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【ふり返り】ふくしま集団疎開裁判の歩み(2011.4~2013.1)

 ふくしま集団疎開裁判を理解するために、その歩みを知りたいという声をたくさんの方から寄せられました。まだ不十分ですが、とりあえず、以下を作成しました。


ふくしま疎開裁判の歩み(2011.42013.1)    2012.12.25現在


月日
出来事
2000年
講演チェルノブイリ原発事故後の健康問題」(演者山下俊一)
 原発から150キロ離れたベラルーシ「ゴメリ」地区の小児甲状腺ガンは、チェルノブイリ事故の翌年に4倍に増加したデータを紹介。
クリックで拡大
2005年
斑目春樹(2011年当時、原子力安全委員会委員長)インタビュー
「原子力発電所‥‥安心なんかできるわけないじゃないですか、あんな不気味なもの‥‥」
映像

2009年
論文「放射線の光と影:世界保健機関の戦略」(著者山下俊一)
チェルノブイリ事故直後、ソ連では安定ヨウ素剤は配布されず、そのため多くの子どもたちがのちに甲状腺がん等の病気になったが、隣国ポーランドでは直ちに安定ヨウ素剤を配布したため、子どもの甲状腺がんの発生はゼロだった事実を指摘。
2011
3.11
福島第一原発事故
3.21
ICRPの日本への異例の勧告(緊急時被ばく状況、現存被ばく状況の名の下に年20100 mCv120mCvの大量被曝を容認した2007年勧告を実施するように勧告)
3.24
山下俊一日本甲状腺学会理事長、学会会員宛てに、福島原発事故で被ばくした福島県の子どもたちに安定ヨウ素剤の配布は必要ないという文書を出す。
しかし、チェルノブイリ事故直後、ソ連では安定ヨウ素剤は配布されず、そのため多くの子どもたちがのちに甲状腺がん等の病気になったのに対し、隣国ポーランドでは直ちに安定ヨウ素剤を配布したため、子どもの甲状腺がんの発生はゼロだった事実を指摘したのは山下俊一氏その人である(論文「放射線の光と影:世界保健機関の戦略」2009年3月。537頁左段1行目以下)
4.9
斉藤和義「ずっと嘘だった」YouTubeにアップ。

「ずっと嘘だった」に対する斉藤和義のインタビュー->動画
「ずっと嘘だった」2011年9月会津若松、斉藤和義ライブー->動画


4.19
文科省、ICRP勧告を大義名分にして、暫定的に福島県内の小中学校等の安全基準として年20mSvを適用する
4.29
事故直後の3月16日に、内閣官房参与になった小佐古敏荘東大教授、小学校等の校庭の利用基準に対し文科省の年間20mSvの数値の使用に強く抗議すると辞任を表明。
映像

 辞任の表明の全文 

※ 辞任の動機について、沢田昭二名古屋大学名誉教授の見解
5.1
「福島県は世界最大の実験場」に関する山下発言。
福島県立医大が開催した「健康管理調査スキームについての打ち合わせ」の場で、山下俊一教授「国際的には最大の実験場という見方がある」と発言。

5.17
弁護団、矢ヶ崎克馬氏の郡山講演会(子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク主催)
内部被曝を避けるために――怒りを胸に、楽天性を保って、最大防御を
を聞きに初めて郡山入り。目に映る光景がそれまでの日常と全く変わらないことにショック受ける。後に疎開裁判の最大の協力者となる矢ヶ崎氏との最初の出会い。
映像

5.22
文科省通知を撤回させるための裁判に向け、郡山で開催の「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」で原告の親と弁護団、支援者の最初の出会い。
5.23
福島の親たち、文科省で20mSv基準を撤回するように厳重抗議。
映像

5.27
文科省、暫定措置のさらに暫定措置として、通知を事実上、撤回する声明
 
6.24
郡山市の小中学生14名が郡山市に対し、年1mSv以下の場所での教育を求めて、福島地裁郡山支部に仮処分を申立てる(3.118.31の空間線量の積算値7.8~17.2mSv)
映像

7.5
第1回裁判。裁判所、形式的な理由で門前払いせず、被曝の危険性という本論に入る態度表明
映像

7.1721
ECRR(欧州放射線リスク委員会)のクリス・バズビー科学事務局長、来日講演(東京、会津若松、松戸)
講演映像  会見映像  インタビュー映像 
 
7.19
第2回裁判。郡山市「集団避難を求める裁判は不適法。市の措置は十分で避難の必要なし」と答弁。原告は集団避難を求めるものではないと説明し、郡山市了承、改めて反論を準備。裁判所、①和解による解決ができないか、双方に検討を要請、②あと2回で審理終結を宣言。
映像
 
8.26
第3回裁判。郡山市、従来の主張に、自主避難(転校)の自由論「転校の自由があるのだから危険だと思えば自分の判断で引っ越せばよい」を追加。裁判所、「和解の検討」を撤回。
8.30
文科省、初めて、セシウムの土壌汚染データを公表。これにより、健康被害についてチェルノブイリ事故との具体的な対比が初めて可能となる。9.9裁判に提出。
9.9
第4回裁判。原告の最終の主張(最終準備書面証拠説明書4)。これに対し、裁判所、異例の審理延長を表明。①郡山市に、健康被害について初めてチェルノブイリ事故との具体的な対比(甲状腺疾病)を行なった矢ヶ崎意見書汚染マップ等に反論を要請。②原告の求めに応じ、原告にファイナルアンサーの機会を与える。
9.19
明治公園「さようなら脱原発集会」6万人デモ。福島から大勢の参加者とアピール
 「福島からあなたへ」(武藤類子さん)
 

10.7
郡山市の反論の締め切り。従来の主張のくり返しにとどまる。チェルノブイリ事故との対比について(矢ヶ崎意見書等)は「不知」と答えるのみ(最終準備書面。「無気力、無関心・無責任」の態度がありあり)
10.15
郡山で集会&デモ。疎開裁判に勝つためには、担当の裁判官らの力だけでは不可能、裁判官たちによる世直しを支持する多くの市民の力が必要と訴える(裁判報告)。
映像  山本太郎さんも応援→映像  ブログの報告
  
10.31
原告の再反論の締め切り。甲状腺疾病以外の健康被害につきチェルノブイリ事故との具体的な対比を行なった松井意見書パンダジェフスキー論文による心臓病の発症を警告するバズビー論文、プルトニウムの危険性を警鐘した矢ヶ崎意見書(2)等を提出(最終準備書面の補充書2 証拠説明書6)。
11.7
講談師の神田香織さん、俳優の山本太郎さんら各界の著名人11名の人たちによる、子どもたちが安全な環境で教育を受けられるように裁判所の英断を求めるビデオメッセージを裁判所に提出。
以下、神田さんと太郎さんの入魂のメッセージ。



11.23
判決前夜アクション:郡山で講演会(松井英介医師)&リレートーク。
Ustream映像  ブログの記事
12.2
原告、再反論を補充。チェルノブイリ避難基準を適用した新しい汚染マップ等を提出(最終準備書面の補充書3 証拠説明書8)。
福島地裁郡山支部、野田総理「収束宣言」に合わせ、原告の申立てを斥ける却下決定を出す。→会見映像 ブログの報告 コメント1 コメント2 コメント3

 
12.23
判決不服従アクション:郡山で講演会(広河隆一さん)&裁判報告会(スカイプで中継)→Ustream映像 ブログの記事
12.27
判決に対し異議申立する(二審は仙台高裁)&判決不服従アクション:判決勉強会 →Ustream映像 ブログの記事
2012
1.12
世界からの声:米国の思想家のノーム・チョムスキーから裁判支援のメッセージ届く。
「‥‥社会が道徳的に健全であるかどうかをはかる基準として、社会の最も弱い立場の人たちのことを社会がどう取り扱うかという基準に勝るものはなく、
許し難い行為の犠牲者となっている子どもたち以上に傷つきやすい存在、大切な存在はありません。
日本にとって、そして世界中の私たち全員にとって、この法廷は失敗が許されないテスト(試練)なのです。

1.16
山下俊一福島県立医大副学長ら、日本甲状腺学会会員宛てに、甲状腺検査を受けた福島県の子どもたちのうち5mm以下の結節や20mm以下ののう胞が見っかった者の親子たちが、セカンドオピニオンを求めに来ても応じないように、と求める文書を出す。

1.25
下俊一氏を座長とする福島県「県民健康管理調査」検討委員会、原発周辺の子どもを対象にした第1回目の甲状腺検査を公表。29・7%の子に、5ミリ以下のしこりか、20ミリ以下の嚢胞。
この結果について、鈴木真一・県立医科大教授「甲状腺の腫瘍はゆっくり進行するので、今後も慎重に診ていく必要があるが、しこりは良性と思われ、安心している」
 のちに、多数の小児甲状腺がんが判明したら、「(甲状腺の腫瘍が多いのは)スクリーニング効果(大規模かつ精度の高い調査)のせいだ」と言い換えた。
2.19
神戸大学大学院教授の山内知也さん(放射線計測学)、郡山市内の2つの小学校の152箇所で空間線量を測定→環境省によって除染の基準とされている0.23 µSv/hを下回ったのは9カ所(5.9%)。 いずれも数値が最大40%ちがう2台のモニタリングポストが並ぶ(同様のものが約480台、福島県内に設置)。→山内意見書

意見書作成のため郡山市の小学校で測定する山内知也さん(クリックで拡大)

2.27
市民が陪審員となり裁く回世界市民法廷、日比谷で開催(英語の同時通訳で全世界に発信)ブログの報告
記者会見(2.17)の動画(武藤類子さん)


大江健三郎さんのメッセージ記者会見映像

前半 法廷再現+陪審劇
    ふくしまの子どもの声
 
後半  ゲスト

2.29
二審の争点は「チェルノブイリは警告する」から「ふくしまは警告する」へ。
原告、仙台高裁に第1回甲状腺検査結果の危険な事態を解明した矢ヶ崎意見書(4)と郡山の小学校の空間線量を詳細に測定した山内意見書等を提出(抗告理由書 証拠説明書9)。
3.17
市民が陪審員となり裁く第2回世界市民法廷、郡山で開催(英語の同時通訳で全世界に発信)。ブログの報告
前半 法廷再現+陪審劇
 
後半 ゲスト 
 Ustreamの映像
4.17
郡山市の反論。初めて、100mSv問題やチェルノブイリ事故など科学論争に足を踏み入れる(答弁書)。ブログの解説(1度目のドンデン返し
5.6
緊急記者会見。郡山市教育委員会が、1月23日から、ひそかに市内小中学校でホットスポットの測定を週1回のペースで実施していた。市民の情報開示手続により入手したホットスポットのデータを公表。UPI通信の報道(英文)
ブログの記事
5.20
原告の再反論。第2回甲状腺検査結果の危険な事態を詳細に解明した松崎意見書や除染、ホットスポットの現状を報告した武本報告書等提出(抗告人準備書面1と証拠28点。証拠説明書10)。ブログの解説(松崎意見書 武本報告書)
これに対し、郡山市、反論のため、2ヶ月半という異例の長期の猶予を求める。
ブログの解説(2度目のドンデン返し
7.16
7.19
米国のニュースサイト「Business Insider」に、ふくしまの子どもたちの甲状腺検査結果について「危ない」と欧米の専門家が警鐘を鳴らす記事が連続して掲載され、話題となる。
1回目の記事(7.16)  2回目の記事7.19

街頭に出るアクション:官邸前抗議行動で疎開裁判のスピーチ。以後、毎週金曜日に文科省前~財務省上抗議行動を継続(21週連続)。福島からの声、遠方からの声、寸劇、かんしょ踊り。
 7.27(->動画) 8.3 (->動画) 8.10(->動画) 8.17(->動画
 8.24(->動画 紙芝居 井戸謙一さんのスピーチ) 8.31(->動画
 9.7 (->動画) 9.14(->動画 文科省前 財務省上
 9.21 (->動画 文科省前 財務省上) 9.28(->動画 文科省前 財務省上
 10.5 (->動画 文科省前 財務省上
 10.12 (->動画 文科省前前半 文科省全部 財務省上) 

7.28
松崎意見書、在米医師により英訳され(英文)、話題となる→ブログの解説
 
8.2
郡山市から再反論(第1準備書面 証拠説明書)。サッカーの試合で言えば、延長戦後半を終了、ロスタイム入り。→ブロクの解説
 
8.3
仙台高裁、審尋期日を設けると連絡。仮処分として異例の裁判(審尋=非公開の審理)が開かれることに。→ブログの解説
 
8.22
野田首相に、首都圏反原発連合を通じて、「ふくしまの子どもたちの集団避難の即時実現」の申入書を手渡す。 
 
9.11
県民健康管理調査、甲状腺検査結果について最悪の被害の発表「6~10歳女子の54.1%、11~15歳女子の55.3%に『のう胞』か『結節』発見。
38人の中から1人小児甲状腺ガン発見」→ブログの解説
 山下俊一座長、「チェルノブイリ事故後の発症増加は最短で4年」等を理由にして原発事故との因果関係を否定。
しかし、原発から150キロ離れたベラルーシ「ゴメリ」地区の小児甲状腺ガンは、チェルノブイリ事故の翌年に4倍に増加した事実を指摘したのは山下俊一氏その人である(チェルノブイリ原発事故後の健康問題」(2000年)表2)
9.28
ブックレット『いま 子どもがあぶない--福島原発事故から子どもを守る「集団疎開裁判」--緊急出版→ブログの解説
 
クリックで拡大
9.28
山下俊一氏の証人調べを求める申入書を仙台高裁に提出 →ブログの解説
 
10.1
二審第回裁判。仙台アクション:集会&デモ 矢ヶ崎克馬氏、松崎道幸医師、参加。
集会の動画

 講演会

10.1
全国会議員に、国政の最大課題「子ども達の集団避難の即時実現」について質問状を出す。→ブログの解説  回答一覧表(11.16現在回答率2.2%)

10.3~
毎日新聞、県民健康管理調査の検討委員会を巡り、県が委員らを事前に集め秘密裏に「準備会」を開いていたこと、準備会では調査結果に対する見解をすり合わせ「がん発生と原発事故に因果関係はない」ことなどを共通認識とした上で、本会合の検討委でのやりとりを事前に打ち合わせていたこと、委員が発言する内容について県が予めシナリオ(議事進行表)を作成し、委員に送付していたこと、出席者には準備会の存在を外部に漏らさぬよう口止めもしていたことなどをスクープ。→記事1 記事2
10.5
市民と科学者の内部被曝問題研究会」のモニタリングポスト検証チーム矢ヶ﨑克馬さんら)、文科省が設置したモニタリングポストの実態調査結果(結論部分「住民の曝されている放射線量に対してモニタリングポスト値は約半分」しかない)を発表 →会見資料 →ブログの解説

10.30
世界に出るアクション:ジュネーブ国連人権理事会で日本の人権侵害を審査する作業部会に情報提供する説明会で、福島の惨状と子どもたちの救済をアピール。同行:井戸川双葉町町長(彼の立場は世界標準であるチェルノブイリ住民避難基準=年1mSv以下を採用すべき→その動画)。
Ustream映像
 翌日、WHOの前で毎日無言の抗議行動をするIndependentWHO訪問の映像
 翌日、UPR日本審査を受けて、NGO合同記者会見の映像30分30秒~) 
 
11.2
国連の人権理事会(作業部会)、日本政府に対し「福島住民の健康の権利守れ」 という報告書を採択。 朝日新聞の記事
 
11.17
国連人権理事会から派遣され来日した特別報告者アナンド・グローバー氏に、疎開裁判の報告と裁判資料を手渡す。
11.26 日本政府と福島県を厳しく批判する東京新聞の記事
 と会見映像
 
11.26
二審第2回裁判。仙台アクション:集会&デモ
映像
 
12.4
全政党に、史上最悪の人災から「子どもたちの命を守る」と公約するかどうかについて質問状を出す。→ブログの解説  回答一覧表12.13現在) 
 
12.14
日本政府とIAEAの福島閣僚会議に対する抗議声明を出す。→ブログの解説 
 
2013
1.21
二審第3回裁判(予定)。

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