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2016年5月29日日曜日

子ども脱被ばく裁判 第5回口頭弁論期日報告

皆様、子ども脱被ばく裁判第5回口頭弁論についての井戸弁護団長の報告です。


2016年5月27日
第5回口頭弁論期日報告

弁護団長  井 戸 謙 一

1 第三次提訴
  2016年5月10日、第三次提訴を行いました。子ども人権裁判には、新たに3名の子供たちが、親子裁判には新たに27名の親子が原告に名乗りをあげました。

2 進行協議期日(2016年5月26日午後2時)
  口頭弁論期日に先立ち、進行協議期日が開かれました。席上、裁判官は、第三次提訴があったので、これを第一次提訴・第二次提訴分と併合審理する予定であること、したがって、行政訴訟部分(「子ども人権裁判」のことです。)を国家賠償訴訟部分(「親子裁判」のことです。)から分離して判決をするか否かは、第三次訴訟を併合してから決めることを述べ、「本日の口頭弁論期日では、分離はしない」という方針を明らかにしました。その上で、裁判長は、次のように発言しました。
「行政訴訟部分の原告らの請求は、多岐にわたっており、問題となっている「訴訟要件」も同一ではない(被告市町村は、子ども人権裁判は、『訴状要件』が欠けているから門前払い却下すべきだと主張しています。)。裁判所が、行政訴訟部分を分離して判決した場合、結論がすべての請求について同一になるとは限らない(一部の請求は、訴訟要件を欠き、違法であるから却下しても、一部の請求については訴訟要件を備えており、適法であるという判断になることがあり得るということ)。その場合、原告は、却下された請求については、控訴するだろうから(適法な請求は、福島地裁で審理が続けられるので)、子ども人権裁判が、仙台高裁と福島地裁の双方で同時に審理されることになる。こうなると、原告も被告も負担が大きい。従前、被告市町村は、行政訴訟部分を分離して判決することを裁判所に求めており、裁判所もそのつもりであった。しかし、上記のような事態が生じ得るのだから、被告市町村には、行政訴訟部分の分離・判決を裁判所に求めるのか、再検討してほしい。」
裁判長は、要するに、「行政訴訟部分(子ども人権裁判)を分離・判決しても、すべての請求について訴訟要件がないとして却下するという判断はできないと考えている。そうなると、分離・判決をする意味がないので、被告市町村は、裁判所に対し、分離・判決を求める意見を撤回してほしい。」と、暗に求めたのだと理解できます。
これで、子ども人権裁判について、少なくともすべての請求が却下されるという心配は事実上なくなり、実体の審理(行政が、希望する子どもたちを今よりも安全な地域で教育する義務があるか)に入ることができることがほぼ確実になりました。たくさんの方々のご尽力により、全国から多数の署名と要請ハガキを寄せていただいたこと、原告の人たちが口頭弁論の都度、裁判官に対して直接訴え続けたことが実を結んだものと思います。なお、最終的な決定は、次回になされます。

3 口頭弁論期日(2016年5月26日午後3時)
口頭弁論において、原告側は、準備書面(11)(12)(13)を陳述しました。準備書面(11)は、子ども人権裁判の請求が訴訟要件を備えている旨を主張したものです。準備書面(12)は、東大の児玉龍彦教授に作成していただいた意見書に基づいて、スピーディやモニタリングデータ等の情報を隠ぺいした国の不作為を断罪したものです。児玉教授は、意見書で、特に文科省の無為無策を厳しく追及しておられます。準備書面(13)は、安定ヨウ素剤を服用させなかったことの違法主張の追加であり、1999年にウクライナの内分泌代謝研究所所長のトロンコ氏が発表した論文では、小児甲状腺がんになった子どもたちの甲状腺吸収線量は、100mSv以下が過半数であり、36%の子供たちは50mSv以下、15%の子供たちは10mSv以下であったことが分かっており、これを踏まえてWHOは、安定ヨウ素剤服用の基準を小児甲状腺等価線量10mSvに引き下げたのだから、100mSvのまま放置していた日本の基準は、高すぎて違法である、等と主張したものです。
他方、被告国からは、長期低線量被ばくの健康リスクについて、本格的な主張が出てきました。長期低線量被ばくによる健康被害は、発がん以外にはなく、発がんのリスク増加も100mSvを超えない限り、認められていないとし、ICRPの2007年勧告は正当であって、国は、これに従ったものであって何ら問題はないというのです。そして、国には、モニタリングデータを住民に提供する法的義務はない、20mSv通知は、指導助言にすぎず、これに従うか否かは、福島県の判断に委ねられていた、と断じました。
また、今回も2名の原告が、意見陳述をしました。その静かな怒りは、法廷中の人たちの胸に突き刺さったことと思います。

4 今後の予定
次回期日は、8月8日(月)午後3時からです。次々回期日は、10月12日(水)午後3時、次々々回期日は、12月12日午後3時とさだめられました。期日のペースが2か月に1回と早くなってきました。裁判所の姿勢が積極的になってきたように感じます。
いよいよ、本格的な議論が始まりました。引き続き、ご支援をお願いいたします。


以上、井戸弁護団長の報告です。
尚、児玉教授の意見書等、準備書面は弁護団のブログからご覧になれます。

★★
子ども脱被ばく裁判の今後の予定(口頭弁論期日)は以下のとおりです。


  第6回 口頭弁論期日 8月8日(月)15時

  第7回 口頭弁論期日 10月12日(水)15時

  第8回 口頭弁論期日 12月12日(月)15時


場所は,すべて福島地方裁判所203号法廷です。
福島地方裁判所:福島市花園町5-38


2016年5月27日金曜日

速報! 子ども脱被ばく裁判 第5回口頭弁論開催・弁護団の笑顔

 本日(26日)、福島地裁で開かれた、第5回子ども脱被ばく裁判は、原告の皆様と弁護団のがんばりで、本日の公判は門前払いされることなくうれしい状況が生まれ、実質審議の可能性が見え、口頭弁論終了後の記者会見では、いつになく弁護団の顔がほころんだ。子ども人権裁判と親子裁判の実質審議に入る希望が見えてきたからだった! 弁護団は3つの準備書面を用意し、裁判所に提出。受理された。
 公判での原告の訴えはその場にいた誰もが胸を打たれたはず。

尚、動画は配信され次第、アップいたします。


★ユープラン三輪さんが動画をアップしてくださったので、追加いたしました。


20160526 UPLAN【前半・報告会】
人見やよい「やいちゃんのヨーロッパ弾丸ツァー(子ども脱被ばく裁判報告集会)」
 
 
 
200160526 UPLAN 【期日前集会・記者会見・意見交換会】子ども脱被ばく裁判
 

福島地方裁判所前で原告のアピール



裁判後の記者会見の様子


 その一つで、東京大学先端科学技術センター教授、児玉龍彦氏の意見書、「~福島第一原発爆発事故後SPEEDIの結果が公表されず、隠された事により子供たちが無用な被ばくをさせられた。被告国及び県の法的責任は明らかである。防災基本計画及び、緊急時環境放射線モニタリング指針に定められたモニタリング体制を整える義務を尽くさなかった義務違反がある。また被告国及び県は、不十分なモニタリング体制の中でなお事後的に正確性が認められるSPEEDIの計算結果を即座に公表せず、関係市町村に連絡もしなかった点、明らかな義務違反がある。」とする意見書は抜群な効果を生んだと感じた。

 今後、児玉教授は意見陳述にも積極的な参加の意志があるという。今後の裁判の行方に影響は強い。
 また、5月10日、第3次原告の、子ども人権裁判3名、親子裁判31名が追加提訴したので、今後、第3次原告の訴訟も併合した上で、実質審議に入るか否か決定する方向という。
 子ども人権裁判が行政訴訟であり、裁判所は 1、給付訴訟 2、確認訴訟 3、不作為訴訟のいずれかを選択するが、今日の裁判官の対応は今までと微妙な違いがあり、どの様な判決を出すにしても裁判官は悩むだろうと井戸弁護団長は語った。

 東京大学、児玉龍彦教授の意見陳述は大きな力になることを予感させる口頭弁論だった。
 これ迄取組んできた、公正な審議を求める、署名活動や抗議葉書の影響も大きいと思われ、裁判の状況が若干変わってきたため、今後新しい署名等を継続して取り組むなど、裁判内外で様々な支援活動が求められる。

福島駅前でのチラシ配布


 私たち、脱被ばく実現ネットは口頭弁論の始まる前に福島駅で子ども脱被ばく裁判リーフレット、ちばてつやさんの絵入りチラシ、被ばくのない明日を!を配布。受取り良好だった。

(宮口記)



2016年5月5日木曜日

6月2日(木) 上智大学にて 「若者と放射能―関東の汚染はどうなっているのか?」

「若者と放射能―関東の汚染はどうなっているのか?」

――震災から5年、放射能被害の知らされない真実。そこから未来の希望を見つけ出す――。

6月2日(木)18:45開場、 開始19:00~21:00
上智大学四ッ谷キャンパス2号館508教室
 お 話 崎山比早子さん(医学博士、元放射線医学総合研究所主任研究官)、他
 資料代 500円(大学生以下は無料)
 主 催 上智大学グローバル・コンサーン研究所
 共 催 脱被ばく実現ネット



https://drive.google.com/file/d/0B4SawK0ClXiMYWROXzlqSThZRDA/view?usp=sharing

 311原発事故から5年経ちました。それはチェルノブイリ事故で放射能による健康被害が爆発的に増え始めた年です。通常では100万人に一人と言われる18歳以下の甲状線がんが福島では166人を超え、その他の被害、若者や大人の被害、関東を始め他地域の被害も深刻化しています。

 しかし甲状線がん以外は全く調査も報道もされていません。その中で関東の私たちは水道水や食べ物や空気から日々『低線量被曝』をし続けています。メンタル面、風邪、アレルギーの悪化から、がんや白血病や心臓病まで、私達自信が知らされない放射能被害の真実と事実が激増しているのではないでしょうか。


 放射能被害は若者や子どもほど悪影響が出ます。そこで大学という場で関東の若い世代を中心とした放射能被害を正面から考え明らかにするイベントを行います。講師の崎山先生はまさにその専門家です。自分や周りで原因不明の不調を感じたり放射能被害を知りたいと思う学生のみなさん、様々な世代のみなさん、ぜひご参加下さい!