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2013年4月26日金曜日

速報【仙台高裁の判決(決定)の紹介(2)】盲腸のようにくっついているこの一文はなに?

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の続きです。

※ おさらい
(1)では、判決(決定)の、
1、主文:私たちの要求(申立て)に対する裁判所の応答の結論部分
2、理由の「事案の概要」:本件仮処分事件の概要
3、理由の「抗告人の主張」:私たちの主張をまとめたもの
4、理由の「裁判所の判断」: 裁判所の応答の結論を導いた理由を述べたもの

1から4の前半(事実の判断)まで紹介しました。本来なら、このあとは後半ですが、1つだけ事実の判断が残っていました。もっとも‥‥」で始まる9行ほどの短文です。

なぜ、この短文を(1)で紹介したなかったかというと、短文とはいえ、それまでの具体的かつ緻密な事実認定に立って、
(1)、郡山市の子どもは低線量被ばくにより、生命・健康に由々しい事態の進行が懸念される、
(2)、除染技術の未開発、仮置場問題の未解決等により除染は十分な成果が得えられていない
(3)、被ばくの危険を回避するためには、安全な他の地域に避難するしか手段がない
と判断したのに、突然、ここから、正反対のことを言い出したからで、両者の内容が余りに違いすぎて、その深刻な亀裂を埋めようがなかったからです。
敢えて言ってしまえば、(1)の記述とこの9行の判決文からは別の人間が書いたとしか思えないような亀裂ぶりでした。

ここで、何を言っているかというと、
子どもたちの生命・健康は、現在直ちに不可逆的な悪影響を及ぼす恐れがあるとまでは証拠上認め難い。

3.11以後、さんざん酷評された発言がよみがえりました。
判決は、その前まで、子どもたちの「生命・健康に由々しい事態の進行が懸念される」と言っていたのですから、ここで一転して「ただちに影響がない」と言い出すのであれば、よっぽどきちんと証明する必要があります。で、裁判所はどう証明したか、というと、
現在直ちに不可逆的な悪影響を及ぼす恐れがあるとまでは証拠上認め難い」
もともと「証拠がない」とは、自分の都合の悪い世界は「目をつぶれば世界は消える」ことにする時に好んで使われる便利なロジックです。
では、本件は本当に「証拠がない」のでしょうか。そんなことは言わせません。なぜなら、10頁ウで、判決自身がきちんと証拠を引用しているからです。すなわち、チェルノブイリ事故により発生した健康被害と対比する中で、郡山市の子どもたちの健康被害の「不可逆的な悪影響を及ぼす恐れ」を証明した
矢ヶ﨑意見書(甲49)、
松井意見書(甲72)、
松崎意見書(5)(甲227)
を紹介しているからです。これは私たちが最も重要な証拠として提出したものです。

判決は、子どもたちの健康被害の「不可逆的な悪影響を及ぼす恐れ」を証明するこれらの証拠を理由にして、子どもたちの「生命・健康に由々しい事態の進行が懸念される」と言ったのに、それを言った舌が渇かないうちに、今度はこれを否定してみせました。
これは大胆不敵と言っていいのか、それともご頭がおかしくなったと言うしかないのか、常人の頭では理解できません。

そして、この9行足らずの短い判決文が、のちに、「子どもたちは危険だ」しかし「子どもたちを避難させる必要はない」という結論を導き出すための隠し道具として活躍することになったのです。

想像をたくましくすれば、この盲点のような不自然な一文は、判決作成の最終段階に至って、判決の最終結論と整合性をつけるために、きゅうきょ挿入されたもののように思われてなりません。 

では、この盲腸みたいな存在が、このあと、どのように機能するのか、これを見ていきます。

以下、この盲腸の原文です。下から9行目の→を記したところから9行です。

(以下をクリックすると拡大します)


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