これは、原発事故避難者の追出し裁判(その説明>こちら)の上告審について最高裁からの最新情報とそのオンライン署名のお願いです。 (文責 追出し裁判の被告避難者代理人 柳原敏夫)
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| 左は2021年5月、追出し裁判福島地裁第1回口頭弁論。右は本年12月10日付受理決定書 |
1、原発事故避難者追出し裁判(以下、追出し裁判と略)とは
追出し裁判の一審裁判所も、二審裁判所も、その審理があまりにひどい(裁判官は原告の代理人ではないのかと見まがうほどの不公正、偏向ぶり)ので、2度にわたり、裁判官忌避を申し立てずにはおれませんでした(その報告は>こちら)。
その結果、真相不解明に徹したその杜撰な審理に相応しい、杜撰な二審判決に対し、被告の区域外避難者は上告し、2024年4月、上告の受理申立理由書を提出しました(その報告は>こちら)
他方、原告の福島県は二審判決が出るやいなや、2024年3月、二審判決の「仮執行宣言」を理由に、被告の区域外避難者を仮設住宅から叩き出すという強制執行を実行しました(その報告は>こちら)。
そしたら、3日前、最高裁から(普通だったら)書類が郵送されるのに、この日は電話が鳴った。
2、上告が受理された
電話の主は、最高裁第二小法廷の書記官。彼は追出し裁判の担当書記官。用件は区域外避難者からの上告受理の申立てが認められ、受理することになったと。つまり、原判決は誤まっているという区域外避難者からの主張について最高裁は自ら判断を示すと。そして、判決言渡しは来年1月9日午後3時、最高裁二小法廷でやるので、出席する当事者、代理人、傍聴人等について連絡して欲しいと。
一瞬、これはニセ電話ではないかと(昔、鬼頭裁判官が三木首相に検事総長を名乗ったニセ電話があったから)。しかし、その翌日、最高裁から上告を受理する決定の書面が届いた(全文は>こちら)。これでニセ電話でも夢でもないことが証明された。
第1が2017年3月末をもって仮設住宅の提供を打切ると決定した内掘県知事決定の違法性について。
第2が仮設住宅(国家公務員宿舎)の所有者でもない福島県が本裁判の原告となって入居中の区域外避難者の退去を求める訴えを起こす資格(原告適格)について。
これも画期的なことだった。法律の玄人筋から言えば、もし最高裁が原判決の見直しをするとしたら2番目の原告適格の不備だろうと。なぜなら、純法律問題の枠組みの中で処理できるからだ。しかし、最高裁はそれにとどめなかった。さらに、追出し裁判の中心論点である「内掘決定の違法性」についても判断を下すと言ってきた。
これは区域外避難者側が最高裁に強く求めていた司法積極主義(※)を受け入れたものだった。だから、これは原発事故の救済という問題について、最高裁が人権という観点から一歩前に出た輝かしい瞬間だった。
(※)国策といった政治性の極めて強い問題に対しては通常、司法は深入りしないという司法消極主義が採用されるが、にもかかわらず、もし司法消極主義を正当化する根拠となる民主主義の政治過程が正常に機能しない場合もしくはその根拠が性質上及びにくい場合には、民主主義の政治過程やその根拠が及びにくい領域の人権問題について、司法がなおも司法消極主義にとどまっていたら、それは司法が司法消極主義では治癒できない病理現象から目を背けることにほかならず、正義にもとり、司法の存在意義がなくなる。このような場合には司法は態度を変更して自ら積極的に司法判断に出る必要がある。これが司法積極主義(1938年のアメリカ連邦最高裁判所のカロリーヌ判決のストーン判事の脚注4>その解説)
3、残された課題「人権の最後の砦」を証明すること
ただし、輝かしいとはいえ、これはあくまでも最初の一歩。内掘決定という原発事故の救済の基本問題について、最高裁が積極的に判断を示すと表明しただけで、その判断の中身までは表明していないからだ。
しかし、そもそも国の機関としてわざわざ司法が立法(国会)や行政(政府)とは別に存在しているのはなぜだろうか。それは司法には司法でしか果たせない価値、意義があるからだ。それが「人権の最後の砦」。
このたび、最高裁は、勇気を奮って一歩前に出て、原発事故の救済の基本問題について、人権問題として積極的に判断を示すと表明した。その姿勢を最後まで貫き通して、もう一歩前に出て、原発事故の救済の基本問題について区域外避難者の人権保障がまっとうされるような、「人権の最後の砦」の名に相応しい判断を示して欲しい。それが司法にしか果たせない唯一最高の仕事です。
もう一度くり返します。内掘県知事決定は原発事故後の救済に関する最も重要な政策決定です。その違法性の有無についてこのたび最高裁が判断するということは、その判断次第で、原発事故後の救済に関するこれまでの国の政策が根本的に批判され、変更される可能性があるということです。311後の日本社会をゴミ屋敷にしたこの国の政策の根本的な再建に最初に着手したのが最高裁だとしたら、その再建を引き受けて最後までやり遂げるのはほかならぬ私たち市民です。この司法と市民との協同再建事業のため、勇気を奮って一歩前に出た最高裁にならって、私たち市民も一歩前に出ようではありませんか。
その最初の一歩目のアクションとして、この最高裁への最後のラブレターに賛同した人に以下から署名をお願いする次第です。
【オンライン署名】山が一歩動いた。最高裁が原発事故避難者の追出し裁判の上告を受理すると通知。最高裁は「人権の最後の砦」であることの証明を果して欲しい。



