・ラディン暗殺(という言い方はしていませんが)…これが、わが国の対パキスタン関係を脅かす危険をもたらしたというのです。
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[17:37]
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もっと背景を広げて見ると、それ以上に重大なことです。
ビン・ラディン暗殺に送りこまれた海軍特殊部隊は、撤収時の必要に応じて戦闘を命じられていました。そうなれば、米軍全体が投入されていたでしょう。
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[17:56]
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パキスタンは、国家主権の防衛を担う職業軍人部隊を保有しています。核兵器を保有し、たぶん聖戦分子も紛れ込んでいるでしょう。
パキスタン軍参謀長は侵入を伝えられ、軍隊を動員しました。かれはインドからの侵入だと考えていました。
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[18:15]
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カブールのペトレイアス将軍は、米軍と米軍機を動員しました。開戦の瀬戸際であり、わが国を核戦争に巻き込みかねませんでした。
これが、他国の領土で暗殺を実行するために起こったことです。
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[18:30]
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このことから、たやすくわかりますが、核の傘の下にいることが、脅威になります
安全保障になりません。
重大な脅威です。核兵器は、瞬時にすべてを破壊できる武器なのです。
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[18:46]
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核兵器を管理下に置く指導分子は、安全保障を最優先事項と金輪際せず、重大な危険をおかす意志をもっています。このような兵器の存在そのものが、生存に対する重大な脅威なのです。
だれかが気にしさえすれば、じっさい、法的な義務があります。
国際司法裁判所で決められた核保有諸国の法的な責任として…核不拡散条約の規定により、こういう破壊兵器を廃絶するために、善良で誠実な努力を尽くさねばなりません。
だから、安全保障の幻想を唱えるのは、極端な誤解を招きます
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クリス・ウィリアムス
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[19:36]
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フクシマの報告を、1980年代のチェルノブイリをめぐる報告に照らして、どのように比較なさいますか? 重要な違いがありますか?
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ノーム・チョムスキー
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[19:52]
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さて、チェルノブイリは、まさにソ連の大犯罪とみなされています。犯罪ゆえに悪の帝国と宣告する理由に、さらに加算するものです
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[20:04]
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比較云々は…ともかく、実にすさまじい。通じ合い、じっさい、馴れ合っています。このことについて、もっと正直にならねばなりません。
わたしに言わせれば、常に鏡を見て、自分たちの責任は何か、自分たちに何ができるか、問うべきです。できることはたくさんあります。
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クリス・ウィリアムス
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[20:29]
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日本政府に圧力をかけるには、何が一番よいか、お考えがありますか?
日本でもやはり、報道されていません。
すでに問題が数多くあります。
地域の子どもたちと、原発事故時に妊娠していた女性たちの健康への影響が現れようとしています。
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[20:46]
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適切な避難計画がありませんでした。
人びとが避難した20km立ち入り禁止区域を超えて、プルームが到来したとき、高度に放射能汚染された地域に残っていた人たちもいました。
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[20:59]
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しかし、そのひとたちはプルームが流れる方向に残ったまま、避難させられず、1か月以上も被曝しながらいつづけました。
避難するように指示されなかったのです。
しかも日本の主要なメディアは、このことをほとんど報道しませんでした。
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[21:13]
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同様に、ここでも、アメリカ政府の犯罪について、じっさいには報道されていません。
日本の状況について、問題を公にするように圧力をかけるには、わたしたちは何ができるものでしょうか?
というのも、わたしが日本にいたとき、多くの人たちが日本政府から正しい情報を与えられていないと強く心配していたものですから。
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[21:35]
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人びとの健康不安は真剣に受け止められていませんでした。
国連報告は、人びとの身体の健康や福利だけでなく、精神の健康にも触れていました。
何度も移動させられた人たちがいます。10回も緊急避難所を替えた人たちもいます。大変な不手際です。
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[21:54]
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年配者は全国に移動させられました。
11万人がいまでも避難所にいて、戻れずにいます。
それでいて、福島県で2番目に大きな都市、郡山市では…
福島県では、いまでも30万人以上の子どもたちが1mSvを超える地域にいます。
それについて、日本政府は何もする必要がないと言っています。
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[22:20]
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日本のメディアはその線で追従しています。
日本人に何ができるか、そして、ここアメリカで報道管制を破ることに関して何ができるか、教えていただけませんか?
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ノーム・チョムスキー
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[22:35]
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多くの報道管制で言えることですが、わたしたちはメディアが報道するように圧力をかけることができます。日本国内のグループを支持することができます。
かれらは報道管制に抗議し、何か…問題への対処において前進しようとしています。
わたしたちはわが国の政府に圧力をかけ、適正な移住や再定住といった、実のある事業に対する援助と支援を提供させることができます。
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[23:04]
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さらに、わたしたちはわが国の政府に圧力をかけ、これは福島の課題とは別個にやるべきことですが、もっと真剣に――現在の政府の施策よりも真剣に代替的で持続可能なエネルギー・システムの開発事業に取り組むようにさせることができます。
そうすれば、破壊的なテクノロジー利用を減らし、核エネルギーか化石燃料かという悲惨な選択に縛られなくなります。
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クリス・ウィリアムス
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[23:34]
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ここで例の論点、あなたのおっしゃるジェームズ・ハンソンが本当に明るみに出した気候変動と地球温暖化の問題について、いわば仕上げたいのですが、1980年代後半から、CO2レベルが上昇しつづけ、目下、状況がますます悪化しています。
化石燃料使用量が増えつづけています。
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[23:55]
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それに、もっと極端な形のエネルギーが利用されるようになりました。アメリカは、天然ガス枯渇の心配から抜け出しました。天然ガスの過剰なまでの供給と石油を手に入れました。2020年ごろにはサウジアラビアと肩を並べると予測されています。
石油をもっと多く採掘できるようになったからです。
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[24:16]
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真の代替エネルギーとは、何でしょうか?
ジェームズ・ハンソンは原子力を非常に高く買っています。何十年も続く福島の影響だけに留まらないですから、びっくりします。いつでも、世界400余りの原発のどこでも、起こりえることです。
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[24:38]
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もちろん、核産業は規模拡大が大好きです。
安全性だけでなく、経済性についても、いろいろ議論があるでしょうが、原子力が発電方式の答えでは絶対にありえません
原発を造ってしまえば、もちろん、巨大な装置でもあり、年から年中、動かしていなければなりませんので、エネルギー消費を拡大して、原発運転を正当化しなければなりません。
省エネルギーの考え方は投げ捨てられてしまいます。
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[25:09]
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日本で電力供給の30%にあたる原発54基のすべてを止めたときは、注目に値しました。停電もなく、日本は存続しました。
つまり、ある意味で日本に原発は必要なかったのです
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ノーム・チョムスキー
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[25:31]
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ええ、必要なかったです。
しかし問題は、そのエネルギーを補うのに、何を使ったかです。
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クリス・ウィリアムス
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[25:30]
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日本は省エネルギーの原則を実践したのですね。
しかし、前進するとして、日本はどうすれば現実的に化石燃料から離れ、原子力から離れることができるでしょう?
というのも、いま日本政府は、メタンハイドレートの開発に多額の投資をしています。これは2対1の割合で化石燃料を凌駕すると想定されています。
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ノーム・チョムスキー
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[25:52]
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そうです。じっさい、メタン開発は非常に危険です。
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クリス・ウィリアムス
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[25:55]
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途方もなく危険です!
反対の方角に向かっているようです。でも、何が正解だとお考えですか?
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ノーム・チョムスキー
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[26:02]
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ハンソン氏を個人的に知っているわけではないですが、かれはあなたのおっしゃることにすべて同意するのでは、と思います。
かれの言うことは、すぐに使える2つのひどいエネルギー源がある…どちらがよりひどいか、評価しなければ、というものだと思います。
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[26:19]
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たぶん当たっているのでしょうが、かれは化石燃料のほうがより悪いと考えています。だからといって、わたしたちが2つの選択肢に縛られるわけではありません。
できることは他にもっとたくさんあります。
じっさい、アメリカは世界一豊かな国で、圧倒的に有利です。カナダもほとんど同じです。
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[26:37]
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両国は環境を破壊しようとすることにおいて、国際的に抜きん出ています
先頭集団です。
さて、そうあらねばならないでしょうか?
いいえ。アメリカとカナダには必要ありません。
じっさい、住宅の断熱化など、非常に簡単にできることは、たくさんあります。
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[26:55]
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これは第一に、大きな経済的波及効果を生むでしょう。失業者に雇用をもたらします。エネルギー使用の非常に急激な抑制になります。安全な廃物資源を産出し、生活条件を改善します。
いいこと尽くしです。
英国など多くの国で、すでにやっていることです。
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[27:17]
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あるいは端的に言って、先進技術的なソーラーパネルの開発で、中国が世界をリードするままにしておくことはありません。
かなり奇怪な話です
また、ソーラーパネルが一番よい解決策でしょうか? そうかもしれないし、そうでないかもしれない。
わたしには技術的に判断するだけの資格がありませんが、さまざまな提案があることは知っています。
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[27:41]
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まさしくここ(マサチューセッツ工科大学)で、エンジニアたちが提案しています。
だれかが吟味して、中止を申し入れるべきですが、大気圏外の集光器から地球にマイクロ波送電するというソーラーエネルギーを提案しているのです。
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[28:01]
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それは実現可能でしょうか? まあ、わたしは判断する立場にありませんが。
しかし、これらは真剣に突き詰めるべき類いの選択肢です。それに、資金はありますが、現実には削減されています。
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[28:16]
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今この瞬間、アメリカの研究費は削減されています。科学研究を切り詰めようとする議会内の圧力によって、削減されています。
そして、こういうことが、どこでも起こっています。
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[28:31]
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2、3週間前の一流科学誌『サイエンス』に、興味深いニュースが3本掲載されました。
ひとつは、海水温の新しい測定値が、観測史上最高だったというものです。
2番目は、化石燃料使用のピーク到達にまつわる極度の危険に関する新しい発見に対する技術調査です。
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[29:07]
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3番目のニュースは議会ネタです。
下院には、エネルギー関連の委員会が3つあります。3つの委員会が委員長を改選したのですが、すべて気候変動否定論者で占められました。そのうち2人は、古くから化石燃料業界とつながりがあります
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[29:29]
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さて、これが世界の最富裕・最強国です。
つまり、このまま、わたしたちが主導しなければ――もたもたしていれば、化石燃料か核エネルギーか、という悲惨な選択を避けられる見込みは非常に望み薄になります
たったいま、わたしたちにできることがあります。
アメリカには、一大勢力があって、時に愚者の国と揶揄されるような体制に、この国を変革しようとしています。できるだけ急いで、あのレミングの行進よろしく、大急ぎで突進しようと主張しています。断崖にまっしぐら、というわけです
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[30:10]
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これが、わが国のやっていることなのです。
関係国がざっと100あるとして――
アメリカは、省エネルギーと持続可能エネルギーに関する国家方針すら持ちさえしない唯一の国です。
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[30:33]
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行き当たりばったりの政策が乱雑にありますが、他のどの国にもあるような国家方針はありません。
わが国は先頭に立つべきであり、遅れをとってはなりません。
わたしたちは最善を尽くして、わたしたちはたしかにあらゆる手立てを尽くして、日本の一般市民のグループを支援しなければなりません。かれらは、何十万の子どもたちがこの危機を乗り越えるうえで、目の前の圧倒的な問題に取り組んでいます。
だが同時に、わたしたちは国内に目を向けるべきです。
わが国が率先して問題をこじらせたり、ジェームズ・ハンソンのような人たちに悲惨な選択を任せたりしているのはなぜか、問うべきです
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クリス・ウィリアムス
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[31:14]
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世界の国々はさまざまですが…
福島ですさまじい大惨事が進行しているというのに、日本政府は適切に対処していないと、国連、その他多くの筋が言っています。
また、原子力と核兵器とは紛れなく連結しています。
さらに、CO2レベルをかつての水準にまで下げるために、わたしたちがどのように行動するか、という問題もあります。なにしろ、過去300万年間で最高レベルのCO2濃度ですから。
結局、全員が同じ惑星の上に住んでいるのです。
それでいて、人びとはてんで勝手な決定をしています。
上層部の政治家や明らかに企業は、自分たちと同程度の人びとに応じて答えながらその範囲を踏み外しているようです。
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[32:06]
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システム論から言って、かれらを欺瞞的な解決に駆り立てているものは、はたして何でしょう?
かれらは、最良の科学が、文明、生物多様性などにとって、基本的に自殺行為であると警告する道をまっしぐらに突き進んでいます。
資本主義の制約内で、まったく違ったエネルギー・パラダイムに移行することは可能だ、とお考えですか?
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ノーム・チョムスキー
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[32:32]
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資本主義は、死の宣告です。これは、ほぼ証明可能な定理です。
と言うか、わが国に資本主義体制が実際にあるわけではありません。これは、さまざまな要素が混合した体制です。
もっとも、資本主義市場原理が主流であり、実質的な広がりを占めてはいますが、よく知られた理由により、市場原理が死の宣告となっています。
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企業のCEOであれば、利益と市場シェアの最大化を法的・制度的に要請されます。じっさい、これは法的な責任です
経済学の論文には、外部性という概念があります。外部性とは、市場取引のことです
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あなたがわたしに車か何かを売るとします。わたしたちは第三者への影響を考慮しません。当事者だけの利を考えているのです。
おわかりでしょうが、時に外部性は…
外部性は常に重要です。だが、時に外部性は法外なものです。
最近の金融危機を例にあげましょう。
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これは実質的に、よく知られた市場の失敗と言えます。市場に内在する失敗です。内在するのです。
主として金融機関がリスクのある取引をするとき、いわゆるシステムの亀裂を考慮に入れていません。
システム全体が崩壊するでしょう。
これが外部性であり、だから見過ごされるのです。
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だが、事態はもっと深刻です。人類の運命に関わってきます。これは市場取引の原理で考慮されていません。
ですから、このような制度が機能しつづけるかぎり、死が宣告されています。人類を破滅に追い立てているのです。
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だから、地球を破壊しようとしているからと、エクソン・モービルのCEOを非難するのは、ちょっと難しいですね。
既存の制度構造では、それがかれの法的責任になっているからです。
だからかれが善人ということになるとは思いませんが、どこに過ちがあるか、理解しなければなりません。
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これは、前に述べた意思決定と世論の関係に関連しています。いま、この関係は非常に希薄です。
デモクラシーも、実在しています。
デモクラシーと資本主義が両立可能であるか、長年、議論されています。抽象的な論争です。
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非常に具体的に問うてみましょう。
既存の資本主義は、デモクラシーと両立するでしょうか?
答えは、まさしく目の前にあります。答えは、はっきりノーです
わたしたちは金権主義の世界に生きています。デモクラシーではありません。
その証拠は圧倒的です。
国民の大多数には、文字通り、政策への影響力がありません。国民がどのように考えていても、お構いなしです。
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非常に大規模で、手際よく実施されたアメリカの世論調査を見てみましょう。
あなたもわたしも同意するでしょうが、経済的にもエコロジー的にも、その他の面でも、最も破壊的な政策が、富裕度と所得レベルが高ければ高いほど、強く支持されています
理由はもっともです。
かれらは、短期的な利益を得て、自分たちの子どもは死ぬかもしれないが、短期的には儲かるという人たちです。これは例外なく本当のことです。
そして、金権主義において意思決定するのはかれらであり、国民ではないのです。
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さらに、有力な団体が愚者の国を作り上げるために全力を尽くしています
一例をあげれば、企業出資の団体「米国立法交流評議会(ALEC)」が、州議会の法律を立案しています。
この団体には裏の資金がたっぷりあり、多大な影響力をふるって、ほとんどの法案が議会を通ります。
その法案たるや、どんなものか想像がつくでしょう。
新規の一例をあげれば、学校向けのK-12法案があります。
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これは、いわゆる「校内批判的思考」プログラムの試行・導入を狙ったものです。聞こえはいいですね
批判的思考とは、なんでしょう?
これは、教育のバランスを意味します。
6年生クラスで、99%の科学者が信じていることを教えるとします。
すると、(バランスを取るために)反対論も教えなければなりません。これが教育のバランスです。
この考え方は、破壊志向を支持しつづける愚者の国を作り上げる試みです。
わが国の制度の成り立ちによって、組織的に要請されているのです。
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ですから、解体すべきものはたくさんあります。
ソーラーエネルギーに投資しようというような、単純な話ではありません。
破壊に駆り立てる、わが国の構造を問いましょう。
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クリス・ウィリアムス
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プラス面を見れば、わたしはとても励まされました。
日本の一般市民が巨大規模のデモで政府に対抗する運動が育っています。何万人もの規模です
東京だけでなく、全国規模です。
原子力廃絶を要求し、新しい発電方法だけでなく、政府の透明性も要求しています。国民に対する説明責任を要求しているのです
企業、とりわけ核関連企業と政府の癒着――
いわゆる「原子力ムラ」が非常に強固だったからです。
わが国の2010年ブリティッシュ石油事故のときと似ています。
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ノーム・チョムスキー
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わたしたち自身を顧みなければならないと、常にわたしは考えています。
これにも理由があります。
第2次世界大戦後、アメリカは日本を占領し、支配しました
戦後最初の2、3年間、総司令部が基本的に占領政策を実施しました。
マッカーサー司令官でした。マッカーサーは、おそらく第8学年で学んだ公民教育を信じていたのです。だから、日本の民主化の動きを許しました。
これは非常に重要でした。
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日本のファシズムに対する反動として、極めて重要な展開がありました。日本全国で起こったことです。
ワシントンのリベラルは、日本の民主化の進展に気づいたとき、愕然としました。
そこで、かれらはいわゆる逆コース路線を導入しました。本質的に企業中心のルールを日本に押し付けたのです。
アメリカ国内とよく似ています。
かれらには、そうする力がありました。
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だから、あなたがおっしゃる癒着は、どのようにでも発達しえたのですが、この場合、アメリカの直接関与により、アメリカの支配下で発達したのです。
ヨーロッパの状況と似ています。もちろん、アメリカでも起こりました
ですから、アメリカの手はどこにでも伸びていて、それには理由があります。
歴史上最強の国であり、影響力抜群です。
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だから、このような問題のすべてを見つめることは、理にかなっています。
そして問うのです。
わたしたちは何をやったのだろうか?
わたしたちに何ができるだろうか?
常に正解はあります。
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クリス・ウィリアムス
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インタビュー、ありがとうございました。
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