「国や自治体には、もっと親身になって、子どものことを考えてほしかったです。」
原告の叫びが裁判官の考えを変えつつあると感じます。
10月12日子ども脱被ばく裁判第7回口頭弁論を傍聴しました。
― 国や福島県の自治体がいかに住民の命・健康を軽んじているか、驚き、怒ります。
意見陳述人B. 郡山在住、「平成23年10月、学校は、給食に福島産の新米を使い始めました。息子は、給食を食べたくないというので、私は、息子に弁当を持たせました。給食を食べなかったのは、約300人の全校生徒のうち、息子だけでした。… 私は、地元産のコメを食べないものは“非国民”だとまで言われたことがあります。…息子は、友達だけでなく、先生からもいじめられました。被ばく回避することを、なぜ“おかしい行為”といわれなければならないか、多数意見に同調しなければならない理由が私にはわかりません。」
次回第8回口頭弁論は12月12日(月曜日)です。今回は2席空席でした。次回は満席(抽選)にするように多くの方の傍聴をお願いします。
注:「子ども脱被ばく裁判」には、「子ども人権裁判」と「親子裁判」の2つが含まれています。「子ども人権裁判」は、安全な環境下で義務教育を受ける権利を確認するもので、原告は、現に福島県内で義務教育を受けている子ども(小中学生)とその保護者、被告は小中学校の設置者である福島県内の市町村です。ただし、特別支援学校は設置者が県であり、その場合は、県が被告となります。
「親子裁判」は、福島第一原発事故により、国や県が適切な被ばく回避措置を講じなかったため、無用な被ばくを強いられたとして、国や県に損害賠償を求めるものです。そのため、原告は、福島第一原発事故当時、福島県内に居住していた子どもやその保護者、被告は国や福島県です。(子ども脱被ばく裁判のブログ Q&A)より
以上 冨塚元夫
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子ども脱被ばく裁判 第7回口頭弁論アクションに参加して
荒木田岳さんの講演「脱被ばくを考える」
「2011年福島原発過酷事故が起こり、世論は『脱原発』に動いた。しかし、『脱被ばく』とはいわなかった。被ばくを問題にすると『美味しんぼ』の鼻血事件のように寄ってたかって袋叩きにされる。僕は『放射能は嫌だ』『脱被ばく』でみんなと手をつなげると思ったけれど、なぜか真逆の事態になっている。今一番被ばくさせられている当事者、福島の人達が『放射能が心配』『健康が不安』と言えなくされている。
どうしてこんなことになったのか、5年前に立ち返って考えてみたい
原発事故が起こった時、政府、県は『住民を被ばくから守る』を最優先に対応しなかった――ここで、ボタンの掛け違えが始まった。国は『原子力安全神話』云々を国民には信じ込ませていたが、1999年東海村JCO事故で、原発事故が起こることを想定せざるを得なくなった。政府は原子力災害対策特別措置法を制定し、住民に被ばくをさせないための手順、さまざまな方策、スピーディ、モニタリング指針、食品測定や被ばく医療などのマニュアルを作成した。
しかし、事故が発生すると、最優先の筈の『住民に被ばくさせない』は、『数百万人の移住』『福島県の存亡』『国策の誤り』等々、国や県や原子力業界の思惑、立場、経済的理由等々で縮小された。事故前の基準、規制を大幅にゆるめ、住民を『放射能で汚染された地に留め、今までのように暮らさせる』に舵は切られていった。
県は3月19日健康リスク管理アドバイザーとして長崎大の山下俊一・高村昇教授、4月1日広島大の神谷研二教授を招き、県内各地で安全宣伝をしてまわった。『がんばろう ふくしま! 地産地消運動』、呼応して『福島の作物を食べて応援』キャンペーン。極め付けは4月、県内の小、中学校の新学期スタート。文科省の年間20ミリSV基準。除染して安全。復興イベント、祭の盛り上げ、2020年復興オリンピック。避難解除、帰還、賠償金の打ち切り、住宅支援の打ち切り・・・原発過酷事故から福島は見事再生復興した?!
福島の現実は、これ程の汚染地にこれだけ多くの人が住んでいる。こんな事態は、過去の歴史に存在しない。『直ちに健康に影響はない』けれど、8年後、10年後健康被害が現れてくるリスクが高い。現に小児甲状腺ガン(疑いも含む)は174人も発症しているではないか。子どもだけでなく、大人も、老人も、『放射能を避ける』のは当たり前こと、放射能防護の原点なのだ。私たちは『無用な被ばくを避ける』という原点に立ち返って、一人一人が自分の被ばくの実態を知り、被ばくを避ける方策をみんなで求めていきたい。」
荒木田さん自身の体験を交えた軽妙な語り口に、重たい内容ですが、笑ったりもして、引き込まれた1時間半でした。
第7回口頭弁論を前にして、井戸弁護団長は、争点は低線量被ばくをどう認識するのかにあると語りました。国は、2011年12月政府の低線量被ばくワーキンググループが出した報告、原爆のように一時期に100ミリシーベルト浴びるのと異なり、長期にわたって被ばくすると線量リスクは下がる、100ミリシーベルト以下なら安全という報告を金科玉条にしている。しかし、2012年以降世界各地から低線量被ばくの疫学調査データが出ている。英・独・仏の原発労働者3万人対象にしたデータ、平均累積被ばく量は15・9mSVで、1ミリsv増えるとガンのリスクが増すとか、 CT照射による小児白血病、小児がんのリスクなどの調査データを裁判所に提出。
親子裁判では、国の無作為、情報の隠匿行為で無用な被ばくをさせられた苦痛、安定ヨウ素を子どもに飲ませなかった口惜しさなど原告の陳述書11本を提出したと報告。
崔弁護士も「この裁判は内部被ばく対外部被ばく、Bq対SV、土壌汚染対空間線量、どちらに着目するのかという裁判だと思う」と語りました。
「無用な被ばくをさせられた悔しさ、今も低線量被ばくを受け続けている腹立たしさ、一生涯親も子も被ばくの影響、病気発症への不安を抱いて生きていかねばならない不条理」「原発事故の年の秋、給食に福島産の新米を使うことを知った中学1年の息子は、弁当持参を始めた。約300人の全校生徒の中たった一人だった。周りからの嫌がらせで、息子は学校に行けなくなった。『福島の敵は近くにいる。農家が一生懸命作ったコメを食べないものは非国民だ』とまで言われた。中学卒業後、息子は北海道の全寮制高校に入学した。本人の意思とはいえ、15歳の子を送りだすのは辛かった。息子にも福島で生きる子どもにも、これ以上被害が出ることがないよう祈る親の気持ちを国も県も分かっててほしい」
陳述された原告が「この裁判は福島県の全員が原告になれる裁判です。でもなかなか表だって声をあげられないだけなのです。私と同じ思いをしている人は沢山います」ときっぱりと言いました。
この裁判の原告の思いは少数派ではない。今は黙っていても、健康の不安は拭えない、声なき声が見守っている、味方していると思います。
光前弁護士が解説してくれました。
「田村市郡山市伊達市からの反論 ①原告には安全なところで教育を求める権利はないのだ。
→その意味は、憲法、教育基本上の抽象的権利であって具体的奈権利として裁判所で求める権利としては規定されていない。勿論、我々は反論するが、憲法解釈の論争になる。
②田村も郡山も伊達市も年間1ミリSVを切っているのだから、危険な状態ではない、安全なのだといっている。→しかし、土壌汚染は一切無視する。4万bq/㎡の土壌が広範に広がっている事実は反論の余地はない。放射線管理区域を越えた土地で子どもを学ばせていいのか。土壌汚染は内部被ばくの原因になる。予防原則で子どもの安全に配慮するのは行政のやること。我々は徹底して土壌汚染を追及する。」
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