東京都は日本の首都であり、日本の顔です。国政の最大課題は東京都の最大課題です。「ふくしまの子どもたちの命を救う」問題は、東京都にとっても最大課題です。なぜなら、東京都が決断すれば「ふくしまの子どもたちの命を救う」ことができるからです。東京都は誰ひとり住んでいない竹島や尖閣諸島をではなく、大勢の子どもたちが住み、彼らの命がいま危険にさらされている福島で動くべきです。
そこで、今回の都知事選においても、「ふくしまの子どもたちの命を救う」という東京都の最大課題について、立候補者の皆さんに、直接、問うてみることしました。
それが以下の質問状です。一般的、抽象的になら「子どもを守れ」「未来を守れ」「脱原発」はいくらでも口にできます。しかし、問題は具体的に「いま、被ばくの危険にさ
らされている福島県の子どもたちを直ちに集団避難させる」かどうかです。これについて、真摯な考えを聞かせていただきたいと期待して
います。
「子どもの命を守る」ことは政策論争ではありません。政治の最低限の道徳的責務のことであり、チョムスキーが指摘した通り、「日本にとって、世界中の私たち全員にとって、失敗が許されない試練なのです」
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都知事候補者各位
2012年11月29日
「子どもは私たちの未来・私たちの宝」です。福島県の子どもはその例外だという人はいません。東京都も福島県もどこでも「子どもはひとしく私たちの宝」です。
しかし、東電福島第一原発事故(以下、福島原発事故)の被害により高濃度に汚染された土地で、「私たちの宝」である子どもの命と健康が、今もまだ、想像し尽くしがたい危険にさらされています。例えば、福島県郡山市の子どもたちは、福島原発事故があった昨年の
3月11 日から8月までのわずか5ケ月間だけでも7.8~17.2mSv(年間では12~24 mSv)の放射線を被曝したと推定され、今も、その中で生活を余儀なくされています。
本来、国は憲法で「子どもたちを安全な環境で教育する」義務を負っているのみならず、福島原発事故は自然災害ではなく人災であり、国はこの人災の加害者の立場にあります。
しかし、国も自治体も福島県の子どもたちを安全な場所に避難させようとしませんでした。
そこで、福島県郡山市の小中学生14 名が、昨年6月24日、福島地方裁判所郡山支部に、苦しみの中で救済を求めている福島県の子どもたちの声に耳を傾けようとしない文科省と自治体の人権侵害行為をただし、年間1ミリシーベルト以下――毎時では0.2 マイクロシーベルト以下――の安全な場所で教育を受けるため、裁判所に避難の救済を訴え出ました(通称「ふくしま集団疎開裁判」)。
私たちは、裁判の中で当初から、このままではチェルノブイリ原発事故で発生した深刻な健康被害が福島県でも発生すると科学的に予測し、警鐘を鳴らしました。不幸にして、その予測は「福島県民健康管理調査」報告で実証されてきました。今年4月26日発表の報告では3万8千人の35%の子どもたちに甲状腺の「のう胞」(ただれ=炎症あるいは細胞の性質の変化)を発見、9月11日の報告でその割合は4万2千人中43.7%に跳ね上がりました。特に女子の被害は深刻で、6~10
歳の女子の54.1%、11~15 歳の女子の55.3%に「のう胞」が発見されました。福島原発事故前に、福島県立医大副学長山下俊一氏らが、長崎の子ども達を検査した結果(0.8%)や、事故から5~10
年後のチェルノブイリの子ども達を検査した結果(0.5%)と比較しても、途方もなく高い数字です。
これを知った海外の専門家は次のような警鐘を鳴らしました。
「この子どもたちは追跡調査をしてる場合じゃありません。のう胞や結節などの全ての異常は直ちに生体組織検査をして悪性であるかを調べるべきです。~中略~子どもたちに甲状腺結節やのう胞があるのは、異常極まりありません!」(今月来日した、被曝問題に詳しいオーストラリアの小児科医ヘレン・カルディコット博士)「カルディコット博士の上記見解に同意します。福島原発事故後にこれほどすぐに、多くの子どもたちに甲状腺の嚢腫や結節が見られることに驚いています。」(Business Insiderの取材に答えたアメリカ甲状腺学会次期会長ブライアン・ホーゲン博士)
しかも、9月11日の報告で二次検査を終えた38 人の中から初めて1人が小児甲状腺がんと診断されました。原発事故以前に山下俊一氏が講演で述べた「通常なら子どもの甲状腺ガンは百万人に1名と言われています」と比べてもいかに深刻な事態であるかは明白です。
こうした事態に対して、国連の人権理事会(作業部会)は、今月2日、日本政府に対し「放射能の危険から福島の人々の命と健康に関する権利を守るために、必要なあらゆる措置を取ること」を求める勧告を盛り込んだ報告書を採択しました。
また、福島の住民の健康に関する権利侵害の調査のため、人権理事会から派遣された特別報告者が、10日間の調査の後、今月26日の会見で、年間20ミリシーベルト基準、モニタリングポストの測定値の疑惑をはじめとして日本政府と福島県の対策の様々な問題点を厳しく指摘しました。
原発事故による福島の人々の健康に対する人権侵害、とりわけ放射能の影響を最も受けやすい子ども達の人権侵害はいま、国連が最も注視する世界的な問題です。
道徳の究極の原理は「命こそ宝」であり、政治の原点はこの命を守ることにあります。とりわけ社会の最も弱い立場の、傷つきやすく大切な存在である子どもの命を守ることこそ政治に課せられた最重要の使命です。具体的にそれは、今すぐ、ふくしまの子どもたちの命を救うということにほかなりません。
東京都は日本の首都であり、日本の顔です。国政の最重要課題は東京都の最重要課題です。「ふくしまの子どもたちの命を救う」問題は、東京都にとっても最重要課題です。なぜなら、東京都が決断すれば「ふくしまの子どもたちの命を救う」ことができるからです。東京都は誰ひとり住んでいない竹島や尖閣諸島ではなく、大勢の子どもたちが住み、彼らの命がいま危険にさらされている福島で動くべきです。
東京都は、98万人以上の命を奪ったチェルノブイリ原発事故の生存者たちが異口同音に訴える言葉――二度と決して、私たちの失敗をくり返して欲しくありません――今こそ、チェルノブイリの痛恨の訓えから学び、政治に課せられた最重要の使命である「子どもの命を救う」という緊急課題を実行すべきなのです。
私たちは、都民の厳粛な信託により都政を担当する都知事を選ぶ選挙にあたり、立候補者の一人ひとりに、いま、政治の原点である「子どもの命を守る」ための緊急課題についてどのように考えておられるのか知りたく、別紙の質問をさせていただきました。
どうか、私どもの切実な問いに答えていただくことを深く願ってやみません。
※「ふくしま集団疎開裁判」のブログはこちらです http://fukusima-sokai.blogspot.jp/
<ご回答宛先>
メールによるご回答の宛先 sokai*song-deborah.com
FAXによるご回答の送信先 0263-39-0700(安藤法律事務所)
<ご回答期限>
勝手ながら、12月5日までにご回答くださいますようお願い申し上げます。
なお、結論の理由は後日とし、結論だけ先に回答いただくことも可能です。
連絡先 弁護団 光前法律事務所 電話
03-5412-0828
ご回答書
1.日本国内で高濃度に放射能汚染された地域(チェルノブイリ原発事故による汚染区分:強制移住区域(空間線量が年5mSv以上)の子ども達を、直ちに疎開させるべきだと思いますか。(該当する方に丸をつけてください)
は い ・ い い え
注釈:世界標準といわれるチェルノブイリ住民避難基準によっても、チェルノブイリでは沢山の人々が命を落とし、健康を損ないました。その理由の1つがチェルノブイリ住民避難基準の採用が健康被害の悪化が明らかとなった事故後5年も経過してからのことで、遅すぎたと言われています。福島ではその教訓を学び、チェルノブイリ住民避難基準で強制移住地域(空間線量が年5mSv以上)で学校教育を受けてきた子どもたちは今すぐ直ちに疎開させるべきであるという主張があります。
2.子ども達を放射能汚染された地域(東電福島第一原発事故前の本来の国の公衆の被曝限度:年間1mSvを超えた地域)から疎開させるべきだと思いますか (該当する方に丸をつけてください)
は い ・ い い え
注釈:チェルノブイリ住民避難基準は大人を対象にした基準です。他方、子どもは放射能の影響を大人より3~5倍受けると言われています。そこで、いま、子どもの目線でチェルノブイリ住民避難基準を見直せば、3~5倍厳しく考えるべきです。つまり強制移住地域であれば空間線量が年1mSv以上と読み替えるのが適切であり、この意味で、年1mSv以上で学校教育を受けてきた子どもたちは今すぐ直ちに疎開させるべきであるという主張があります。これはまた、福島原発事故以前の我が国の年間許容量でもあります。
コメント (以上の回答について、結論を導いた理由を説明していただければ幸いです)
【氏名】 ご回答日 月 日
ご回答は、ご回答の有無も併せて、随時「ふくしま集団疎開裁判の会」のブログで公開いたします。
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