脱被ばく実現ネット(旧ふくしま集団疎開裁判の会)の基本情報

2016年8月10日水曜日

「子ども脱被ばく裁判」を傍聴して。(2)

8月8日の第6回子ども脱被ばく裁判に参加した別メンバーからの
報告です。


「子ども脱被ばく裁判」を傍聴して。(松岡記)

「子ども人権裁判」の門前払いはなくなった。今後は法廷で福島の現状は緊急に子どもを避難させるべき汚染状況にあること、健康被害が深刻化する危惧を証明していくこと。20ミリSV/年の帰還を強引に進める国策に立ち向かって突破してほしいです。


井戸弁護団長
(写真は鈴木博喜さん撮影 http://taminokoeshimbun.blog.fc2.com/blog-entry-33.html より)
井戸弁護団長報告及び準備書面は弁護団ブログにて→http://fukusima-sokaisaiban.blogspot.jp

「『親子裁判』について、国の反論、原告は同時に生業裁判、各地で東電・国に賠償を求めて係争中。二重賠償ではないかという異議に対し、それらの訴訟は東電・国が原発事故を起こしたことによる被害の賠償。本裁判は、事故後、国がとるべき防御策をしなかったことについての訴訟だから、二重賠償にはならないと反論。
→裁判官は、うんともすんとも言わないが、こちらの意見を認めたようだ。
『国は情報を隠した』と指摘する原告側に対し、国は『情報を公開する義務はない』と反論。我々は『災害基本法』『防災基本計画』『原子力防災対策』に、住民に適切な情報を伝える義務が明記されている、スピーディのデーターを流すだけでなく、データーを分析して読み取れることを伝える、情報を提供をするのは義務だと反論。

裁判は①加害者が加害行為をしたかどうか、これは、スピーディを公開しなかった、ヨード剤を配布しなかった等々で加害事実は明白。
②その加害行為によってどれだけ被害・損害を被ったかを争う。ここを原告一人一人に具体的に語ってもらい、まとめていく作業をする。――町の指示で、放射能雲が流れた津島に滞在。雪が降り子どもは大喜びで雪合戦をして遊んだ。雪を食べたとか(嗚呼)・・」と言うのが弁護士さんの説明でした。

2011年福島過酷事故直後、小中学校は新学期をスタートさせた。一旦は避難した子ども達を福島に呼び戻した。あれから5年、週刊誌「女性自身」は、3月22日号で福島の小中学校60校の土壌を測ったら、8割が放射線管理区域4万bq/㎡以上の汚染だったと驚愕の報道をした。そんな環境で子どもたちが暮らしているのを黙認して、見て見ぬふりをしていていいのでしょうか。
小児甲状腺がんは172人、避難を希望する子どもには国が安心して学習し育っていける環境を保障する。低線量被ばく地に留まる子には、国として長期保養保障という判決を引きだしてほしい。



おしどりマコケンの「福島原発事故取材報告」の報告

15時からの裁判の前、市民会館でおしどりさんの「取材報告」があった。お二人の絶妙なかけあいで、粘り強い、勇敢、鋭い取材活動、ビックリするような話を沢山聞きかせていただいた。

「県民健康調査検討会議、3回目迄は秘密に開催、地元マスコミにしか知らせなかった。4回目から公開された。ずっと通い続けているが、去年から一般の人々の傍聴が何故か急増してきた。身内に1人2人とガンを罹患したとか、何か体調が今までと違うとか多くの県民が何か感じ始めているのではないか。
小児甲状腺がんを発症した子の部活、運動部と文化部の比較を調査してほしいという声を福島、茨城でも聞く。2011年4月19日文科省は3.8μSV/h未満なら校庭使用可とした。5月6月、野球部員は甲子園に向けて猛練習し県選抜にのぞんだ。
2012年5月厚労省は、除染など特定線量下業者に、健康診断、線量測定、累積線量の記録、防御の装備など作業員の防御のガイドラインを通知。その空間線量は2.5μミリSV以下。中高生は3.8μミリSV未満の校庭で、砂まみれで野球をやっている。おかしくないですか?

 2015年4月検討委員会は小児甲状ガンは数十倍のオーダーで多発と認めたが、いまだに原因を原発事故由来とは認めない。甲状腺ガンはゆっくり進行と言う定説に反し、成長が速い(1巡目にA判定で2年後の2巡目で甲状ガンを発症。手術した7割以上がリンパに転移)。男子と女子の比率は、1:8で圧倒的に女子が多い病気が定説だったが、1:1.2で、男子の罹患率が異常に高くなっている。ヘンです、何故?」

マコさんは提案する。福島と比較するために他の県で20万30万規模でのエコー検査をするのはなかなか難しい。福島でこのまますっとエコー検査を続ければいいのだ。ウクライナの医師達が、検査を続けそのデーターから、1986年6月以降生まれた子ども達の甲状腺ガン発症はゼロだという事実で、小児甲状腺ガンがチェリノブイリ原発由来と証明できた。しかし、だからなのか、福島では、エコー検査縮小を画策しているようだと危惧した。
8月8日の福島民友で県民健康調査検討委員会は、甲状腺エコー検査を受診するメリットが少ないとの医療関係者の声が上がっているので、対象者の縮小、各学校の集団検診という検査方法などの見直す議論に9月に着手と報じていた。
(信じられません。医療関係者が何と言ったか知りませんが、シロウトの私が考えても、1巡目でA判定でも2巡目で甲状腺ガンが見つかっているのだから、検査し続けるしかないではないか。リンパに転移していたら、肺や肝臓や脳、骨に転移するリスクは常識ではないか。
年1回の無料健康診断はどこの地方自治体でもやっていて、しつこいくらい催促するのに)
5年経った福島では、何かおかしい、ヘンだ、生物学者たちが、昆虫や松の異変、農民がトマトや玉ねぎの異変、ユリの花の異変をいぶかる声はあがっているのに。子どもの甲状腺癌は172人と増えているのに。

「放射性廃棄物処理の問題で、ドイツのアッセに行ってきた。1967年からアッセの廃鉱になった岩塩坑道に放射性廃棄物のドラム缶、12万4千本を投入。ある時から突然住民に病気が増えた。原因を追究して、井戸水にプルトニウムが混じっていることが判明。岩塩鉱の地層は強固なはずだったが、水が流入し地下水に沁み出ていた。ドイツの放射能問題の研究センター所長と話した。『愚かな民は愚かな政治家を選んでしまう。誰かのせいにしていてはダメだ。我々の責任なんです。私達市民一人一人が学び、賢くなってきちんとした政策を政治家にとらせる。それが民主主義だ』と所長は言った。
『20ミリsv/年で帰還強要なんてありえない。20ミリSV/年は原発作業員、5ミリSV/年はレントゲン技師。小学校の校庭で原発を動かすようなものだ。そんな酷い帰還政策を日本の国民は受け入れているのか?』『いや、私は受け入れていない、当事者も抵抗している、市民たちも反対している…』と答えましたが、『日本の国民は受け入れているのか』と所長は繰り返し聞いた」

「国・福島県と国際原子力機関(IAEA)の福島原発事故をマイナスではなく、プラスとして使いたい。原発事故が起きても大丈夫。自分の力で除染して住み続ける、そんなモデルを福島で示したい。だから、なにがなんでも復興、帰還政策でオリンピックまでに原発事故なんかなかったように、元に戻したい。」

毎日7千人の作業員の高線量下で収束作業は続くが福島原発事故収束のメドはたたない、放射能は海に空にでているのに、福島原発事故の緊急事態宣言は解除されてないのに、今後何が起こるか分からないのに、土壌は汚染されたままなのに、帰還せよ! 

「これを国民が受け入れてしまったら、自民党の憲法草案が憲法にならなくても、基本的人権は蹂躙され、改憲されてしまっているのだ」とおしどりマコ・ケンさんは強く訴えた。



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