告知

告知 ①12.14(第2土曜日)新宿アルタ前 街頭宣伝 14時~15時  ~「東海第二原発いらない一斉行動」第14弾に参加~

2017年10月19日木曜日

20171018 子ども脱被ばく裁判 第12回口頭弁論 報告

皆さまへ 
子ども脱被ばく裁判の応援へ行ってきました。
裁判前弁護士説明「本裁判の意義と目指すところ」

福島地方裁判所前

裁判後 記者会見と報告会


ご参加下さった皆さんありがとうございました。
井戸弁護団長がfacebookに下記の報告をして下さいました
井戸弁護団長をはじめ弁護団の皆さまありがとうございました。

~~~~~~~~~~

本日は、子供脱被ばく裁判第12回口頭弁論期日が開かれました。
1 本日、原告側は、次の準備書面を提出しました。
(1) 準備書面40
 ICRPが使う「しきい値」概念を検討し、その主張が政策的判断であることを明確にし、被告国が確定的影響について100mSvを事実上の「しきい値」であると主張している目的は、将来のがん発生についての責任回避にあることを基礎づけたもの
(2) 準備書面41

 被告国が合理的であると主張する福島原発事故当時の防災指針は、50mSv以上の被ばくでようやく住民を避難させるという不合理なものであること、子供に対する安定ヨウ素剤の投与指標は、1999年WHOのガイドラインに従って甲状腺等価線量10mSvとすべきだったのであり、100mSvと定めていた防災指針は不合理であったこと、チェルノブイリ原発事故の際、1000万人の子供、700万人の成人に安定ヨウ素剤を服用させたポーランドの措置は、小児甲状腺がんが全く発生せず、服用の副作用もほとんどなかったことから国際的に賞賛されたが、そのポーランドにおけるセシウム137による土壌汚染は、最もひどいところでも37000ベクレル/㎡であり、福島よりもはるかに軽度であったこと(福島では、放射線管理区域の基準である4万ベクレル/㎡を超える範囲が広範に広がっています。)、福島県立医大の関係者には安定ヨウ素剤を服用させながら、それよりもはるかに高い線量にさらされていた子供たちに服用させなかった福島県知事の措置は、裁量権の逸脱であること、神戸の郷地秀夫医師の学会発表によれば、福島県及びその周辺地域からの避難者や保養者を検査した結果、多くの子供に甲状腺自己抗体の陽性者が認められ(従来のデータでは、子供の甲状腺自己抗体の陽性者はほとんどなかった)、被ばくによる自己免疫性疾患の増大が危惧される状況にあること等を主張したもの
(3) 準備書面42
 被告福島県は、2011年3月30日にオフサイトセンターに学校再開の基準を尋ねる文書を送付していることから、学校再開を判断するために必要な知識を持っていなかったことが窺えるが、その被告福島県が、その前日の3月29日に県立学校の始業式を例年通りに実施する旨の不合理な通知を出しており、これが県内市町村教育委員が例年どおり、始業式を実施する旨の判断にも影響を与えたと考えられること等を主張したもの
(4) 準備書面43
 福島県立医大では、小児甲状腺がん患者の情報を一元的に管理するためのデータベースを作っており、福島県内のほとんどの小児甲状腺がん患者の情報を持っていると考えられること、被告福島県は、その情報を公開する義務があること、その義務の発生理由として、①小児甲状腺がん患者の情報は福島県の支配領域内にあるところ、福島県は、県内の子供たちの健康を守るために、この情報を県内の子供たちや保護者たちに提供すべき作為義務を負うこと、②国には、福島原発事故の発生の責任者(先行行為の責任者)として、住民の健康被害調査を行い、その情報を子供たちや保護者に提供する責任があるところ、福島県は、国の委託を受けて県民健康調査を実施しているのであるから、その提供責任も引き継いでいると考えるべきこと等を述べたもの
 原告側としては、今後、現在の福島で子どもが生活することに健康上のリスクについて専門家の意見書を提出して主張を補充したいと考えています。
2 被告福島県は、県民健康調査において「経過観察」とされた子供たちからの甲状腺がんの発生件数を明らかにせよとの原告らの要求を改めて拒否しました。また、被告国は、原告からの「原子力緊急事態宣言」の内容についての求釈明に対する対応を留保し、次回までに対応を明らかにすると述べました。
3 裁判所は、子供人権裁判については、議論が煮詰まってきたとして、当事者に対し、主張整理案を提示しました。また、今後、子供人権裁判と親子裁判を最後まで併合して進めるのか、どこかの時点で分離するのかについて、当事者に意見を求められました。これについては、検討したいと思います。いずれにしても、子供人権裁判については、終盤に入ってきました。  「以上井戸謙一弁護士のFacebookより」


★★★

上記の準備書面43について担当の柳原弁護士からこの裁判での原告の主張については殆ど被告側の県や国はダンマリか無視を決め込んでいるが、唯一、積極的にリアクションしているのが「経過観察問題」であるとのことで、この問題に注目していただきたいと、以下の文書を送ってくださいました。


    原告準備書面(43)――いわゆる経過観問題(続き)について――(要旨)
  2017年10月18日
本書面は、前々回の裁判で提出した「いわゆる経過観察問題について」の原告準備書面に対し、前回、の裁判に、被告福島県から提出された反論書面等に対して、今回、原告からさらに再反論し、再度求釈明を求めたものである。
第1、「悪性ないし悪性疑い」の症例に対する被告福島県の把握の現状について
雑誌「科学」の本年9月号に掲載の白石草氏の「見えない『小児甲状腺がん研究』の実態に迫る」の論文は、2013年12月頃から、福島県立医大の鈴木眞一教授を研究責任者として、山下俊一長崎大学副学長率いる長崎大学と連携しながら、福島県内の18歳以下の小児甲状腺がん患者の症例データベースを構築し、この小児甲状腺がん患者の手術サンプルとそのサンプルから抽出したゲノムDNA、cDNAを長期にわたって保管・管理する「組織バンク」を整備する研究プロジェクトがスタートしたことをこの研究計画書と研究成果報告書等に基づき、明らかにしたものであり、本書面はこの論文で明らかにされた「悪性ないし悪性疑い」の症例に対する被告福島県の把握の現状について述べるものである。
1、本研究プロジェクトの社会的使命
研究計画書は、この研究プロジェクトの社会的使命についてこう述べる。
我々が福島県内で発生した小児甲状腺癌の DATA 集積を行い、その分子生物学的特性を明らかにすることは、低線量被ばくの健康への影響の有無を知る上で、きわめて重要な知見となる。こうした患児の長期的な経過観察を行ない、その手術サンプルから、得られる ゲノム DNA等を一元的に保管・管理するシステムの構築し、情報を発信することは我々の社会的な使命と考えている。
2、本研究プロジェクトの目的
その上で、研究計画書はこの研究プロジェクトの2つの目的を次の通り掲げる。
第1は、小児甲状腺腫瘍の組織バンクを構築すること。第2は、小児甲状腺超音波検診で発見される甲状腺癌の分子生物学的特性を明らかにすること。
3、本組織バンクの対象者の選定
 以上の、福島県内で発生した小児甲状腺癌の DATA 集積のために、手術サンプルから得られるゲノム DNA等を一元的に保管・管理するシステムを構築するため、本研究計画書は、この組織バンクの対象となる対象者は、第1に福島県立医大に限らず、第2に他の協力施設で手術を行なった甲状腺癌患者のうち同意を得られたものとし、第3に、さらに、もし従来の協力施設以外の施設で甲状腺癌患者の手術が行なわれる場合には、その施設も新たな協力施設として追加申請して当該患者も対象者に含むこととして、福島県立医大が可能な限り、福島県内で発生した全ての小児甲状腺癌のDATA 集積を行なう体制を作ることを明らかにした。
4、一元的に管理する症例データベースの構築
 福島県立医大により、この組織バンクの一元的な管理システムを実現することは、言うまでもなく、18歳以下の甲状腺癌患者の症例データベースも福島県立医大により一元的な管理システムとして構築することを意味する。これが事実であることは、本研究成果報告書が《瘍径、年齢、リンパ節転移の有無、病理組織学的所見などの情報を一元的に管理するデータベースを構築した。》と明らかにしている。
従って、福島県立医大は、福島県内で発生した18歳以下の甲状腺癌患者の情報を一元的に管理する本症例データベースを構築しており、それゆえ、福島県は、福島県内で発生した18歳以下の甲状腺癌の「悪性ないし悪性疑い」の症例について、福島県立医大のみならず協力施設または協力施設以外の施設で手術した甲状腺癌患者の情報も把握しており、その際、「二次検査では経過観察となり、診療中で甲状腺がんが診断された」場合は除くといった例外を設けておらず、「経過観察」中に「悪性ないし悪性疑い」が発見された症例の数も把握しており、言うまでもなく、これらの《情報を発信することは、研究計画書で宣言した通り、福島県立医大の無条件の社会的な使命である。
以上より、前回期日における、《被告福島県は、「『経過観察』中に『悪性ないし悪性疑い』が発見された症例の数は把握していない。》という被告福島県の主張は撤回すべきである。

第2、症例数を把握する被告福島県の義務について
被告福島県は、『経過観察』中に『悪性ないし悪性疑い』が発見された症例数を把握する義務を負うかという論点について、原告は被告福島県には上記症例数を把握する義務があると考える。
 これは、いわゆる不作為による不法行為における作為義務発生の実質的根拠を明らかにすることにより導かれる。この問題を正面から論じた論文が橋本佳幸京大教授「責任法の多元的構造」であり、それによれば、作為義務発生の実質的な理由は次の2点にある。
1、支配領域の基準
これは例えば、保育所で保育中の乳児が体調不良を起した時、保育所の保育士等の監護者は、自己の支配領域内に存する乳児の身体の侵害に関して、必要な救護・救助措置を講じてこれを阻止する作為義務が発生する場合である。
福島県の子どもを対象とした甲状腺検査は、甲状腺癌の症例数など低線量被ばくの健康への影響の有無を判断する上できわめて重要な情報を提供するものである。この情報は甲状腺検査を主催する被告福島県が保有しており被告福島県の支配領域内にあるため、第三者の国、他の自治体、民間の医療機関が被告福島県に代わって、この情報を提供し放射能から福島県の子どもらの健康を守ることは不可能である。言うまでもなく、福島県の子どもらとその保護者も自ら、この情報を取得し放射能から子どもらの健康を守ることも不可能である。従って、第三者や福島県の子どもらに代わって福島県の子どもらの健康を確保するように要請されるのは甲状腺検査を主催し、情報を管理支配する被告福島県である。すなわち被告福島県は放射能により福島県の子どもらの健康が侵害されないように、自己の事実的支配を行使して甲状腺癌の症例数などの情報を福島県の子どもらと保護者に提供すべき作為義務を負うものである。
2、先行行為の基準
 これは例えばそれ自体として危険な物・場所が原因となって他者の身体を侵害する危険性のある事故が発生した場合、当該物・場所の管理者は必要な管理措置(とりわけ監視・隔離措置)を講じて身体への侵害を阻止する作為義務が発生する場合である。
本来、県民健康調査を行なう第一の責任は国にある。なぜなら、国は原子力発電所建設を国策として率先して推進してきた者である以上、福島原発事故の発生に対して被災地住民の保護を引き受ける責任があり、それゆえ、国はこの自己の先行行為に対する責任として、被災地の住民の健康被害に対しても《原因の明らかでない公衆衛生上重大な危害が生じ、又は生じるおそれがある緊急の事態に対処すること》を職務とする厚生労働省が実施主体となって県民健康調査を行なうという作為義務があるのは当然であり、さらに、県民健康調査の中で判明した情報を福島県の子どもらと保護者に提供すべき作為義務を負うのも当然である。
 それゆえ、現在、被告福島県が実施中の県民健康調査は、福島県内で発生した原発事故に対して「住民の福祉の増進を図る」ことを存立の基本とし、なおかつ福島第一原子力発電所の建設に同意した福島県がその責任を果すために実施しているものであるが、同時に、この県民健康調査は、先行行為に基づき県民健康調査を行なう作為義務を負う国からの委託に基づいて被告福島県により実施されているという性格も併せ持つものである。
そうだとすれば、被告福島県は、福島県の子どもらと保護者に提供すべき作為義務を負う国からの委託に基づいて、県民健康調査の中で判明した甲状腺癌の症例数などの情報を提供すべき作為義務を果す必要があるのは当然である。この義務はまた、福島原発事故に対して法律的にも、また大人と異なり道義的にも一点の責任もない福島県の子どもたちが、原発事故発生に対して、己の生命、身体が侵害されないように、侵害防止に必要な情報を原発事故発生をもたらした者たち(東京電力株式会社、国、福島県など)に対し提供を求める権利、すなわち知る権利を有していることに対応する当然の責務である。
 以上より、被告福島県に、「経過観察」となった2523人の子どものうち「悪性ないし悪性疑い」が発見された症例数を把握する義務があることが明らかであり、すみやかにこの義務を果すべきである。 

以 上        




次回の第13回口頭弁論は 2018年1月22日(月)、第14回は4月25日(水)です。
皆様、ご参加ください。

0 件のコメント:

コメントを投稿