脱被ばく実現ネット(旧ふくしま集団疎開裁判の会)の基本情報

2012年10月5日金曜日

【速報】10.1全国会議員に宛てた国政の最大課題についての質問状


 先ごろ放送されたNHK・ETV特集のチェルノブイリ事故の報告からも明らかですが、福島原発事故は今なお、事故のさなかにあります。私たちは一種の核戦争()の中にいるのです。
 この核戦争の最大の被害者は子どもです。とりわけ福島県の子ども達です。他方、国はその攻撃を支援しました、昨年4月、突如、それまでの一般大人の線量限度の1mSvをいきなり子どもに20倍する20mSv政策を採用したからです。今日でも依然本質的にはその政策を変更していません。
国は即刻、この核戦争加担政策をやめ、子どもを危険な被ばくから救うべきです。それが、今、日本の最も緊急に解決すべき最大の政治課題です。これは政策論争ではありません。福島県の子どもの命という人権の根本問題が問われているのです。
 
ところが不可思議なことに、3.11以来今日まで、国会議員の中で、福島県の子どもたちを被ばくから救うため集団避難させるべきだと表明した声はひとつも聞いたことがありません。本来、主権者である我々市民の利益、保護および安全を実現するために国政を運営する権限を我々市民から付託されている国会議員の皆さんは、いったい、この国政の最大課題についてどう考えているのか、政治家の最大の義務である説明責任をきちんと果していただきたいと思い、折りしも疎開裁判の最大の転換点である101日に、国会議員の皆さんに、直接、問うてみることしました。
それが以下の質問状です。一般的、抽象的になら「子どもを守れ」「未来を守れ」はいくらでも口にできます。しかし、問題は具体的に「いま、被ばくの危険にさらされている福島県の子どもたちを直ちに集団避難させる」かどうかです。これについて、国会議員の皆さんから真摯な考えを聞かせていただきたいと期待しています。
また、これは国会議員だけに突きつけられた問題ではありません。この問題は、チョムスキーが指摘した通り、「日本にとって、世界中の私たち全員にとって、失敗が許されない試練なのです」。

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議員各位
2012101

「子どもは国の未来・国の宝」です。福島県の子どもはその例外だという人はいません。「子どもはひとしく国の宝」です。
郡山市の子どもたちは、東電福島第一原発事故(以下、福島原発事故)があった昨年の311日から8月までの僅か5ケ月間だけでも7.8~17.2mSv(年間では12~24 mSv)の放射線を被曝したと推定され、今も、高い放射線量のなかでの生活を余儀なくされています。
本来、国は、憲法で「子どもたちを安全な環境で教育する」義務を負っているのみならず、福島原発事故は自然災害ではなく人災であり、国はこの人災の加害者の立場にあります。しかし、国も自治体も福島県の子どもたちを安全な場所に避難させようとしませんでした。そこで、福島県郡山市の小中学生14名が、昨年(2011年)624日、福島地方裁判所郡山支部に、苦しみの中で救済を求めている福島県の子どもたちの声に耳を傾けようとしない文科省と自治体の人権侵害行為をただし、年間1ミリシーベルト(mSv)以下――毎時では0.2マイクロシーベルト(μSv)以下――の安全な場所で教育を受けるため、裁判所に避難の救済を訴え出ました(通称「ふくしま集団疎開裁判」)。しかし、申立てから13ヶ月が経過した現在、彼らは今も引き続き、高い放射線量の中で学校教育を余儀なくされています。

私たちは、裁判の中で当初から、このままではチェルノブイリ原発事故で発生した深刻な健康被害が福島県でも発生すると科学的に予測し、警鐘を鳴らしました。
不幸にして、その予測は「福島県民健康管理調査」報告で実証されてきています。
今年の426日に発表された「福島県民健康管理調査」報告で、13市町村の38000人の子どもたちの35%に甲状腺の「のう胞」(ただれ=炎症あるいは細胞の性質の変化)が発見されました。これは、福島県放射線健康リスク管理アドバイザー山下俊一氏らが、長崎の子ども達を検査した結果(0.8%)や、事故から510年後のチェルノブイリの子ども達を検査した結果(0.5%)と比較しても、途方もなく高い数字です。これを知った海外の専門家は次のような警鐘を鳴らしました。
「この子どもたちは追跡調査をしてる場合じゃありません。のう胞や結節などの全ての異常は直ちに生体組織検査をして悪性であるかを調べるべきです。~中略~子どもたちに甲状腺結節やのう胞があるのは、異常極まりありません!」(昨年4月、NYタイムズに「安全な被曝量というものはない」を寄稿した被曝問題に詳しいオーストラリアのヘレン・カルディコット博士)
「カルディコット博士の上記見解に同意します。福島原発事故後にこれほどすぐに、多くの子どもたちに甲状腺の嚢腫や結節が見られることに驚いています。」(Business Insiderの取材に答えたアメリカ甲状腺学会次期会長、コロラド医学大学の内分泌科チーフのブライアン・ホーゲン博士)
この事態はさらに深刻となりました。その5か月後の911日発表の第8回「福島県民健康調査」報告で、「のう胞」が発見された子どもの割合は43%に跳ね上がりました。特に女子の被害は深刻で、6~10歳の女子の54.1%11~15歳の女子の55.3%に「のう胞」が発見されました。しかも、二次検査を終えた38人の中から初めて、1人が小児甲状腺がんと診断されました。子ども達の健康被害が急速に進行しているという何よりの顕れではないでしょうか。

「福島県民健康調査」調査結果にも賢著に顕れているように、いま、福島原発事故による甚大な汚染が、刻一刻と子ども達の健康を脅かしています。道徳の究極の原理は「命こそ宝」であり、政治の原点はこの命を守ることにあります。とりわけ社会の最も弱い立場の、傷つきやすく大切な存在である子どもの命を守ることこそ政治に課せられた最重要の使命です。
チェルノブイリ原発事故の被害者の人たちが異口同音に訴える言葉――二度と決して、私たちの失敗をくり返して欲しくありません――今こそ、チェルノブイリの痛恨の訓えから学び、政治に課せられた最重要の使命である「子どもの命を救う」という緊急課題を実行すべき時であります。

本日、「ふくしま集団疎開裁判」は仮処分事件の二審として異例の裁判(審尋)が仙台高等裁判所で行なわれます。これは形式的な理屈で低線量被ばくの危険性を否定した一審判決を見直すためという可能性を秘めた極めて重要な期日です。
私たちは、この重要な日にあたって、国民の厳粛な信託により国政を担当する国会における代表者である国会議員の皆様一人ひとりに、いま、政治の原点である「子どもの命を守る」ための緊急課題についてどのように考えておられるのか、その考えを知りたく、別紙の質問をさせていただいた次第です。どうか、私ども国民の注視に答えていただくことを深く願ってやみません。

なお、この裁判の詳細は、「ふくしま集団疎開裁判の会」ブログをご覧ください。

<ご回答宛先>
メールによるご回答(ご回答書を添付ください)
sokai@song-deborah.com
FAXによるご回答(ご回答書を送信ください)
0263-39-0700(安藤法律事務所)

<ご回答期限>
勝手ながら、20121015までにご回答くださいますようお願い申し上げます。

ふくしま集団疎開裁判の会
代表 井上利男              電話 024-954-7478
光前法律事務所              電話 03-5412-0828



ご回答書
 
1.日本国内で高濃度に放射能汚染された地域(チェルノブイリ原発事故による汚染区分:強制避難区域(0.571μSv/h以上)と同等)の子ども達を、直ちに疎開させるべきだと思いますか   (該当する方に丸をつけてください)

は い ・ い い え


注釈:世界標準といわれるチェルノブイリ住民避難基準によっても、チェルノブイリでは沢山の人々が命を落とし、健康を損ないました。その理由の1つがチェルノブイリ住民避難基準の採用が健康被害の悪化が明らかとなった事故後5年も経過してからのことで、遅すぎたと言われています。福島ではその教訓を学び、チェルノブイリ住民避難基準で強制移住地域(空間線量が年5mSv以上)で学校教育を受けてきた子どもたちは直ちに疎開させるべきであるという主張があります。

2.子ども達を放射能汚染された地域(東電福島第一原発事故前の本来の国の公衆の被曝限度:年間1mSvを超えた地域)から疎開させるべきだと思いますか      (該当する方に丸をつけてください)

は い ・ い い え


注釈:チェルノブイリ住民避難基準は大人を対象にした基準です。他方、子どもは放射能の影響を大人より3~5倍受けると言われています。そこで、いま、子どもの目線でチェルノブイリ住民避難基準を見直せば、3~5倍厳しく考えるべきです。つまり強制移住地域であれば空間線量が年1mSv以上と読み替えるのが適切であり、この意味で、年1mSv以上で学校教育を受けてきた子どもたちは直ちに疎開させるべきであるという主張があります。これはまた、福島原発事故以前の我が国の年間許容量でもあります。

コメント (以上の回答について、結論を導いた理由を説明していただければ幸いです)





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)日々、福島原発から放出された大量の放射性物質によって、外部から、そして体内に取り込まれ内部から、桁違いな量でくり返される原子核の崩壊と同時に発射される放射線とのたえまのない戦い (年間1mSvだけでも「毎秒1万本の放射線が体を被曝させるのが1年間続くもの」(矢ヶ崎克馬琉球大学名誉教授))を強いられているからです。「放射線の被ばく」という、目に見えず、臭いもせず、痛みも感じない、要するに私たちの日常感覚ではぜったい理解できない相手との戦いの中にほおり込まれています。それは放射性物質からの攻撃という意味で核戦争です。

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