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◎「ふくしま集団疎開裁判」資料
2012年12月28日
1、
はじめに
裁判制度の最大の特色は、当事者は言い分を単に主張するだけではダメで、言い分を証明することまで求められる点にある(説明責任の徹底化)。
そのため、当事者は訴状等の主張書面のみならず、その裏付けとなる証拠を提出しなっければならない。
(以下、便宜上、ここでは申立人を原告、相手方郡山市を被告、裁判所の判断を判決と呼ぶ)
2、一審の主張1(申立の結論について)
(1)、申立書で原告(14人の小中学生)が求めたこと
郡山市に対し、14人の原告が空間放射線量が年間1mSv以下の安全な環境の地域で教育を受けられるように避難すること。
(2)、被告(郡山市)が求めたこと
原告の申立を却下する。
3、一審の主張2(申立の理由について)
(1)、原告の主張
ア、原告らが通う7つの学校は「郡山合同庁舎」の空間線量の値から推計(線量グラフ)
①昨年3月12日~8月31日の空間線量の積算値は7.8~17.16mSv
②昨年3月12日以来1年間の空間線量の積算値は12.7~24mSvと推定。
③一審裁判の審理終結日(昨年10月末)から年間1mSv以上と推定。
チェルノブイリ事故で旧ソ連とロシア等3国が定めた住民避難基準を郡山市に当てはめると、原告らが通う学校周辺は、昨年10月末の時点で、全て移住義務地域に該当(汚染マップ)。
(2)、被告の主張(答弁)
すべて不知。
(3)、被告の反論
第1の反論:平成23年6月と7月に実施した、原告が通う学校で積算線量計で測定した結果によれば、空間線量は毎時0.08~0.2μSv
第2の反論:学校滞在中の年間推定被ばく線量について
学校滞在時間を1日8時間、年間200日と仮定した年間推定被ばく線量は、
0. 08μSv×8時間×200日=0.13mSv
0.2μSv ×8時間×200日=0.32mSv
いずれも1mSv以下。
(4)、原告の再反論
第1の反論に対し:積算線量計を携帯したのは子どもでなく、教職員。子どもが校庭で過ごす時、「教職員」はコンクリートの校舎内で過ごすことが多いのが実態であり、測定結果≠子どもの被曝線量
第2の反論に対し:木造家屋の低減係数を原子力安全委員会の「原子力施設等の防災対策について」により、木造家屋0.9とし、登校日は登下校に1時間を要し、帰宅後は自宅から出ないものと仮定し、休日は1日に3時間を戸外で過ごし、その他の時間は自宅ですごすものと仮定すると、年間の被曝量は2.5~6.3mSV。1mSvをはるかに超える。
3、2011.12.16 一審裁判所の判断(決定書)
(1)、結論
原告の申立てを却下。
(2)、その理由
ア、生命身体に対する切迫した危険性の発生
100ミリシーベルト未満の放射線量を受けた場合における晩発性障害の発生確率について実証的な裏付けがないこと、4月19日付け文科省通知において年間20ミリシーベルトが暫定的な目安とされていたことを踏まえると、原告に過去の被ばく量と併せて年間1ミリシーベルトを超える被ばく量が見込まれるとしても,切迫した危険性は認められない。
イ、他の代替手段について(仮処分の必要性)
(転校の自由については、これを理由に原告の申立を否定しなかったが)、住民票を郡山市に残したまま転校する区域外通学について、この方法により原告らは損害を避けることができるのだから、本件差止を認める必要がない。
ウ、内部被ばくについて
個々の原告について,その具体的な内部被ばくの有無及び程度は明らかにされていない。
エ、3.11以来の過去の被曝について
過去の被ばくそれ自体は,本件申立てにより防止することができる性質のものではないから、考慮する必要がない。
4、 二審の主張
(1)、原告の主張
ア、判決批判(100mSv問題・20mSv問題、区域外通学問題、内部被ばく問題‥‥抗告理由書)
ウ、学校内の空間線量の現実(詳細に測定した山内意見書)
(2)、被告の反論
一審では口にもしなかった100mSv問題を含め、一審判決を全面支持
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