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2017年10月31日火曜日

落合栄一郎氏の講演会報告

  カナダ・バンクーバー在住の工学博士、落合栄一郎氏の来日中に、ぜひ放射能と被ばくについての講演をしてほしいとご依頼し、快諾をいただき、台風接近の渋谷で無事開催となりまた。雨風のなかご参加された皆さまのお陰で、満席の講演会を開くことができました。
 工学的な大変難しい内容が含まれる講演会でもありましたが、落合氏の柔和な語り口と、笑顔の効果で、2時間を超える講演もあっという間に過ぎてしまい予定時間を超えてなお、「もっと知りたい、聞きたい」という皆さんの放射能、被ばくに対する情報を求める切実な思いが会場全体に伝わってきました。
 落合氏は、ご自身の専門分野であるところでは、力強く断定的にお話され、疫学や病理学的な内容に関しては「私の専門外のことで、わかりませんが」という前置きをして謙虚にお話しされます。「根拠のない安心、安全神話」を自信満々にたれ流している御用学者との違いが明確であるところを、科学に素人の私でも感じるものが充分にありました。

 大変に多岐にわたる内容なので、詳しくは動画をご覧になっていただければと思いますが、私なりに印象に残った部分について書かせていただきます。

・武器としての核に対して、「核の平和利用」については、国際社会は促進のスタンンスをとっており、大量の放射能物質を必然的に作り出す原発の闇の部分にについて焦点があたっていない現状がある。
・「人間は、何故10SVの放射能を浴びると即死してしまうのか?」に関して、放射能の破壊力はとてつもなく大きく、10SVを浴びたとしても熱量としては体温の微かな上昇をもたらすだけだが、生物が生物として成すところの電子レベルでの破壊が、瞬時に大量に発生することで死に至らしめる過程を科学的に解説していただきました。

・原発事故のあった地域や、原発立地地域でのアルツハイマーの増加や、様々なガン等の病気の増加は因果関係が認められる可能性は低いが実態として表面化してきている。
(特に、アルツハイマーの増加を示すグラフに関しては、私も個人的に初めて見たものであり、ショックでした。)

・原発に使われるウランの採掘で発生する周辺住民の健康被害の実態、「黄色い土」 にまつわる伝承、放射能が発見される以前のはるか昔から危険を予告する言い伝えが世界各国のウラン鉱山をもつ地域にあることは、人類と核が「あいいれないもの」であることを如実に物語っている。

・放射能については、キュリーのラジウム発見の当初から人間をモルモット的に扱う闇が絶えずある。核兵器製造工場、核実験場、時計製品などのラジウム入り発光塗料を女工に(危険を承知で)経口摂取させていたラジウムシティーガールの問題など。

・トリチウムが人体に及ぼす影響や、平均的な日本の原発が1年間稼働した場合の「死の灰」の発生量が広島原爆の1000倍であることなど。
限られた講演時間でしたが、放射能が広範囲に、多岐に渡り人類の生命を脅かし、私達の生活にいかに深く関わっているかを再認識できた講演内容でした。

追記
 懇親会では、参加者(福島県から参加、または福島から避難されている方なども参加)が、事故当時の体の急変や、事故以降の動植物の異変、汚染区域で学ばざるを得ない子ども達についてなど福島の実情をお話しして下さいました。

【講演会のビデオ】

(前半) 核(軍事も平和利用も)地球上から無さなければ、人類に未来はない  
(後半) (被ばくとはなに?)放射性粒子の生体内分子への作用  
(柳原弁護士のアピール) 日本版チェルノブイリ法の条例化推進
(懇親会のビデオはありません)

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