告知

告知 ①12.14(第2土曜日)新宿アルタ前 街頭宣伝 14時~15時  ~「東海第二原発いらない一斉行動」第14弾に参加~

2013年2月25日月曜日

【2.23第1回デモ報告】速報3:写真報告&映像まとめ

23日の新宿デモの写真報告&映像をまとめました。
佐藤鉄兵さん写真
・レイバーネット
・さよなら原発みなと
ムキンポさん写真
ジャンジャン記事報道  
・ユープラン映像
・秋山りおさん映像
IWJ(岩上チャンネル映像)
・右側、中継を観ていた人のコメントが分かるツイキャス
・YouTube「時間がない! 子どもたちに集団疎開を 2・23新宿デモ
・Facebook「ふくしま集団疎開裁判

お父さんと参加した小学1年生の女の子

           プラカードを作って、神奈川から参加した小学4年の男の子
( JanJanBlog記事「100万人に1人」の甲状腺がんが福島で多発~都内で緊急デモ~」より)

                       佐藤慧さん提供
                       佐藤慧さん提供

【裁判速報】ロスタイムに入った裁判所に、緊急書面の提出(3)「福島中通りとその周辺の放射線レベルの高い地域に居住を続けることは、医学的にまったく推奨できない。速やかかつ真摯に移住、避難等の抜本的対策を講ずるべきである。」松崎意見書(5)提出

2月20日、北海道深川市立病院内科の松崎道幸医師作成の意見書()(甲163)を提出しました。
これは、本年2月13日に、福島県の県民健康管理調査の検討委員会(座長・山下俊一福島県立医大副学長)が公表した結果をどう評価すべきかについて、検討委員会の座長である山下俊一氏が事故後5年目から検診したチェルノブイリ事故による甲状腺がんの発生データと対比して明らかにしたものです。つまり、3.11以前の山下氏を鏡にして、3.11以後の山下氏のデータ・見解を検証したものです。
その結論は、次の通りです。もはや、一刻の猶予もなりません。


1. 現在の福島の子どもたちには、被ばくから数年後のチェルノブイリ高汚染地域の子どもに匹敵する頻度で甲状腺がんが発生している。
2. 甲状腺がんは今後激増する恐れがある。
3. 福島中通りとその周辺の放射線レベルの高い地域に居住を続けることは、医学的にまったく推奨できない。速やかかつ真摯に移住、避難等の抜本的対策を講ずるべきである。 
4. 福島の事態は、放射線防護に関する「権威ある」国際機関および専門家が言い続けてきた「予測」をはるかに上回ることが日増しにあきらになっており、従来の言説にとらわれない先取的、予防的対策が重要であることを認識すべきである。

 以下、その全文です。

   *********************
意見書 (5)
――今、福島のこども達に発生している甲状腺がんについて――
 
松崎 道幸

(深川市立病院内科・医学博士)

2013年2月19日


目 次
第1.略歴
第2.福島の小児甲状腺がんの発生率はチェルノブイリと同じかそれ以上のおそれがある
 
第1.略歴
甲131号証の記載の通り。

第2.福島の小児甲状腺がんの発生率はチェルノブイリと同じかそれ以上のおそれがある

1. 福島と同じ方法で実施された子どもの甲状腺検診データがチェルノブイリにある

2013年2月13日、福島県県民健康管理調査検討委員会において、甲状腺検診を受けた18才以下の子どもたち3万8千人から3名の甲状腺がんが発見されたことが報道されました。
しかもこのほかに甲状腺がんの疑いのある子どもさんが7名おられるということです。したがって、原発事故から2年も経たないうちに、3万8千人の子どもたちから最大10名の甲状腺がんの発生が予測されるという事態になりました。

この福島の数字が多いのか少ないのかを判断する上で、参考にできる調査があります。
それは、チェルノブイリの原発事故の5年後から開始された日本の医学者による被災地周辺の子どもたちの甲状腺検診結果です。
この検診の最初の詳しい報告は、1995年に山下俊一氏(現長崎大大学院医歯薬学総合研究科教授・福島県立医科大学副学長)、長瀧重信氏(長崎大学名誉教授)らが共同著者となった論文(以下「山下チーム論文」と記す)としてThyroidという医学雑誌に発表されています(【論文名】チェルノブイリ周辺の子どもの甲状腺の病気 【著者】Ito M, Yamashita S(山下俊一), Ashizawa K, Namba H, Hoshi M, Shibata Y, Sekine I, Nagataki S(長瀧重信) 【掲載誌】『Thyroid(甲状腺)』第5巻第5号、365~8ページ、1995年)。

これは、事故時10才以下だったチェルノブイリ周辺の約5万人の子どもたちを対象に、事故から5~7年後に初めて甲状腺超音波検査を行った結果を報告したものです。
このチェルノブイリ検診が、今回の福島の検診結果を解釈する上で参考になるのは、次の共通点があるからです。

① 原則として調査地域のすべての子どもを検診対象とした
② 超音波検査で直径5ミリ以上の結節性病変のある者を穿刺細胞診の対象者として選択した。

下表にチェルノブイリと福島の小児甲状腺検診の概要および結果を示します。

* Ito M, Yamashita S, Ashizawa K, Hara T, Namba H, Hoshi M, Shibata Y, Sekine I, Kotova L, Panasyuk G, Demidchick EP, Nagataki S. Histopathological characteristics of childhood thyroid cancer in Gomel, Belarus. Int J Cancer. 1996 Jan 3;65(1):29-33.[1]
**(福島民報)「新たに2人甲状腺がん 県民健康管理調査」[2]

2. 福島の甲状腺がん頻度はチェルノブイリ周辺の高汚染地域と同じだった

チェルノブイリの検診では、径5ミリ超の甲状腺病変を超音波検査で検出し、穿刺細胞診検査などで診断を行った結果、55,054名から4名(1万4千人に1人)の甲状腺がんが発見されました。
下の地図に山下チーム論文の調査地域と放射能汚染度を示します。同縮尺で、福島周辺の放射能汚染度も併置しました。

下表は、山下チーム論文の表1をもとに、地域別の超音波検診数と甲状腺がん発見数を示したものです。調査地区中最も放射能汚染の高度なゴメリ地区では8,949名中2名に甲状腺がんが発見されました。


3.福島調査では3名が甲状腺がんと確定。他の7名も甲状腺がんの可能性が極めて濃厚

一方、福島調査では、38,114名から3名の甲状腺がんが確認され、なお、7名の結節(平均直径15mm)が甲状腺がんの疑いが濃厚であるということで精査中です。
毎日新聞[3]は、最終診断が未確定の7名のこどもについて、「7人は細胞検査により約8割の確率で甲状腺がんの可能性があるという。7人の確定診断は今後の手術後などになるため、最大10人に増える可能性がある」(アンダーラインは松崎によるもの)と報道しています。


 したがって、現在の時点で、福島では、1万3千人に1人が甲状腺がんを発病しており、もし、他の7名がすべて甲状腺がんと確定したなら、3千8百人から1人甲状腺がんが発生したことになります。
下図は、チェルノブイリ周辺と福島の検診人数を四角形で、確定甲状腺がん数を黒丸、甲状腺がん疑い数を灰色丸で表示したものです。



原発事故数年後にチェルノブイリの高汚染地域(ゴメリ地区)では4千5百人に1人が甲状腺がんと診断されました。しかし福島では原発事故後2年も経たないうちに、甲状腺がん確定例が1万3千人に1人、疑い例も含めると3千人に1人と、ゴメリ地区に匹敵する発生率になる恐れがあることが明らかになりました。(下図左はゴメリ地区だけを表示)


4. 事故の1年後でチェルノブイリの数年後とすでに同じ発生頻度なら、福島の甲状腺がんはこれから激増する恐れがある

福島の子どもたちの甲状腺がんが原発事故による放射線被ばくと関連するとすれば、5年後には、さらに多くの甲状腺がんが福島において、発生すると見なければなりません。
下図に明らかなように、チェルノブイリ調査は、子どもたちに甲状腺がんが急増した時期に実施されたのに対し、福島調査は、チェルノブイリでわずかに甲状腺がんの増加が見られ始めた時期に実施されたことになります。しかも、すでに、チェルノブイリ事故の高汚染地域に匹敵する頻度で甲状腺がんが発生しているのですから、福島の子どもたちにチェルノブイリを上回る頻度で甲状腺がんが発病する恐れがあるとする予測には十分な根拠があります。



5. 山下チーム論文は、初期被ばくだけでなく、慢性低線量被ばくも甲状腺がん増加の原因であろうと正しく指摘していた

山下チーム論文は、次頁に該当部分を引用しましたが、チェルノブイリの小児甲状腺がんが、急性の直接被ばく(事故初期のヨード被ばく)だけでなく、その後の持続的低線量被ばく(放射性降下物による地表汚染)によって発生増加していると述べています。私もこの結論に同意します。私たちが出来るのは、子どもたちにこれ以上の放射線被ばくをさせないことです。子どもたちを現状の放射線汚染地域に住まわせることを見直し、移住・疎開等を真剣に考慮すべきです。

結論

1.     現在の福島の子どもたちには、被ばくから数年後のチェルノブイリ高汚染地域の子どもに匹敵する頻度で甲状腺がんが発生している。
2.     甲状腺がんは今後激増する恐れがある。
3.     福島中通りとその周辺の放射線レベルの高い地域に居住を続けることは、医学的にまったく推奨できない。速やかかつ真摯に移住、避難等の抜本的対策を講ずるべきである。
4.     福島の事態は、放射線防護に関する「権威ある」国際機関および専門家が言い続けてきた「予測」をはるかに上回ることが日増しにあきらになっており、従来の言説にとらわれない先取的、予防的対策が重要であることを認識すべきである。
以 上



[1]http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/(SICI)1097-0215(19960103)65:1%3C29::AID-IJC6%3E3.0.CO;2-3/pdf
[2] http://www.minpo.jp/news/detail/201302146637
[3] http://mainichi.jp/select/news/20130214k0000m040061000c.html

2013年2月24日日曜日

【裁判速報】ロスタイムに入った裁判所に、緊急書面の提出(2)「小児甲状腺ガン、事故後5年で郡山市だけで、最悪、ベラルーシと同数~6倍」準備書面(8)提出

 2月20日、抗告人の準備書面(8)(その別紙1~4)を裁判所に提出しました。

その最大の主張は、
1、原発事故後5~6年目の郡山市
今月2月13日に開催された 福島県の県民健康管理調査の検討委員会(座長・山下俊一福島県立医大副学長)の公表結果に基づき、松崎意見書(5)の評価を、郡山市に即して検討すると、郡山市の小中学生は、原発事故後5~6年目には、小児甲状腺がんの発生が
  最小 11.9名×5.8倍=69名
  最大 11.9名×14.75倍=175.5名

と予測され、これはベラルーシのチェルノブイリ事故後5、6年目の小児甲状腺がん数の29名と59名(→表1参照)と比べ、同数~6倍弱になります。
すなわち、このまま被ばくし続けると、5,6年後には、郡山市一都市だけで、ベラルーシ一国の同数~6倍の小児甲状腺がんが発生する可能性があります。

2、原発事故後2年目の福島県
福島県の予測では、平成23年・24年の検査で750名程度の子どもがB判定とされる。これまでのところ、B判定のうち6.6%程度の子どもに甲状腺がんが発症しているので、2年目で750人×0.066+10人≒60人が甲状腺がんの可能性がある。
ただし、ここには事故直後3月15日に最も大量の放射性ヨウ素が押し寄せたいわき市方面の子どもたちが含まれていません。

小児甲状腺がんの発症は、チェルノブイリ原発事故の翌年、ベラルーシで4名の子どもだった(→表1参照)のに対し、福島県では、(いわき市も含めると)60名を相当数上回る子どもたちに甲状腺がんが発症している可能性があります。 つまり、福島県は、ベラルーシの15倍以上の小児甲状腺がんが発生する可能性があります。

こんな酷い事態を放置して、果して法治国家と言えるのでしょうか。 放置国家、児童虐待国家と改名すべきではないでしょうか。

以下は、その事実を指摘した、抗告人の準備書面(8)(その別紙1~4)の全文です。


              *********************
平成24年(ラ)第12号
抗告人 A1~A12
相手方 郡山市
                  抗告人準備書面 (8)
                                   2013年2月20日
仙台高等裁判所民事2部  御 中
                       抗告人ら代理人弁護士   神 山  美智子
                                        ‥‥(略)
                   目 次
1 甲状腺検査結果                          
2 事故直後の放射性ヨウ素の内部被ばく線量について         
3 結論

                                  
1、甲状腺検査結果
 福島県の県民健康管理調査の検討委員会(座長・山下俊一福島県立医大副学長)は、本年2月13日に至り、前回(昨年11月18日)に公表以降の甲状腺等の検査結果を公表した(甲226)。

 但し、今回は、昨年9月11日までは公表していた市町村別の実施状況(甲162)を一切公表せず、そのため、今回、公表された郡山市の子ども達の受診者数も不明である(昨年6月12日公表の資料では、福島市の検査状況について、6月8日現在の途中段階であっても受信者数を公表していたのに比べ、明らかに情報を非公開にしている。別紙1参照)。
むろん福島県は、既に検査結果済みの郡山市のデータを保有しているが、しかし福島県は、郡山市や福島市をはじめとする各市町村の小中学校のデータを、小中学校の学校設置者であり、小中学生を放射能から安全な環境で教育する憲法上の義務を負う各市町村に提供していないことが判明したので、抗告人が直ちにこれを入手することは不可能である。そのため、甲226の配布資料からは郡山市の子ども達の甲状腺検査結果を論ずることができない。しかし、福島県が公表した甲状腺検査の実施スケジュール(案)(別紙2)によれば、前回(昨年11月18日)の公表分31,182名は福島市の残り、二本松市、本宮市、桑折町、国見町などであり、今回の公表分35,189名は白河市、西郷村、泉崎村(対象者は合計14,655名)と郡山市(対象者は64,478名))の一部であることが分かるから、公表分の優に半数以上が郡山市であると推測される。

それによると、
①.  甲状腺検査の一次検査について
今回公表分35,189名(平成24年度、これまでの受診者総数111,546名-前回の受診者総数76,357名=35,189名)のうち、6~10歳の女子、11~15歳の女子についてみると、以下の表の通り「のう胞」または「結節」が見つかっており、この割合はこれまでで最高である。
年齢区分
A2
受診者数
割合
610
2,519
26
2,545
4,591
55.4
1115
4,460
89
4,549
7,894
57.6


(注)上記表の数値の計算方法(以下の通り、今回と前回の数値の差を出した)
610歳の女子
公表時期
A2
受診者数
今回(2.13
7,004
48
13,035
前回(11.18
4,485
22
8,444
2,519
26
4,591
1115歳の女子
公表時期
A2
受診者数
今回(2.13
9,056
175
16,409
前回(11.18
4,596
86
8,515
4,460
89
7,894

 また、平成24年度のこれまでの受診者総数111,546名について、「のう胞」または「結節」が見つかったのは44.63%に達する。

これらの割合の数値が意味することについては、昨年4月26日公表の甲状腺検査結果を検討した松崎意見書(甲131)が明らかにしたことがそのまま当てはまる。要点をくり返すと、上記検査の主体である検討委員会の座長=山下俊一・福島県立医大副学長らが2000年に放射能非汚染地域の長崎の子どもたちを甲状腺検査した結果「のう胞」が見られたのは0.8%(甲131。3頁。同別紙2の論文593頁右段3~5行目)、チェルノブイリ事故の510年後にチェルノブイリ地域の子供たちを調査した結果「のう胞」が見られたのは0.5%(甲131。4~5頁)であるから,これらと比べて途方もなく高い値である。

②.甲状腺検査結果の二次検査について
今回、二次検査により「甲状腺がん、新たに2人 他7人に疑い」(毎日新聞の見出し)が報告された。但し、その報告の中身は報道により異なるので、改めて、正確に説明すると次のようになる。
2011年度の甲状腺の一次検査をおこなった3万8114人のうち、二次検査の対象であるB判定は186人だった。前回(昨年11月18日)までに、81名(別紙3)が二次検査を終え、その結果、1名の甲状腺がんが判明した。今回、151※1-81=70名が二次検査を終え、その結果、手術後の確定診断[1]により甲状腺がん2名、「細胞診」(穿刺吸引細胞診)[2]により甲状腺がんの疑いが7名となった。
1)2013年2月13日公表資料2-1 6頁「二次検査の実施状況」二次検査修了者

 この事態をどう評価すべきかについて、検討委員会の座長である山下俊一氏が検診したチェルノブイリ事故による甲状腺がんの発生データと対比して明らかにした北海道深川市立病院内科の松崎道幸医師作成の意見書()(甲163)を今般提出する。
この松崎意見書()によれば、まず、7名の「甲状腺がんの疑い」とは「白か黒か50対50である」という意味の「疑い」ではなく、毎日新聞の報道にもある「約8割の確率で甲状腺がんの可能性」があるということ、すなわち「甲状腺がんの疑いが濃厚である」ことを意味する(5頁)。

次に、この評価を前提にして、今回の検査結果について、チェルノブイリのデータと具体的に対比した上で次の結論を導いている(8頁)。
1.     現在の福島の子どもたちには、被ばくから数年後のチェルノブイリ高汚染地域の子どもに匹敵する頻度で甲状腺がんが発生している。
2.     甲状腺がんは今後激増する恐れがある。

次に、松崎意見書()の評価を、郡山市に即して検討すると次のようになる。
中通りを検査対象とした平成24年度の検査の結果、二次検査を要するB判定は、全受診者数の0.6%だった※2
 ※22013年2月13日公表資料2-1 2頁「甲状腺検査の結果概要①
 
これまで判明した「甲状腺がんが3名、甲状腺がんの疑いが濃厚が7名」は平成23年度の二次検査を終了した151名の中から見つかったから、これは二次検査修了者数の6.6%である※3
 (※3)10÷151=6.6%

そして、郡山市の最新の小中学生の総数は30,148名(別紙4。小学生19,785名。中学生10,363名)だから、次の計算式により、郡山市の小中学生の中から最大12名の甲状腺がん発生が予測される。
30,148名×0.6%×6.6%=11.9名
 
しかし、これは原発事故年目での発生数である。チェルノブイリのベラルーシでは以下の表1の通り、事故後5、6年目から小児甲状腺ガン数が激増した(甲104矢ヶ崎意見書()別紙3参照)、これによると、事故の2年目、3年目の4名と5名に対して、5年目、6年目は29名と59名と激増し、5.8~14.75倍となった。

ベラルーシの甲状線ガンの数(M.V.マリコ「ベラルーシの青年・大人の甲状腺ガン」(今中哲二編纂「チェルノブイリによる放射能災害」所収)

今般提出の松崎意見書()によれば、「福島の小児甲状腺がんの発生率はチェルノブイリと同じかそれ以上のおそれがある」(2頁)のであり、これを数字で示すと、郡山市の小中学生は、原発事故後5~6年目には、小児甲状腺がんの発生が次のように予測される。
  最小 11.9名×5.8倍=69名
最大 11.9名×14.75倍=175.5名

しかも重要なことは、甲状腺がんの発生原因は、松崎意見書()が指摘した通り、《チェルノブイリの小児甲状腺がんが、急性の直接被ばく(事故初期のヨード被ばく)だけでなく、その後の持続的低線量被ばく(放射性降下物による地表汚染)によって発生増加している》(7頁5)ことである。これは松崎氏の独断ではなく、山下俊一氏らの論文に書かれているものである(8頁に該当部分が引用)。

その上重要なことは、ウクライナ政府報告書(甲62・同148)でも示されている通り、甲状腺がんは子ども達の被ばくによる健康被害の氷山の一角にすぎず、象徴的な出来事だということである。言うまでもなく人は甲状腺だけを被ばくするのではなく、それ以外の様々な臓器、全身も被ばくしている。甲状腺障害が深刻であるということは白血病、心臓病、腎臓病、免疫力の著しい低下等の他の様々な健康障害も深刻であると予測させるものである(甲62・同148ウクライナ政府報告書。甲152NHK・ETV特集「ウクライナは訴える」)
ここから導かれることは、松崎意見書()の締めくくりの言葉、《私たちが出来るのは、子どもたちにこれ以上の放射線被ばくをさせないことです。子どもたちを現状の放射線汚染地域に住まわせることを見直し、移住・疎開等を真剣に考慮すべきです。》(7頁)に尽きる。
言い換えれば、子ども達は遊んで原発を壊したのでもなければ、原発を誘致した訳でもなく、原発事故の純然たる被害者である。事故の加害者である国と共に子どもを安全な環境で教育する憲法上の責務を負っている郡山市は子ども達をこれ以上被ばくさせないことによって、これ以上の甲状腺障害を初めとする様々な健康障害の発生から子どもたちを守る義務がある。それは、子どもたちを今すぐ安全な場所に避難させること、これによってしか実現の方法はない。

2、事故直後の放射性ヨウ素の内部被ばく線量について
放射性ヨウ素131は半減期8日と短い間に消失してしまうため、早期の測定、調査が不可欠だが、福島原発事故直後、国は、放射性ヨウ素131の動きを十分に捕まえることはできず、住民の内部被ばく調査も行うこともなく、住民は、放射性ヨウ素131によってどれくらい初期の内部被ばくをしたのか不安を抱いてきた。これに対し、本年1月27日の国際シンポジウムで、放射性医学総合研究所が甲状腺被曝線量を推計した結果を報告した。新聞報道によれば、《原発事故直後に飛散した放射性ヨウ素による1歳児の甲状腺被ばく量(等価線量)は30ミリシーベルト以下がほとんどだった‥‥国際原子力機関(IAEA)が甲状腺被ばくを防ぐため安定ヨウ素剤を飲む目安としている50ミリシーベルトを下回った。》(福島民報)という安心をもたらす内容だった。
しかし、この推定は果して的確なものだろうか。それは約2週間後の県民健康管理調査の検討委員会で明らかにされた甲状腺がんの発症数の深刻な事実によって、この推定の不完全さが最も雄弁に証明された。
のみならず、この推定の構造をつぶさに検証した報告書を今般、提出する(甲228)。県民健康管理調査の結果が上記推定を外側から揺るがすものだとしたら、これは内側から科学的に論駁するものである。

3、結論
 小児甲状腺がんは、通常なら100万人に1人の病気である。福島県の県民健康管理調査の検討委員会による本年2月13日の結果発表により、前述した通り、平成23年度検査によってB判定とされた子どもらのうち、6.6%の子どもが甲状腺がんを発症している疑いが濃厚となった。平成24年度検査でB判定とされた子どもは、公表されているだけで549人であり、福島県は、更に郡山市、三春町で200名程度の追加が見込まれるとしている(甲226.6頁■二次検査体制拡充の9行目)。すなわち、750名程度の子どもがB判定とされるのである。そして、今回の結果発表の結果によれば、このうち6.6%程度の子どもに甲状腺がんが発症している可能性がある。約50名である(750人×0.06649.5人)。公表されている平成23年度検査の10名と合わせると60名になる。更に言えば、福島第一原発事故によって平成23年3月15日に最も大量の放射性ヨウ素が押し寄せたいわき市方面の子ども達は、未だに検査すらなされていない(ようやく平成25年度の検査予定である〔甲226.8頁〕)のである。いわき市方面では、更に相当数の子どもに甲状腺がんが発症している可能性がある。

チェルノブイリ原発事故の翌年、ベラルーシでは4名の子どもに甲状腺がんが発症した。福島では、既に60名を相当数上回る子どもたちに甲状腺がんが発症している可能性がある。原発事故を原因とする甲状腺がんが本格的に発症するのは、事故から4~5年後からである。このまま手をこまねいた場合、福島の子ども達にどのような悲劇が待っているのだろうか。
にもかかわらず、政府と福島県は、事ここに至っても、従来の姿勢を変えず、それどころか除染目標の年間1ミリシーベルトの引き上げの検討すら表明している(2013218 読売新聞ほか)。もはや望みは、人権の最後の砦である司法しかない。それとも、司法は、福島の子ども達を悲劇の底に突き落とす共同正犯になるつもりなのだろうか。日本のみならず全世界が固唾を飲んで注視している。
以 上 


[1] ここでは、甲状腺がんの手術をして、切除した組織を手術後に調べてがんかどうかを判断すること。
[2]瘍が疑われるしこりに細い針を刺し、細胞を採取してがんかどうかを判断すること。

【2.23第1回デモ報告】速報2:「これほど、人に冷たい国がほかにあるでしょうか」と滋賀からかけつけた、志賀原発差止判決を書いた元裁判長の声

2006年3月24日、日本で唯一、稼動中の原発を止めさせる判決(志賀原発差止判決->当時の新聞記事)を書いた井戸謙一元裁判長(現在、弁護士)が、滋賀から駆けつけ、次のようなスピーチをしました。

 井戸健一弁護士のスピーチ

 
    **********************

(抜粋)
‥‥彼らは言います、たしかに原発4基がシビア・アクシデントを起こし、近隣の住民にはご迷惑をかけましたと。その上で「誰かが放射能で死んでいますか?」と彼らは言って来ます。「くよくよ悩んでいるから、それがストレスになるのです」「笑っている人に放射能は来ません」

 そして起こっている事態を客観的に見ようとする人には「神経質すぎる」、避難した人には「ふるさとを捨てた」という言葉を投げかけるのです。

 67年前、焼け野原の中から、私たちは〈人にやさしい国〉を作ろうとして来たはずです。ところが、いまの被ばくによる子どもたちの健康被害に対して、国や県はいっこうに動こうとしません。これほど、人に冷たい国がほかにあるでしょうか。

 この裁判は、私たちがどういう社会を作って来たのか、そのことが問われる裁判でもあります。どうか、みなさん、あしたから、それぞれの場所で声をあげてください。この裁判は、決して負けることのできない戦いです。 ‥‥

【2.23第1回デモ報告】速報1:「体と心が真っ二つに引き裂かれ、体は秋田に居ますが、心は相馬に置いて」秋田に自主避難した相馬の母親の声

昨日の「子どもたちを被ばくから守ろう!」第1回デモは、短期間の準備にもかかわらず、650人の参加者を得て、新宿の街に「疎開をさせて!」の声を響かせ、道行く人々の注目を集めました。

 JanJanBlog記事「100万人に1人」の甲状腺がんが福島で多発~都内で緊急デモ~」より

以下、速報です。

 この日、相馬から秋田に自主避難した阿部知美さんが参加し、スピーチをしました。

「どうせ死ぬんだろう、どうせ病気になるんだろう、どうせ国に捨てられたんだ、好きにさせて、友達や大事なものを置いていけないんだ」と自主避難を拒否した長男。
それを聞いて、「兄ちゃんが避難しないなら、諦める、病気になってもいいよ」と言う次男‥‥

自主避難をしても、皆泣いて居ます。置いて来た旦那の体は大丈夫か、家族は大丈夫か、子供の友達は大丈夫か、皆皆、泣いています。
何故こんな事になったのでしょうか。爆発した時、(国・自治体が集団で)逃がさなかったからです。あの時、逃がさなかったから、今でもゴチャゴチャしているんです。‥‥

長男との葛藤、どんな犠牲を払って自主避難したのか、集団避難がなぜ必要なのか、福島の現実を聴衆に訴えました(動画とスピーチ原稿です)。

          阿部知美さんのスピーチ

 
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私は現在、相馬市から秋田に避難しています。私には、現在高校2年生の息子と小学5年生の息子、二人の子供がいます。

さて、私は、あの311、相馬市の自宅で被災しました。地震で自宅が半壊し兄の家に子供達を連れて避難しました。
兄の家は、原発から18キロ、南相馬市小高区、警戒区域の中です。
原発が爆発し、20キロ圏内が避難になった時、死にもの狂いで逃げました。あの時の事は、今でも忘れられません。

相馬市は、南相馬市の隣にあります。福島県内では、空間線量は割りと低い方ですが、汚染はされました。爆発当時は、警戒区域や計画的避難区域等が近隣にあるので、我が家のように、線量の高い場所に逃げ余計な被曝をさせられた人も沢山居ます。

とにかく、この国の酷さに、ビックリします。私達を人間だと思っているのでしょうか。自宅が43キロにある私は何もかも蚊帳の外。20キロ30キロの線引きが、とにかく憎いです。福島県民、黙ってちゃダメですよ。一人一人が立ち上がって欲しい。

正直、こんな事をやっている場合ではないのが、私の現状です。私は、下の息子と二人で一昨年の夏休みに避難しましたが、上の息子はまだ相馬に居ます。
いくら避難を説得しても、「どうせ死ぬんだろう、どうせ病気になるんだろう、どうせ国に捨てられたんだ、好きにさせて、友達や大事なものを置いていけないんだ」と全く聞く耳を持たず、毎日喧嘩でした。
それを聞いていた下の息子が「兄ちゃんが避難しないなら、諦める、病気になってもいいよ」と言いました。

私は、下の息子だけでも連れて早く避難しなければいけない、そう思って秋田へ行きましたが、その日から、体と心が真っ二つに引き裂かれました。体は秋田に居ますが、心は相馬に置いてきました。上の息子の体が心配で、朝から晩まで狂いそうです。彼は今日、どれぐらい吸ったのか、市内のあちこちにある高線量の上を知らず知らず、踏んではいないか。心配で心配で、たまりません。
首に縄をつけて、ひっぱたいてでも連れて出るのが親でしょう。でも高校生、お金を握って帰ってしまうでしょう。
これもまた、福島の現実です。自主避難者の中には、私のように、上の子を置いて来て、泣いている親も沢山居ます。
自主避難をしても、皆泣いて居ます。置いて来た旦那の体は大丈夫か、家族は大丈夫か、子供の友達は大丈夫か、皆皆、泣いています。

何故こんな事になったのでしょうか。爆発した時、逃がさなかったからです。あの時、逃がさなかったから、今でもゴチャゴチャしているんです。

私は学者ではありません。安全だとか危険だとか、色々言われてもわかりません。安全だと言う学者さんは、一筆書いて欲しいです。今後、何かあった時に誰が責任取ってくれるんでしょうか。
原発が四基爆発した、放射能が飛んだ、私達は被曝をした、あちこち放射能まみれになった、でもいつの間にかそれが全部、安全になった。
原発が爆発して大丈夫なら、全国にある原発に、全面マスクも、五重の壁も、格納容器も要らないと、私は思います。


私はとにかく、しかるべく補償をし、避難区域を広げて欲しい。警戒区域の解除等、バカみたいな事をやっていないで、避難区域を広げて欲しい。そう秋田でも訴えています。地元相馬の人からは、ストロンチウムの食品や体の検査をやって欲しいとの声も届いています。全国で瓦礫を燃やすのに反対していても、地元では燃やしました。大丈夫かどうか、わかりません。

けれども私は、避難したい人は、大人も勿論子供も、ただちに、一分一秒でも早く、避難させて欲しい。
この裁判が認められないような、社会であっては絶対にならないと思います。

2013年2月23日土曜日

【速報】『子どもたちを被曝から守ろう!2.23新宿デモ』決定。命の復興を最優先に、ふくしまの子どもの命を守れ!

当日のデモの速報->(1) (2) (3)(動画&写真)
どれだけ小児甲状腺ガンとA2判定が出れば、子ども達の避難は実現するの 2月13日の福島県の発表で、子ども達の命と健康はかつてなく危険な状態と判明しました ->医師の緊急声明 
―子どもを危険な被ばくから逃がす「ふくしま集団疎開裁判」が子どもの命を守る―

私たちから3つのアピール ->こちら

◆概要
◎名称  子どもたちを被曝から守ろう!2.23新宿デモ
◎日時  2月23日(土)
13:00~ 新宿東口アルタ前広場集合 呼びかけ人や福島からスピーチ
14:30~ デモ出発 (コースは以下の通り)
15:20~ デモのゴール、アピール

◎集合場所  新宿アルタ前(東京都新宿区新宿3-24-3)地図 
 《アクセス方法》
・新宿駅東口より徒歩1分
・東京メトロ丸の内線新宿駅より徒歩0分
・西武新宿線新宿駅より徒歩2分 

◆内容
◎オープニングの発言
井戸謙一(志賀原発差止判決の元裁判長・疎開裁判の弁護団)
井上利男(ふくしま集団疎開裁判の会代表)
福島からの声->
阿部ともみさん(相馬から秋田に自主避難) 
木田節子さん(富岡町から水戸市に自主避難)
吉田邦博さん(南相馬 安心安全プロジェクト代表) 
長谷川克己さん(郡山から静岡に自主避難)
避難受入先からの声->
榎本健二さん(新潟県魚沼市 新潟雪だるまの会

◎デモコース             地図をクリックすると拡大します

★ただ今、疎開裁判とデモを支持する個人と団体に賛同とメッセージを募集中です->こちらからお申込み下さい。

主催その他
◎主催 ふくしま集団疎開裁判の会
連絡先 光前法律事務所 (03-5412-0828)
メール:sokai※song-deborah.com ツイッター:※Fsokai   ←※を@に変更下さい

◎呼びかけ人: 山本太郎 舩橋淳 野中ともよ 神田香織 広瀬隆 広河隆一 荒井晴彦 おしどりマコ 高橋哲哉 沢田昭二 柄谷行人 崎山比早子 鄭義信 チョムスキー  ちばてつや 斎藤貴男

◎注意事項
疎開裁判の会は、全てのいのちを守ることを目的とした集まりです。
差別と暴力を肯定する個人、グループの参加はご遠慮ください。

◆呼びかけ人・賛同人のメッセージ ->こちら

私たちから3つのアピール
1、今、一番大事なこと、それは子どもの命を守ること、 子どもの被ばくを許さないこと。
しかし、ふくしまの子どもたちは、今もずっと危険な被ばくの中に置かれたままです。
その結果、2月13日の福島県発表で、通常なら百万人に1名なのに、二次検査した151人の子どもから10名の小児甲状腺ガン(確定とほぼ確定の合計)が見つかっています。そのうえ、甲状腺ガンは子ども達の健康被害の氷山の一角、象徴的な出来事です。これは今後発生する子ども達の桁違いの健康被害に対するまぎれもない危険信号なのです。

2、 今、一番大事なこと、それは子ども達を今すぐ、危険な被ばくから安全な場所に避難させること!
そもそも、政府は原発事故の加害者として、最大の被害者である子どもたちを危険な被ばくから安全な場所に避難させ救護する義務を負っています。 その上、子ども・被災者支援法を持ち出すまでもなく、憲法上、子ども達を被ばくの危険のない安全な環境で教育させる義務を負っています。
政府はふくしまの復興、復興と叫びます。だとしたら、その復興の最優先課題は言うまでもなく「命の復興」、子どもたちを危険な被ばくから避難させることです。
誰の目にも明らかなこの義務を果そうとしない政府・自治体に対し、「人権の最後の砦」の裁判所に正しい裁きを求めたのがふくしま疎開裁判です。
疎開裁判は大詰め、3月には仙台高等裁判所で結論が出る予定です。
今や、疎開裁判は、国連人権委員会、チョムスキーをはじめとして世界がその結果に注目。
しかし、裁判官は孤独です。一人では政府・原子力ムラの圧力に屈してしまいます。
けれど、私たちみんなが疎開裁判に注目し、声をあげれば、孤独な裁判官も迷いを吹っ切り、勇気をふるって信念の判決を下すことができるのです。
裁判所に私たちの願い、私たちの声、私たちの思いを伝えましょう!

 3、今、一番大事なこと、それはチェルノブイリの経験から学ぶこと。
 チェルノブイリ事故のあと、人権のなかった全体主義国家ソ連で、チェルノブイリ憲法9条ともいうべきチェルノブリ住民避難基準を作り、子どもたちの命を救ったのは、これを要求する多くの市民の声、市民のデモでした(以下の写真参照)
今からでも遅くありません、私たちもチェルノブイリから学んで、行動を起こしましょう!子どもたちの命を救いましょう!
             1989年2月のソ連ベラルーシ(白ロシア)市民のデ