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2011年12月30日金曜日

ふくしま集団疎開裁判 抗告申立に際しての所感

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1 私は、本件仮処分事件で敗訴決定を受けるとすれば、直接の加害者は東電であって郡山市ではないこと、子供たちは自主的に転校できること等から、子供たちには、郡山市に対し、疎開を求める権利はないという理由付けだと思っていました。その点を乗り越えることができ、裁判所が、子供たちに対する健康被害の危険性の有無という実質的争点の判断に入れば、負けるはずはないと考えていました。それは、債権者側が、矢ヶ崎先生、松井先生、沢田先生、ヘルファンド医師等の意見書を提出し、詳細な主張、立証をしたのに対し、郡山市は、空間線量が下がってきていること、除染に努力していること等を主張するのみで、実質的な反論をほとんどしなかったからです。

2 しかるに、福島地裁郡山支部は、「債権者らの生命身体に対する切迫した危険性があるとは認められない」として、実質的争点の点で債権者らの主張を認めませんでした。その判断の過程は、都合のいい事実だけを拾い出し、債権者側が主張したチェルノブイリ事故被害との比較には全く触れない等、恣意的なものですが、特に、債権者らの申立は「実質的には、郡山市のすべての小中学生に対する教育活動の実施を求めるものである」として、被保全権利が認められるハードルを高くしたのは、不当であると考えます。私たちが求めたのは、債権者らを避難させることであって、児童生徒全員を避難させることではありません。裁判所が審理するのは、債権者らを避難させる必要があるか否かであって、児童生徒全員を避難させる必要があるか否かではありません。債権者らを避難させよという決定が出た場合に、債権者らだけを避難させるのか、債権者ら以外の希望者も避難させるのか、児童生徒全員を避難させるのかは、行政が考えることであって、裁判所が考えることではありません。

3 東大の児玉龍彦教授は、その著書「内部被ばくの真実」(岩波新書)において、「危険を危険だとはっきりいうのが専門家である。原子力政策の失敗の原因は科学者が科学者の矜持を捨て、政治家になってしまったことにある。」と喝破されました。私は、郡山支部の決定に同質の問題を感じます。裁判官がすべきことは、求められた事項について、提出された証拠だけから曇らない目で事実を認定し、認定した事実を率直に評価して結論を出すことであって、決定が出た後の社会的混乱を慮って政治的判断をすることではありません。

4 郡山の子供たちの大部分は、我が国の法律で、18歳未満の立入りが禁止される「放射線管理区域」とされる基準をはるかに超え、チェルノブイリ周辺で住民が避難を義務付けられた地域と同レベルの線量の中で生活しています。年20ミリシーベルトまでは安全であるなどというのはとんでもない話です。子供の8割が病気を抱えているというベラルーシやウクライナの今を、明日の郡山や福島にしてはなりません。今からでも遅くはありません。子供たちを逃がすべきです。
仙台高裁が賢明な判断をされることを期待しています。
以 上

ふくしま集団疎開裁判弁護団
滋賀弁護士会所属 弁護士 井戸謙一

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