二審(仙台高裁)での郡山市の主張の目玉は、2011年(平成23年)10月5日から子ども達にガラスバッチを持たせて実施した個人積算線量測定結果の平均値に基づいて、《抗告人らの年間追加被ばく量は、ほぼ1mSv前後といえるので、実質的にはすでに抗告人らが求めている教育環境を満たしているといえる。》(第1準備書面8~9頁)
つまり、ガラスバッチの測定で年1ミリシーベルト前後だから問題ない、という主張です。
これに対し、私たちは、抗告人の親から、子どもたちのガラスバッジによる測定の実態を報告してもらいました。これによって、郡山市のガラスバッジによる測定の実態が本来の測定方法とはほど遠く、従って、得られたデータも虚構のデータであることが明らかです。
ここから次のことが分かります。このガラスバッチによる測定は、
教育現場において、ガラスバッジを《身につけなくても、ランドセルの中に入れておいても問題ない》と指導されていたことがうかがわれ、事実、この抗告人自身、教育現場の指導に忠実に、《ガラスバッチを学校では、教室でランドセルの中に入れたまま、自宅でも部屋でランドセルの中に入れたままで、外出時も本人が気がつかない限り、携帯することはありませんでした。》
のみならず、この態度は、ひとり抗告人にとどまらず、ガラスバッジを《胸に下げることに抵抗がある子ども達は、当然のようにこの指示に従いました》。つまり多くの子ども達が、ガラスバッジを首にぶら下げて被ばく量を測定しなかった可能性が高い。その結果、
①.同じ郡山市に住む子どもたちの測定値の最高値と最低値の間に、130倍以上(第2回目)、180倍以上(第3回目)もの開きが生れ(乙43)、
②.外部被ばくを極力避けるために《車で登下校させ、休日に部活動をすることのない》この抗告人のほうが、《登下校は徒歩で‥‥休日は自転車で出掛けていた》同人の兄より高くなったり(甲220別紙1と同4)、或いは《徒歩で登下校し、少年野球チームで休日は外で野球をしていた》同級生より高くなるという理不尽な結果が生れ、
③.この杜撰極まりない測定方法で得られたこの抗告人の年間の累積被ばく量ですら1.36~2.10mSvと推計され、
④.もし本来の測定方法を実施したら、どのような値と推計されるかを考えた時、その手がかりが今回の測定で得られた最高値である。なぜなら、最高値の子どもとはガラスバッチを肌身離さず身につけ理想的な測定方法に最も近い場合と考えられるから。
そこで、3回の測定の最高値(乙43)から年間の値を推計すると、次の通りとなる。
第1回目 0.45÷33×365+0.289mSv=5.26mSv
第2回目 1.31÷64×365+0.289mSv=7.76mSv
第3回目 1.83÷51×356+0.289mSv=13.38mSv
つまり、抗告人が本来の測定方法を実施したとしたら、抗告人の年間の累積被ばく量は5.26~13.38mSvに準ずる値と推計される。
0 件のコメント:
コメントを投稿