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2011年12月30日金曜日

『疑ってはいけない』 世界を変えた12月のできごと ~ ふくしま集団疎開裁判 12.16棄却決定に寄せて ~   井上利男

あなたの評決が子どもたちを救います。まだの方は今すぐ-->こちらから


3.11東日本大震災に端を発した東京電力第一発電所の大崩壊からこのかた、わたしたちの福島県は放射性プルームによる汚染に覆われただけでなく、政界・財界・学会が三位一体となった利権集団、いわゆる「原子力ムラ」勢力による放射能汚染地・戒厳令体制にも覆われてしまいました。利益共同体の一翼を担うマスメディアの協力によって、この戒厳令体制は、放射能や放射線と同じように不可視、裸の目には見えなくされています。
福島県内では、戒厳令体制下にあって、憲法や教育基本法、放射線健康障害防止法などのあらゆる国内法規、国連人権宣言、子どもの権利条約など、あらゆる国際法が無視され、県民の命、とりわけ子どもたちの身体生命が放射線被曝による危険にさらされたまま、顧みられることはありません。
12月16日の福島地方裁判所郡山支部による決定――郡山市内の小中学生14人が安全な場所での教育の実施を求める仮処分の申し立てに対して、裁判所は①御用学者たちの言説に頼って、「100ミリシーベルト未満の放射線量を受けた場合の癌などの晩発性障害の発生確率に対する影響については、実証的に確認されていない」と一方的に断定し、また、②訴訟の趣旨である債権者14人の生存権救済の訴えに対して、郡山市内の小中学生約3万人全員の強制疎開を求めるものであると勝手気ままに曲解して、「棄却」決定で応えました。法の番人たちが民事法制の原則をねじ曲げた結果、暗闇の戒厳令体制を照らすはずだった一筋の光が漏れでる扉が閉ざされてしまいました。
世も末だといいますが、3.11原発大震災以降のこの国は暗闇 …… 一寸先も見えない暗闇に閉ざされてしまいました。司法までもがグルになった戒厳令下の暗闇にあって、未来は見えない。しかし、一寸先が見えない世界だからこそ、希望の胚芽も宿るはずです。
1955年12月1日のことです。アメリカ・アラバマ州モンゴメリーの混みあった市営バスのなかで、42歳の黒人女性、ローザ・パークス夫人が、白人に席を譲るために立つように運転手に命じられましたが、彼女は屈服することにうんざりして拒否しました。運転手が警察を呼び、彼女はモンゴメリー市条例違反で逮捕されました。
この時、彼女は予見していたでしょうか? この事件がマーティン・ルーサー・キングJrの目に止まり、やがて市バス・ボイコット運動が燃え上がって、全米規模の公民権運動が勃興するきっかけとなることを…
あるいは、1989年12月21日、ルーマニアの首都ブカレストの共産党本部庁舎前広場の官製集会で、一人の青年が得意顔のチャウシェスク大統領に向かって「人殺し!」と叫びました。この一声が広場を埋め尽くす民衆の抑圧された怒りに火をつけ、次々と波及した結果、ルーマニア革命の流れが決定し、やがて独裁者は銃殺されるまでになりました。
また、2010年12月17日、チュニジア中部の街シディ・ブジドで一人の青年が警察の横暴に抗議して焼身自殺を図りました。この事件が、ジャスミン革命勃発のきっかけとなり、アラブの春を経て、現在でもオキュパイ運動として全米各地、さらにはヨーロッパ、プーチンのロシアに飛び火し、そしてこの日本でも虐げられた人びとの運動に影響を与え続けています。
一寸先は闇。でも、明日には、世界がどのように動き出すのか、わたしたちの誰にも予測することができません。わたしとしては、予見不可能性のなかにこそ、希望の胚芽を見つけだしたいと思います。
たったいま、わたしたちを覆い尽くしている暗闇の只中で、たったいま身体の内外から放射線で撃たれている子どもたち、孫たちを守るために、新たな一歩を踏み出しましょう。
米国の人類学者、マーガレット・ミードの言葉「疑ってはいけない。思慮深く、献身的な市民のグループが世界を変えられるということを。かつて世界を変えたものは、実際それしかなかったのだから」――この言葉にならって、わたしたちは子どもたち、孫たちが生きてゆける世界を要求し、またみずからの手で創造してゆきましょう!
マーティン・ルーサー・キングJrはワシントン記念塔広場で「I have a dream! わたしは夢を見ている。ある日、不正と抑圧という熱で苦しんでいる不毛の州、ミシシッピーでさえ、自由と正義というオアシスに変わることを」と訴えました。
わたしたちも夢見ようではありませんか。12月16日、福島地方裁判所郡山支部が下した不正と抑圧を告げる棄却決定でさえ、いつか、子どもたちの命を守れと叫ぶ声が天下に満ちるきっかけだったと振り返る日の来ることを。

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