脱被ばく実現ネット(旧ふくしま集団疎開裁判の会)の基本情報

2016年3月12日土曜日

放射能から命を守ること=避難することは人権です。 市民のネットワークで作る人権法=チェルノブイリ法日本版制定の市民運動をスタート!

福島原発事故から5年、私たちは、事故後5年目に成立した、世界標準と言われる「避難の権利」を保障したチェルノブイリ法()の日本版をこの国で制定するための市民運動をスタートさせました。
その詳細を、3月27日、原発事故を憂慮した世界中の市民が日本に集まり、討議する「核と被ばくをなくす」世界社会フォーラム2016の分科会「福島での犯罪と命の救済」(→末尾のチラシ参照)で発表します。

チェルノブイリ法
 チェルノブイリ事故後、被ばくによる健康被害が激増した5年目に被害者の要求を受けて、1991年、世界標準といわれる住民避難基準を定めた法律がソ連で制定されたが、ソ連崩壊後3国(ウクライナ、ベラルーシ、ロシア)に引き継がれた。原子力事故から住民及び原発労働者の命と健康を守るための、いわば原子力事故に関する世界最初の人権宣言

 以下、そのコメントです。

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                                                  文責 柳原敏夫

私たち生物は放射能に勝てません。だから、放射能から命を守る最善の方法は、放射能から避難することです。
そもそも、命を守ることは「個人の尊厳」(13条)に立脚する憲法の究極の目標であり、人権のうちで最も根源的な人権が命を守ることです。
この意味で、放射能から避難すること(避難の権利)は人権の最たるものです。

この真実と正義を最初に認めた法律が、全体主義国家ソ連のもとで1991年に制定されたチェルノブイリ法です。 

しかし、ソ連とちがい、民主主義、人権保障を標榜する日本には、今までチェルノブイリ法はありませんでした。チェルノブイリ事故のような原発事故は日本には絶対起こり得ないという安全神話の夢の中にいたからです。
2011年の原発事故が全てを一変させました。 
放射能から避難することは命を守ることであり、人権の最たるものであるという真実と正義が呼び覚まされました。
多くの人たちがこれを実行し、避難しました。
しかし、唯一、これを実行していない者がいます。本来、人々の人権を保障する義務を負い(99条)、なおかつ原発事故の加害責任を負う日本政府です。
日本政府は、本来、人々が放射能から命を守るために行使した避難の権利を十分に実現できるように必要な措置を取る責任があります。
しかし、現実に日本政府がやったことは、ごくごく限られた地域の住民に対してのみこれを実行しただけで、中通りの人々をはじめ多くの人々はずっと打ち捨てられたままであり、日本政府はこの人権保障の義務を実行していない。

これが今、福島原発事故による被害者救済問題をおかしくさせ、こじらせている最大の原因です。
それは、日本政府が「個人の尊厳」(13条)に立脚し、命を守ることを人権の最たるものとする憲法という原点から考えないということです。
憲法という原点から考えれば福島原発事故による被害者救済問題の正しい解決の方向は誰の目にも明らかです。
それを実現する一歩が、住民、子どもに限らず被ばく労働者も含む全ての市民に避難する権利を保障した人権法=チェルノブイリ法の日本版を制定することです。

そんな人権法の制定、今の日本で夢ではないか?
しかし、それは最初、全体主義国家ソ連で制定されたのです。それはチェルノブイリ事故の被害者をはじめとするソ連市民「みんなが要求して制定させた」からです(→その関連記事)。
 しかも、私たちは既に、日本政府が絶対作ろうとしなかった法律を、連合した市民の力で作った実績を持っています。それが1999年に成立した市民立法=情報公開法です。
情報公開法の制定は、日本各地の市民が地元の自治体で、情報公開の条例を制定し、それを積み上げる中で、法律制定を勝ち取った輝かしい市民運動の実績です(→情報公開法制定の歴史)。
このロードマップをモデルにして、私たちは、人権法、チェルノブイリ法日本版制定の市民運動をスタートさせることにしました。

チェルノブイリ法もチェルノブイリ事故から5年目に、市民の声に押されて一気にできました。
歴史を作るのはこうした無数の市民の声です。
それは、一昨日、「保育園落ちた 日本死ね」というブログがきっかけで、子育てママの共感が広がり、あわてて自民党が待機児童問題の対策チームを設置した出来事(新聞記事)からも明らかです。
待機児童問題と同様、私たちも時間がありません。日本で最初に情報公開の条例を制定した山形県の金山町は、検討着手から3ヶ月で条例を制定しました。私たちも、早急に、日本各地で、チェルノブイリ法日本版の条例制定の取り組みに着手し、実行に移す積りです。

「みんなが反対すれば戦争をやめさせられる」、こう言ったのは、沖縄の反戦農民阿波根昌鴻さんです(「命こそ宝」16頁)。そして、こう言いました。
そのためには一人になっても訴えつづけなければいかない。平和を創る闘い、実践がいまこそ必要である、と。

「みんなが賛成すればチェルノブイリ法日本版を制定できる」、そのためには一人になっても訴えつづけなければいかない。命と平和を創る闘い、実践がいまこそ必要である。
 この言葉に共感する全ての皆さんの協力、注目、支持、支援をお待ちしています。
 市民のネットワークの力を今こそ発揮して、市民立法を創り、命と平和を創りあげていきましょう。


◆3月27日の世界社会フォーラムのチラシ

  ) 金山町の条例制定の記事(「情報公開法を求める市民運動」の機関紙より)

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