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本年1月27日に放射性医学総合研究所(放医研)が、3.11原発事故当初、ふくしまの人々が放射性ヨウ素をどれくらい被ばくしたのか(初期被曝量)、その推定を発表しました。
本年1月27日に放射性医学総合研究所(放医研)が、3.11原発事故当初、ふくしまの人々が放射性ヨウ素をどれくらい被ばくしたのか(初期被曝量)、その推定を発表しました。
これに対し、私たちは、この推定が科学的にみていかに不十分なものであるかを明らかにした早川正美さんの報告書(甲228)を仙台高裁に重要書面として提出しました(2月20日)。
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報告書
~放射性ヨウ素の初期被曝量推定について~
早川 正美
2013年2月20日
目 次
○ 第一 略歴
○ 第二 はじめに
○ 第三 放医研による推定論の構造
○ 第四 根本データの危うさ・・・2011年3月の測定
1、検査の実際
2、検査結果
3、疑問
4、安全委員会は「スクリーニング」であって「測定」ではないといった
○ 第五 郡山の子どもたちと初期被ばく問題
○ 第六 おわりに
○ 付註
第一 略歴
▼東京大学理学部化学科卒業
▼岩波映画にてディレクター、科学教育映画や産業技術映画の製作に携わる。
TVシリーズ「生きものばんざい」、
建設省「大震火災にそなえて」、
広島市長崎市「ヒロシマ・ナガサキ核戦争のもたらすもの」教育映画祭文部大臣賞
など
▼フリーランサーとして、
科学技術振興事業団先端科学研究"ERATO"の研究紹介多数。
消費者教育ビデオ多数、
日本医師会「分子ネットワークでみる白血病」など。
▼電子ネットワークにてサイエンスライター
▼福島第一原発事故以降の著作
「シーベルトマジック」
「1ベクレルの摂取が与える預託線量」
「放射能汚染とデマ汚染に抗す」
「ICRPは黄門様の印籠か」
など
第二 はじめに
2011年3月11日に起こった福島第一原発事故では、サーベイメーターを使った体表面スクリーニングの基準が緩められたため、初期の放射性ヨウ素被曝線量のスクリーニングが殆ど行われず、被曝直前もしくは被曝後5時間以内に服用しなくてはならない安定ヨウ素剤が、ごく一部の地方自治体を除いて、住民のもとにさえ配られなかった。「不安を煽るから」という理由で、行政機関がこの放射線防護措置をやめさせたことは、大きな禍根となった。
こうしたことから、初期被曝による健康被害の議論は今も幻のベールに包まれ、住民の不安は解消されないでいる。
発災から23ヶ月経った2013年2月13日、福島県県民健康管理検討委員会は記者会見で、2011年度甲状腺超音波検査の一次スクリーニング分、18歳以下38,114人の中から3名の甲状腺がん発症があったことを発表した※1。既に3名は甲状腺の摘出手術を受けているが、手術や確定診断を待っている、がんの可能性の高い子どもさんが他に7人いる。合わせて計10名に達するという。
こうした報道を聞けば聞くほど、親御さんたちの心配はたかまり、病気の早期発見、防護対策の上からも、放射性ヨウ素の初期被曝線量の、道理有る科学的推定が急がれる。
なぜチェルノブイリの高線量地区と同じような高い発症率となったのか?
調査
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事故時
年齢
|
対象総数
|
発症年
|
甲状腺がん
発症者数
|
推定発症率
/百万人あたり/年
|
|
1
|
小児甲状腺がんの
通常常識
|
0~
17才
|
1~2人※
|
|||
2
|
福島県県民健康管理調査2011年度
一次検査対象者
|
0~
18才
|
38,000
|
2012
|
3-10人
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78.9~263.2人
|
3
|
ベラルーシ国家がん登録・ゴメリ州
事故後5-7年
|
0~
17才
|
171,000
×3
|
1991-1993
|
127
|
247.5人
|
※福島県立医科大県民健康管理センター甲状腺検査部門長の鈴木眞一教授は、
2012年3月5日長崎新聞に次のように答えている。
「小児甲状腺がんの発生率は18歳未満で100万人に1、2人、福島県では2~3年に1人の計算」
2月13日がん発症者に関する記者会見は、その2週間ほど前の楽観的なニュースを逆なでするものだった。1月28日の新聞各紙は、初期の放射性ヨウ素被曝線量が、心配するものではないという推定を、一斉に報じた※2。記事は、前日1月27日に行われた放射線医学総合研究所(以降、放医研)主催の「第2回国際シンポジウム・東京電力福島第一原子力発電所事故における初期内部被曝線量の再構築」の研究結果を報じるという形をとっていた。
このシンポジウムには筆者も全日一般参加した。筆者の印象からすると、それら新聞記事と実際のシンポジウムの内容との間には、大きな乖離があることを実感した。推定の結論を出すには、道はまだ遠いというまとめだったのだから。
本報告では次の3点を明らかにしたい。
1. 実測値が乏しい初期放射性ヨウ素被曝量の推定には大きな困難と解決しなくてはならない課題が山済みであること ~シンポジウムの本当の内容~
2. 初期放射性ヨウ素被曝量の推定において大本となるデータは、2011年3月末に1080人の児童に対して行ったサーベイメーターを使った「スクリーニング」の結果である。その数字にどれだけの信頼性があるか、その吟味なしには推定も無意味であること。
3. 科学は、「安心を与える」という政治的目的のために、真実を覆い隠す手段としてはならない。
最後に、初期被ばく線量問題と郡山の子どもたちとの関連を述べる。
第三 第1点、放医研による推定論の構造
~シンポジウムの本当の内容~
シンポジウムのテーマである研究の主査は、放射線医学総合研究所(放医研)緊急被ばく医療研究センターの栗原治氏であった。6名の日本人研究者、3名の外国人研究者が講演に立ち、パネルディスカッションも行われた。外国人演者からは日本からの緊急帰国者や在日米軍家族の初期被曝線量の測定値も報告された。当の日本よりも外国のほうが、初期の被曝線量測定に神経を使っていたことが、強く印象に残った。
被災地日本での実測値は、わずか飯舘村、川俣町、いわき市、三町村の児童1,080名の「スクリーニング」のみである。それも空間線量率を測るサーベイメーターを使って行われた。外国では、甲状腺用のホールボディカウンターが、4月はじめには既に使われたという。
◆研究主査栗原氏によれば、初期被曝線量再構築のフローは以下の通りである。
1. 初期被曝線量の実測データが得られたのはごくわずかである。そのわずかなデータを基礎として、県民全体の初期被曝線量を推計するという計画である。
2. 初期被曝線量の実測データがもはや得られない住民(郡山市民のような)については、後にホールボディカウンターで測った放射性セシウムの量から逆算する。
3. 逆算には、摂取時のヨウ素/セシウム比が用いられるが、その比を得るためには、個人の行動履歴や細かい環境放射能データが必要である。乏しいそれらのデータを如何にして集積するか。
4. いっぽうで、大気拡散シミュレーションからの空気中濃度マップの作成と、放射性核種摂取量の算定も、並行して研究する。
研究はようやく端緒についた、というべき内容だった。
それにも拘らず、「過度な被曝を受けたものはこれまで皆無であることが示唆された」というリップサービスが、詳しい説明もなくなされたことは、唐突であった。科学的に正しい態度なのだろうか。
以上、明らかにしたい第一点を述べた。新聞記事と実際のシンポジウム内容との間の乖離についてである。放医研の発表に好意的な朝日新聞大岩ゆり記者も、課題山積を伝えている※3。
第四 第2点、根本データの危うさ・・・2011年3月の測定
明らかにしたい第二点、すなわち根本データの危うさについて述べる。こちらが本報告のメインである。
1、検査の実際
もうすぐ丸2年が経つが、福島原発事故発災の2週間後、2011年3月24日から3月30日にかけて、原子力安全委員会の依頼をうけた原子力災害現地対策本部は、いわき市、川俣町、飯舘村の1,080名の児童の甲状腺検査を実施した。その概要は5月12日原子力安全委員会のウェブサイトに発表された※4。
検査のやり方には疑問が残った。
福島第一原発は、3月12日に1号機が水素爆発、14日には3号機も水素爆発、2号機も重大損傷、15日には4号機の水素爆発と、立て続けに放射能を放出した。文部科学省は緊急に環境モニタリングを行い、15日には浪江町の原発から20kmの地点で空間線量率330μSv/hを記録し、16~17日には、浪江町30km地点で170μSv/h、飯舘村で95μSv/h、福島市(県測定)で24μSv/hを観測している。
住民の証言では飯舘村では「放射能雲」が14日ぐらいから立ち込めていたそうだ。放射性ヨウ素を大量に吸い込む恐れが発生したのだ。本来、被ばく防止の安定ヨウ素剤を服用すべきか判定のため、甲状腺スクリーニングはその直後に急いで行われなければならなかった。文科省委託事業である緊急被ばく医療のマニュアルremnetには、吸入5時間後の検査を想定して、スクリーニングレベルが示されている※5。
2、検査結果
しかし飯舘村での検査は、吸入摂取した日を3月14日とするとその16日後の30日(29日は準備)になってようやく行われた。放射性ヨウ素の実効半減期は7日間である。2週間経てば1/4に減衰して、正確な測定からは遠くなる。
検査の責任者であった広島大学の田代教授によれば、検査は県や村の全面協力で行われ、スクリーニングレベルを「0.2μSv/h」としたそうだ。また野外では空間線量率が10μSv/hを超えている飯舘村で、バックグラウンドが低い場所を見つけるのには苦労し、村会議場の議長席裏に「バックグラウンド0.2μSv/h」レベルの場所を、やっと見つけたのだという。
私たちが検査データの一端を知ることができたのは、約140日以上経った8月18日の朝日新聞記事だった※6。「全体の55%の子は、検出限界以下も含み測定値が「0」だった。「0」超では、0.01マイクロシーベルトが26%いた。0.02マイクロシーベルトが11%で、最高は0.1マイクロシーベルト」。朝日新聞の記事は3か所の検査をまとめたものだった。
3、疑問
この検査には3つの大きな疑問が残る。第一は測定誤差である。
(疑問1)バックグラウンドが「0.2μSv/h」近くもあるところで、0.01μSv/hという値が、果たして有効な値として検出できるのだろうか?
|
この検査では、
(求める値)=(計測値)-(バックグラウンド値)
だ。
誤差は
(求める値の誤差)=(計測値の誤差)-(バックグラウンド値の誤差)
という引き算ではなく、おおむね
(求める値の誤差)=(計測値の誤差)+(バックグラウンド値の誤差)
という足し合わせになる。だからとても大きなものになる。
求める値0.01μSv/hなどは、バックグラウンドが「0.2μSv/h」近くもあるところでは、検出限界以下になってしまう。それとも、精度を上げ検出限界を下げるために、測定時間をマニュアルの何十倍にもしたのだろうか?
そのような報告は、田代教授からもなかった。
大きな誤差に埋もれて、多くの子どもが「値 0」となり、データが記録されなかったことが考えられる。
疑問の第二は、スクリーニングレベルの有効性である。
(疑問2)スクリーニングレベル「0.2μSv/h」は、人が吸入した直後、甲状腺残留量が最大の時に当てはまるもので、12~16日間もたって甲状腺残留量が減衰してしまった時点では、当てはまらない。
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放射線防護の基準は「1歳児の甲状腺等価線量が100mSv」と規定されている。それがサーベイメーターを使って5時間後に測ることを標準とした、スクリーニングレベル「0.2μSv/h」にあたる。それを超えたら被ばくを防ぐために、大人も子どもも皆、安定ヨウ素剤を飲むことに決められていた。
被ばく医療マニュアルremnet※7によれば DBM型シンチレーション・サーベイメーターでは、換算係数は32kBq/(μSv/h)だからメーターの針が「0.2μSv/h」を差す時には、甲状腺残留量は32×0.2=6.4kBq=6,400Bqとなる。
次ページのグラフと表で1歳児の欄を参照されたい。
甲状腺に吸収されて1日後には最大の7,000Bqとなるが、減衰して12日後には1/3の2,000Bqになり、16日後には1/5の1,300
Bqになる。減衰したのに12日目に針が「0.2μSv/h」を差すということは、逆算すれば基準値の3倍あるということであり、減衰したのに16日目に針が「0.2μSv/h」を差すということは基準値の5倍あるということになる。
したがって最高値と説明された児童の「0.1μSv/h」も、基準値の半分ではなく基準値の2.5倍だった可能性が十分ある。
図:甲状腺等価線量が100mSvに相当するヨウ素131を摂取した場合の甲状腺ヨウ素残留量
緊急被ばく医療の研修のHP remnet
http://www.remnet.jp/lecture/b03_01/a02.html
付録2 初期被ばく医療の放射線測定におけるスクリーニングレベル より
表:甲状腺等価線量が100mSvに相当するヨウ素131を摂取した場合の甲状腺ヨウ素残留量(Bq)
緊急被ばく医療の研修のHP remnet
http://www.remnet.jp/lecture/b03_01/a02.html
付録2 初期被ばく医療の放射線測定におけるスクリーニングレベル より
疑問の第三は、被曝シナリオの恣意性である
(疑問3)被曝シナリオの描き方ひとつで、もとめる内部被曝線量は大きく変わる。
シナリオに恣意性はないのか?
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2週間前に一度に放射性ヨウ素を吸入したのか、2週間毎日同量を吸入したのか? それとも、その中間なのか?
2週間前に一度に放射性ヨウ素を吸入したとすれば、放射性ヨウ素の実効半減期は7日だから、2週間前の甲状腺残留量は今日の4倍で、甲状腺沈着率が20%だとすればさらにその5倍で、摂取量は今日の残留量の20倍ということになる。もし毎日同量摂取だと、摂取量は今日の残留量の9倍程度になる。
大量摂取の日を何時に定めるか、また摂取の継続状態によって、被曝量の計算値は何倍も違ってくる。被曝シナリオの吟味には論文を精査する必要がある。
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以上3つの疑問点を、放医研のシンポジウムは解き明かしただろうか? 答えは否である。
シンポジウム翌日1月28日の新聞記事はまるで「大本営発表」のような有様だった。「甲状腺被ばく30ミリシーベルト以下」「だから安心」一色だった。しかし、その2週間後には、「大本営発表」に逆らうような事態、すなわち高い発症率を伴う小児甲状腺がんの事実が記者発表されたのだった。
(為政者が事実をゆがめた発表をして国民を誘導する意味に使われるのが「大本営発表」
という言葉だが、放医研シンポジウムの報道が「大本営発表」であったことは、次の傍聴記からも裏づけることができる。
「2月19日(火)15時~16時 福島第一原発事故健康管理に関する検討チーム第5回会合 年明け動きが止まっていた健康管理検討チームの会合を傍聴しました。最初に、環境省が最新情報として、放医研が行った内部被ばく推定の報告(先ごろの福島県健康管理検討会で報告されたもの)について報告。ところが、甲状腺ガン(3名で確定診断、7名に疑い)の結果については報告も検討もなし。会場から、これの検討が先だとの声があがりました。」阪上武)
4、安全委員会は「スクリーニング」であって「測定」ではないといった
翌年の2012年になって明るみになったことだが、原子力安全委員会は、この1,080人の児童の内から高い値を示したものを、放医研などに招いて、バックグラウンド・ノイズのない場所で、きちんと測定し直すようにダメ出しをした。
原子力安全委員会は、3月の検査はあくまでも「スクリーニング」であって測定ではないと判断したのである。しかし、福島県当局と放医研および文科省当局は、これを拒否した※8。初期被曝線量を正確に知る道がこれで完全に閉ざされてしまった。HNKのETV特集「埋もれた初期被ばくを追え」でも、この問題は取り上げられた。
2013年1月27日のシンポジウムでは、この問題に吟味を加えなかった。意図的なスルーなのであろう。私は一昨年から気になっていたのでシンポジウムに参加したのだが、説明もなく話題にもならなかった。
根本のデータが信頼置けるものならば、理論に基いてどう試算しようとも、得られた推定値の信頼性を評価することが出来る。しかし根本のデータが危ういものならば、それをいかに操作しても、もともとの不確実性が支配して、評価に値する信頼性は得られない。それはまるで、基礎工事をしないで砂の上にスカイツリーを建設するに等しい。
「安心を与える」という政治的な目的のために、科学を、真実を覆い隠す手段として用いてはならない。
第五 郡山の子どもたちと初期被ばく問題
郡山の子ども達の初期被ばくについても、きちんとした定量的なデータはない。高い線量率を示した環境からの外部被ばくについても、放射性ヨウ素の内部被ばくについても、初期のデータは殆どない。ヨウ素だけでなくセシウムも放射能雲から吸い込んだはずだが、何の証拠も残っていない。
放医研の初期被ばく推定メソッドは、郡山の子供たちにも適用されるのだろう。しかし、大元の数字に信頼性が無い計算は、とうてい当てにすることは出来ない。
世の中には、知識がありステータスがありながら、平気でむごい事をいう人がいる。
「もう既に郡山の子供たちは被ばくしてしまったのだから、逃げたところでどうにもならないじゃないか」と。これが引きとめに使われるのだから酷い話だ。
この人は銃弾が飛び交う戦場から、もう十分怪我を負ってしまったのだからという理由で、わが子を助け出さないというのだろうか?
●不必要な被ばくをさせないこと
●これ以上余分な被ばくをさせないこと
これが放射線防護の基本であると、本来の国際放射線防護委員会ICRPは、私たちに教え諭してくれた。
確かに、被ばくしてしまったという事実を、避難によって消し去ることはできない。初期被ばくの放射性ヨウ素もそうだ、取り返しははできない。しかし「これ以上の被ばく」をしないことによって、可能性は切り開くことができる。
放射線によるダメージは、免疫力、内分泌の力を弱め、次の放射線への抵抗力を失わせると、ロシア国立小児放射能防護センター長ラリサ・バーレバ博士は、2週間前の来日講演で熱く語った。悪循環の糸は断ち切らなくてはならない。
郡山には放射性セシウムという子ども達の成長を蝕む厄介なものが、まだたっぷりと残っている。2013年2月10日の日、郡山駅前交番のわきでも空間線量率は1μSv/hを超えていた。郡山の表玄関ですら、環境省除染基準の5倍だ。
これ以上、
一本の放射線も、
一粒の放射能も、
わが子に浴びせてはならない!
だれもが叫ばずにはいられない けれど、なかなか叫べない、
郡山の親御さんたち、皆の心です。
第六 おわりに
防護原則に則り、法律に法り、
子どもたちが放射能を恐れることなく伸び伸びと学べる地に、
一刻も早く赴けるよう、
英明なるお裁きを、心からお願い申し上げます。
付註
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※1 共同=日経 2013/2/13 13:01
新たに2人が甲状腺がん 福島の18歳以下
東京電力福島第1原発事故による放射線の影響を調べている福島県の県民健康管理調査の検討委員会が13日、福島市内で開かれ、18歳以下の2人が新たに甲状腺がんと確定したと報告された。昨年9月に判明の1人と合わせ、3人となった。
福島県立医大の鈴木真一教授は「甲状腺がんは最短で4~5年で発見というのがチェルノブイリの知見。今の調査はもともとあった甲状腺がんを把握している」と述べ、同原発事故による放射線の影響を否定した。
3人のほかに7人ががんの疑いがあるとして、県立医大が検査を続けている。甲状腺検査は震災当時18歳以下が対象。2011年度に1次検査を約3万8千人を対象に実施した。
2次検査で細胞検査が必要とした76人のうち、10人にがんの疑いがあるとされ、このうち3人が甲状腺がんと判明した。〔共同〕
※2 福島民報(
2013/01/28 08:59)
甲状腺被ばく30ミリシーベルト以下 原発事故時周辺の1歳児、放医研推計
東京電力福島第一原発事故直後に飛散した放射性ヨウ素による1歳児の甲状腺被ばく量(等価線量)は30ミリシーベルト以下がほとんどだったとする推計結果を放射線医学総合研究所(千葉市)の研究チームがまとめ、東京で27日に開かれた国際シンポジウムで発表した。国際原子力機関(IAEA)が甲状腺被ばくを防ぐため安定ヨウ素剤を飲む目安としている50ミリシーベルトを下回った。
最も高かったのはいわき、双葉、飯舘の3市町村で30ミリシーベルトで、次いで南相馬、広野、大熊、浪江、葛尾の5市町村が20ミリシーベルト。楢葉、富岡、川俣の3町は10ミリシーベルト、県内の他の地域は10ミリシーベルト未満だった。
放医研の栗原治・内部被ばく評価室長らのチームは、事故直後に県内で実施した子ども約1000人の甲状腺検査の実測値や9市町村分のホールボディーカウンターによる全身の内部被ばく線量、放射性物質の拡散予測を組み合わせ、各地の1歳児の甲状腺被ばく線量を算出。全体の傾向を把握するための研究で、1歳児の人口の90%の被ばく線量を推計した。
栗原室長は「住民には安心できる材料だが、各個人の当時の行動までは反映していない。今後さらに精度を上げる必要がある」としている。
最も高かったのはいわき、双葉、飯舘の3市町村で30ミリシーベルトで、次いで南相馬、広野、大熊、浪江、葛尾の5市町村が20ミリシーベルト。楢葉、富岡、川俣の3町は10ミリシーベルト、県内の他の地域は10ミリシーベルト未満だった。
放医研の栗原治・内部被ばく評価室長らのチームは、事故直後に県内で実施した子ども約1000人の甲状腺検査の実測値や9市町村分のホールボディーカウンターによる全身の内部被ばく線量、放射性物質の拡散予測を組み合わせ、各地の1歳児の甲状腺被ばく線量を算出。全体の傾向を把握するための研究で、1歳児の人口の90%の被ばく線量を推計した。
栗原室長は「住民には安心できる材料だが、各個人の当時の行動までは反映していない。今後さらに精度を上げる必要がある」としている。
「甲状腺被曝は30ミリ以下」 原発事故巡り放医研推計
http://www.asahi.com/national/update/0127/TKY201301270130.html
【大岩ゆり】東京電力福島第一原発の事故による甲状腺被曝(ひばく)は、大半の福島県民が30ミリシーベルト以下という推計結果が27日、都内で開かれたシンポジウムで報告された。ただし、推計の前提には不確実な要素も多く、さらに検証が必要だという。
http://www.asahi.com/national/update/0127/TKY201301270130.html
【大岩ゆり】東京電力福島第一原発の事故による甲状腺被曝(ひばく)は、大半の福島県民が30ミリシーベルト以下という推計結果が27日、都内で開かれたシンポジウムで報告された。ただし、推計の前提には不確実な要素も多く、さらに検証が必要だという。
原発事故で飛散する放射性ヨウ素は、甲状腺に集まる性質があり甲状腺がんが心配される。ただ、ヨウ素の半減期は8日と短く、甲状腺被曝の実測データはほとんどない。環境省は昨年、放射線医学総合研究所(放医研)に委託して、被曝の実態を検証するプロジェクトを始めた。
放医研の栗原治・内部被ばく評価室長らは、甲状腺検査を受けた子ども1080人とセシウムの内部被曝検査を受けた成人約300人のデータから、体内の放射性ヨウ素の濃度はセシウム137の3倍と仮定。飯舘村、川俣町、双葉町、浪江町などの住民約3千人のセシウムの内部被曝線量から、甲状腺被曝線量を推計した。最も高い飯舘村の1歳児でも9割は30ミリシーベルト以下、双葉町では27以下、それ以外の地区は18~2以下だった。国際基準では、甲状腺がんを防ぐため、50ミリシーベルトを超える被曝が想定される場合に安定ヨウ素剤をのむよう定めている。
討論会では「ヨウ素の比率はもっと高い可能性もある」などの意見が出た。環境省はより正確な実態に迫るため、来年度も事業を継続する予定。
※4 福島県における小児甲状腺被ばく調査結果について
平成23年5月12日
原子力安全委員会事務局
http://www.nsc.go.jp/anzen/shidai/genan2011/genan031/siryo4-3.pdf
原子力安全委員会事務局
http://www.nsc.go.jp/anzen/shidai/genan2011/genan031/siryo4-3.pdf
平成23年3月23日のSPEEDI の試算を踏まえ、原子力安全委員会緊急技術助言組織より、特に感受性の高い小児への健康影響をより正確に把握するため、屋内退避区域あるいはSPEEDI
を用いた試算(3月23日公表分)で甲状腺の等価線量が高いと評価された地域の小児の甲状腺線量の実測を原子力災害対策本部事務局あてに依頼した。
その結果、原子力災害現地対策本部において、いわき市、川俣町、飯舘村において小児甲状腺被ばく調査を実施した。
1)対象者数
測定月日(曜日)
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測定場所
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測定数(人)
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3月26日(土)~27日(日)
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いわき市保健所
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134
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3月28日(月)~30日(水)
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川俣町公民館
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647
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3月30日(水)
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飯館村公民館
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299
|
合計
|
1,080
|
注:なお、3 月24 日に川俣町において測定を行っているが、バックグラウンドが高かったことから測定結果に含めていない。
2)測定方法
「緊急被ばく医療ポケットブック」(平成17年3月、財団法人原子力安全研究協会)の「頸部甲状腺に沈着した放射性ヨウ素の測定」に基づきNaI(Tl)シンチレーション式サーベイメータを用いて実施した。
「緊急被ばく医療ポケットブック」(平成17年3月、財団法人原子力安全研究協会)の「頸部甲状腺に沈着した放射性ヨウ素の測定」に基づきNaI(Tl)シンチレーション式サーベイメータを用いて実施した。
3)結果
小児甲状腺被ばく調査を実施した0歳から15歳までの1,080人の小児については、スクリーニングレベル0.2μSv/h(一歳児の甲状腺等価線量として100mSvに相当)を超えるものはなかった。
小児甲状腺被ばく調査を実施した0歳から15歳までの1,080人の小児については、スクリーニングレベル0.2μSv/h(一歳児の甲状腺等価線量として100mSvに相当)を超えるものはなかった。
(原子力安全委員会は、1080人の調査を全面肯定したような発表をしたが、じつは、※10「毎日新聞2012年2月21日<甲状腺内部被ばく>国が安全委の追加検査要請拒否」のような裏事情があったのである)
※5 緊急被ばく医療の研修のHP remnet
付録2 初期被ばく医療の放射線測定におけるスクリーニングレベル
「吸入摂取から0.2日(約5時間)経過後に甲状腺計測を実施するとすれば、131Iによる甲状腺線量が最も厳しい値となる1歳児において131Iの甲状腺残留量が3KBqとなることから、甲状腺のスクリーニングレベル0.1Svに対応する頸部甲状腺部位のスクリーニングレベルとして、131の甲状腺残留量3KBqが選ばれています。」
※6 朝日新聞2011年8月18日
福島の子ども、半数近くが甲状腺被曝 政府調査で判明
東京電力福島第一原子力発電所事故をめぐり、政府の原子力災害対策本部は17日、福島県の子ども約1150人を対象にした甲状腺の内部被曝(ひばく)検査で、45%で被曝が確認されていたことを明らかにした。17日、同県いわき市で開かれた説明会で発表した。すぐに医療措置が必要な値ではないと判断されているが、低い線量の被曝は不明な点も多く、長期的に見守る必要がある。
検査は3月24~30日、いわき市と川俣町、飯舘村で0~15歳の子どもを対象に実施した。原子力安全委員会が当時、精密検査が必要だと決めた基準は甲状腺被曝線量が毎時0.20マイクロシーベルト以上。1150人のうち、条件が整い測定できた1080人は全員、0.10マイクロシーベルト以下だった。
この日、説明会には、検査を受けた子どもの保護者ら約50人が参加した。対策本部原子力被災者生活支援チームの福島靖正医療班長は「問題となるレベルではない」と説明した。
3月の検査時に、その場で「健康に影響はない」とする結果が保護者らに伝えられた。ただし数値は通知されず、説明を求める声が上がっていた。
対策本部は、当時18歳以下の県内の子ども36万人について、福島県が一生涯続ける予定の甲状腺の超音波検査への協力を呼びかけている。(林義則、大岩ゆり)
※7 remnet緊急被ばく医療の知識・頸部甲状腺に沈着した放射性ヨウ素の測定
※8 毎日新聞2012年2月21日
<甲状腺内部被ばく>国が安全委の追加検査要請拒否
国の原子力災害対策本部(本部長・野田佳彦首相)が東京電力福島第1原発事故直後に実施した子供の甲状腺の内部被ばく検査で、基準値以下だが線量が高かった子供について内閣府原子力安全委員会からより精密な追加検査を求められながら、「地域社会に不安を与える」などの理由で実施に応じなかったことが分かった。専門家は「甲状腺被ばくの実態解明につながるデータが失われてしまった」と国の対応を問題視している。
対策本部は昨年3月26~30日、福島第1原発から30キロ圏外で被ばく線量が高い可能性のある地域で、0~15歳の子供計1080人に簡易式の検出器を使った甲状腺被ばく検査を実施した。
安全委が設けた精密な追加検査が必要な基準(毎時0.2マイクロシーベルト)を超えた例はなかったが、福島県いわき市の子供1人が毎時0.1マイクロシーベルトと測定され、事故後の甲状腺の積算被ばく線量は30ミリシーベルト台と推定された。対策本部から調査結果を知らされた安全委は同30日、この子供の正確な線量を把握するため、より精密な被ばく量が分かる甲状腺モニターによる測定を求めた。安全委は「ヨウ素は半減期が短く、早期に調べないと事故の実態把握ができなくなるため測定を求めた」と説明する。
しかし、対策本部は4月1日、(1)甲状腺モニターは約1トンと重く移動が困難(2)測定のため子供に遠距離の移動を強いる(3)本人や家族、地域社会に多大な不安といわれなき差別を与える恐れがあるとして追加検査をしないことを決定した。
対策本部被災者生活支援チーム医療班の福島靖正班長は「当時の詳しいやりとりは分からないが、最終的には関係者の合意でやらないことになった。今から考えればやったほうがよかった」と話す。安全委は「対策本部の対応には納得いかなかったが、領分を侵すと思い、これ以上主張しなかった」と説明する。
国際原子力機関(IAEA)は昨年6月、甲状腺の積算被ばく線量が50ミリシーベルト程度の子供でも甲状腺がんのリスクが上昇するとして、甲状腺の発がんを防ぐためのヨウ素剤服用基準を100ミリシーベルトから50ミリシーベルトに引き下げている。30ミリシーベルト台はこれに近い数字だ。
東京工業大の松本義久准教授(放射線生物学)は「データに基づけば、福島で実際に甲状腺がんが増えることはないと思う。しかし当時精密に計測していれば住民の安心につながっていた」と指摘している。【久野華代】
以上
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