平成23年9月9日午後4時40分より、福島地方裁判所郡山支部において第3回の審尋期日が開かれました。当方からは債権者2名と代理人弁護士3名が出席しました。
これに先だって相手方から前回の当方の釈明に対して回答する準備書面が提出され、当方から最終準備書面とその内容を裏付ける証拠を提出しました。
当方の主張・証拠の内容の概要は次の通りです。
1、相手方の準備書面1に対する反論(仮処分を認める「保全の必要性」があるかなど)
2、現在、一部に「被ばくの事態は基本的に収束した」という雰囲気があるが、それは現時点における外部被ばく(空中線量)の測定値が徐々に低下しているという点だけ見て導き出した誤った認識であり、「低線量被ばくの危険性」を真にリアルに正しく把握するためには、
(1)、現時点だけではなく、3.11以来今日までの被ばくの積算を考えること、
(2)、外部被ばくのみならず内部被ばくの危険性を考えることが不可欠である。
この観点から、8月30日、文科省から各地のセシウムの土壌汚染の測定(6月6日~7月8日)の結果が公表され、これによりチェルノブイリ原発事故とのより具体的な対比が可能となりました。本書面では、
①.セシウムの土壌汚染が郡山市と同程度の地域(ウクライナのルギヌイ地区)に着目し、同地域で、子供にどのような健康障害(甲状腺疾病と甲状腺腫)が発生したかというデータを用いて、低線量被ばくにより今後、郡山市の子供たちの間で、どのような健康被害が、どの程度発生するのかを予測しました。
→ 5、6年後から甲状腺疾病と甲状腺腫の双方が急増、9年後に、子ども10人に1人の割合で甲状腺疾病が発病。がん等の発症率は甲状腺疾病の10%強の割合で発病、9年後には1000人中約13人。
②.チェルノブイリ原発事故では、セシウムの土壌汚染濃度に基づいて、4つの避難基準(特別規制地域・移住義務地域・移住権利地域・放射能管理強化地域)が設けられましたが、このチェルノブイリの避難基準を、郡山市の債権者ら通う学校周辺のセシウム土壌汚染濃度に当てはめた時、どのような結果が得られるかを明らかにしました。
→殆どの学校が、チェルノブイリの避難基準の、避難を義務づけられる移住義務地域か、避難を希望する場合には国がそれを保障する移住権利地域に該当。
また、証拠として、
(1)、債権者の親の方から「なぜ自主避難しないのか、できないのか」 という陳述書、
(2)、土壌汚染濃度に着目して、郡山市と同程度の汚染程度にあったチェルノブイリのルギヌイ地区における健康被害との比較や内部被ばくの危険性について解説した琉球大学名誉教授矢ヶ崎克馬氏作成の意見書、
(3)、チェルノブイリ原発事故による健康被害について、2006年にウクライナ政府が発表した公式報告書
(4)、3月16日までに、福島第一原発の1号機から3号機において、大量のプルトニウムとストロンチウムが放出していたことを試算した原子力安全・保安院公表(6月6日付)のデータ、
などを提出しました。
さらに、全国・全世界から集まった署名についても提出しました。これまでに22,068通の署名をお寄せ頂いており、裁判所と郡山市に提出しています。さらに、皆さんの思いを記した陳述書も証拠として提出しました。
これに対し、郡山市としては当方の最終準備書面に反論したいとの希望を出し、裁判所もこれを認め、10月7日までに反論の準備書面を提出することになりました。その内容によっては、こちらが再反論をする機会を求めるかもしれませんが、おそらく、郡山市の準備書面を最後として、裁判所が決定を出すことになると思います。その時期としては、「速やかに」とのことですが、恐らく10月末頃になるのではないかと思われます。
審尋期日を実施するのは、さしあたり、今回で最後となりました。
今後、政府・行政の動きを注視すると共に、裁判所の判断に注目したいと思います。また、署名・陳述書についても、少なくとも10月7日までは集めて、裁判所に届けて、裁判所の判断の最後の後押しになればと考えておりますので、宜しくお願いいたします。
今後とも、引き続きご注目とご支援をお願いいたします。
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