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2023年4月8日土曜日

【報告】3.27子ども脱被ばく裁判控訴審(仙台高裁)第6回弁論

   横断幕を持つ向かって左端が、当日、意見陳述をした控訴人の長谷川克己さん。

去る3月27日(月)、子ども脱被ばく裁判の控訴審(仙台高裁)第6回弁論が開かれました。この日の控訴人の提出書面は、

・ 準備書面(11)(SPEEDI問題等について)

準備書面(12)(これまでの主張の整理・自己決定権について)

次回期日は7月31日(月)午後3時。

この日、控訴人の最後の意見陳述の機会という積りで、郡山市から静岡県富士宮市に家族避難した長谷川克己さんが意見陳述をしました。これを聴いた傍聴人の人たちは一生忘れられない訴えとして記憶に刻まれたと思います。ライブで伝えられず、残念でなりません。

長谷川さんの意見陳述原稿(全文)->こちら


2回前の、昨年9月12日の期日で、原告らが切望した「子ども人権裁判と親子裁判の分離」が認められました。これを受けて次回期日で、親子裁判の証人尋問を行うか否か、誰を証人とするのかが明らかにされる予定でしたが、次回の11月14日、裁判所は証人尋問申請をすべて却下し、控訴人に次回までに主張の整理を指示しました。これを受け、弁護団は、3月27日で弁論が終結されるものと考え、なおかつ、今年2月1日には子ども人権裁判で不当な判決を受けたという流れの中で主張の整理を準備しました。

しかし、思ってもいなかったことが起きました。それはこの日、裁判所が審理を終結せず次回続行を決め、さらには、次回期日で審理を終結するとも明言しなかったのです。

また、それまで気がつかなかったことが判明しました。それは、2月1日の子ども人権裁判判決の15頁(ア)で、次の部分は「削る」と書かれていたこと。


 それは「原告らが通う学校の保健安全に関して、被告基礎自治体(福島市や郡山市など)の裁量権がある」 という部分を除く、ということ。
つまり裁判所は、原告らが通う学校の保健安全に関して行政府の裁量権を認めなかった。
これは、我々が明治以来150年間、行政府の横暴のツールとして濫用されてきた「行政裁量」を否定した画期的なもの。その詳細は
->学習会「子ども人権裁判判決の読み解き」の動画参照。

 さらに、この日の最大の眼目は、弁護団が本裁判で初めて本格的に主張した「自己決定権」という人権。

これについて、以下は、裁判後の報告会で、 弁護団のコメント。その詳細は->本日の裁判報告の動画参照。

井戸謙一
今まで主張してきたことをもう一度整理しなおした。 その中で、自己決定権を強く打ち出した。‥‥準備書面12は、全体の主張を改めて整理し直したものですけれど、どういう権利が侵害されたのかという点で、従前から主張してきた無用な被ばくをさせられない権利、それと被災者の知る権利を主張していたのですが、被災者の知る権利とはどこから来るのであろうか、と考えた末、自己決定権に至った。 災害に遭った時、どうやって、自分や家族を守るのか、例えば、火山の噴火で火砕流が来たら、逃げるほかないです。でも、放射能の被害と言うのは、いろんな解釈がある中で、被ばくから自分や家族を守るにはどうしたらいいのか、自分で決定することが大事だが、そのために、行政から正確な情報を受け取る、行政は正確の情報を迅速に提供する任務がある、ところが国も県も市町村も果たさなかった。原発事故時に適切な対応、判断するための情報が提供されなかった。それが自己決定権の侵害なのだ、被災者の知る権利もその中に包摂されるのだと位置づけ直して主張したとご理解いただきたい。

柳原敏夫
今、井戸弁護士がおっしゃった自己決定権というのは、弁護団会議でも、時間が経つほどに大きくなってきまして、最初はなんかおかしいよなと言う感じだったのですが、ただ、それにぴったりする権利、人権が日本の憲法に書いてなくて、モヤモヤした気持ちをずーっとこの間抱いていたのですが、やっと、この1,2年、本当に自分たちがどうしたいか、自分が納得して決定するために必要な情報を専門家や自治体が提供するって、これは本当に大事な責務ではないか、私たちにとって、最も大事な権利ではないか、憲法とか条文には書いていないのだけれど、そういう思いを弁護団は共有するようになって、ある段階から思い切って、この問題を正面から取り上げようとなった、殆ど火山が噴火するような感じで、これを言わずになにを言うかみたいになった。 山下発言の犯罪的なところは、長谷川さんもそうだったのですが、自分が避難したいと思った時、必要な情報をそこからは全然得られなかった。逆にまやかしと言うのか、惑わされて、人々の自己決定権を奪った。自己決定権を侵害した点から、彼の責任の重さを追及した。

光前幸一
最近の裁判所では自己決定権の問題が広くとりあげられ、私たちも議論してきた。今日井戸さんの要旨の中にもあったのですが、国際人権規約第1条、つまり1丁目1番地にこういうことが書かれている。「すべての人民は、自決の権利を有す。この権利に基づきすべての人民は、その政治的地位を自由に決定し、並びにその経済的、社会的、文化的発展を自由に追求する」これが1条なんです。 国際人権規約が言う人権の根本は、その人に選択の権利を与える、自分がどう生きていくか、自決の権利を一番重視しているのです。それで、今回の書面は自己決定権をベースに書いていきました。

また、本日の裁判とその5日前に開かれた避難者住まいの権利裁判の弁論の読み解きをおこなった裁判報告会は以下。
【報告】4.2狐につままれた2つの福島関連裁判(子ども脱被ばく裁判・避難者住まいの権利裁判)の最新状況の報告

以下、裁判前と裁判後の学習会や報告会の動画です。

裁判前

 学習会「子ども人権裁判判決の読み解き」


 学習会 質疑・本日の争点 

 

仙台高等裁判所を囲みスタンディング・入廷行進



裁判後 

本日の裁判のふりかえり 弁護団から


質疑応答・原告から・歌と演奏




 

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