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2016年10月6日木曜日

なぜ「10.15国道6号線清掃ボランティア」に抗議したのか

私たちは、昨日、「10.15国道6号線清掃ボランティア」の主催団体に抗議を申し入れました。

なぜ私たちは抗議したのか。その理由を説明します。

結論を先に言えば、この清掃ボランティアは放射能の感受性が高い中高校生にとって、とても危険なものだからです。

原発事故に何の責任もない子どもたちの命と健康を危険にさらす活動は断じて許すことはできません、それは絶対に止めなければなりません。
それが実現するためには私たち一人一人の声を寄せ集め、大きな声にする必要があります。
そのために、共に声をあげましょう。
その具体的な行動として->「2つの賛同&抗議行動への参加」を呼びかけます。

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                                               (柳原 敏夫)
1、10月15日の国道6号線清掃ボランティア「みんなでやっぺ!!きれいな6国」とは誰が企画・主催したイベントなのか

このイベントの主催者は「みんなでやっぺ!!きれいな6国」実行委員会だそうです。
しかし、この実行委員会の構成メンバーが誰なのか、誰が実行委員会の代表なのか、ネットでは明らかにされていません。
せいぜい明らかなことは、この実行委員会の事務局がNPO法人「ハッピーロードネット」だということです。
そこで、 「ハッピーロードネット」のホームページ(→こちら)を見ると、しかし、事務局にもこのイベントの情報はどこにも載っていません。チラシも紹介されていません。それで本当に事務局なのかと疑ってしまうほどです。載っているのは、昨年の同様の「イベントの報告」だけです。

では、いったい誰が、このイベントを地元の中高校生に呼びかけているのか?
福島県の双葉町(→こちら)、楢葉町(→こちら)という公共団体、
福島県の地元新聞の福島民友(→こちら)です。

つまり、実質的な主催者はこうした公的組織、公共のメディアだと思わざるを得ません。であれば、なぜ、彼らは堂々と主催者に名を連ねようとしないのか。その訳はこのあとおのずと分かります。

2、「みんなでやっぺ!!きれいな6国」は何をするイベントなのか

それは、放射線管理区域に相当する地域で、マスクもせずに中高校生を清掃させるイベントです。
昨年10月10日も同様の清掃ボランティアが実施されたとき、「ふくいち周辺環境放射線モニタリングプロジェクト」の小澤洋一さんらが清掃地区の土壌汚染等を測定したデータが以下です。

(女性自身2015年11月10日号163頁)

注目して欲しいのは、土壌汚染の異常な値です。なぜ異常かというと、1箇所を除いて、放射線管理区域に該当する基準値である1㎡当たり4万ベクレルをはるかに超える値だからです。


3、 放射線管理区域で中高校生が清掃するとはどういうことか

それは原発事故前からずっと 放射線管理区域でも仕事をしてきた小出浩章さんが次のように説明しています。



つまり、
みなさんは入ってはいけない場所。
私のように特殊な人間だけが、特殊な仕事をする時に限って入って良いというのが放射線管理区域です。
私が放射線管理区域に入った途端に、私は水を飲むことが許されなくなります。食べ物ももちろん食べられません。
そこで寝てもいけないと、仕事が終わったらさっさと出て来いというのが放射線管理区域ですが、
でも、簡単には出られないのです。
もし私の実験着が1平方mあたり4万ベクレル以上で汚れていれば、私はその実験着を管理区域の中で脱いで放射能で汚れたゴミとして捨ててこなければいけないのです。
私の手が1㎡当たり4万ベクレルの放射能で汚れていれば、私は管理区域から出られないのです。
管理区域の中に流しがありますので、そこで手を洗って、手を綺麗にしろ。
水で洗って落ちなければお湯で洗って落とせ。
お湯で洗って落ちないなら、石鹸を付けて洗って落とせ。
それでも洗って落ちなければもうしょうがないから
手の皮膚が少しぐらい破れても良いから薬品で落とせという、
1㎡当たり4万ベクレルを下回らない限りは、管理区域の中から外へ出られない。
それが基準だったのです。

(1㎡当たり3万ベクレルから6万ベクレルの汚染地域を示して)私の実験着が汚れている、私の手が汚れているという事とは違うのです。
大地がみんな汚れている。

メチャクチャな汚染だと、私は思います。

何度も言いますが、放射線管理区域というのは、
私のような特殊な人間が特殊な仕事をする時に限って入って良いという場所なのです。

普通の人は入ってはいけないし、子どもなんている事は到底許されないという場所が
こーんなに、広がっている。


4、昨年の清掃ボランティアの実績

 昨年10月10日の同様の清掃ボランティアを取材し、記事を書いた和田秀子さんは「この日、マスクや軍手を着けている子供はほとんどいなかった」(女性自身2015年11月10日号165頁)と記しています(以下は当日の様子。昨年のイベントを告発した私たちの記事も参照)。

                    (C) 2015 Kobunsha Co. Ltd..  

 この点は今年も変わらない。なぜなら、今年のお知らせをしている双葉町や楢葉町のHPは、単に、次のようにしか書いてないから。(双葉町のHP

東日本大震災の影響により休止していた「清掃ボランティア活動」ですが、昨年の再開に引き続き、関係機関の皆さまのご協力により、今年も実施される運びとなりました。


5、結論

 放射能は「見えない、臭わない、味もしない、理想的な毒です(アーネスト・スターングラス博士)」。そのため、放射能がどれくらい危険なものか、そしてこの危険をもたらす者たちの責任がどれほど重いものなのか、私たちの日常生活での常識や五感が通用せず、いったん、これらの常識と五感を捨てて、あらたな認識に立って判断しなければならない、未知の世界です。

この点、放射能の本質と最も誠実に向き合ってきた稀な科学者の一人、小出浩章さんは上記の講演の最後で、次のように述べています。

もし私が、私が管理している放射線管理区域の中から放射能を持ちだして、
どなたか一人を被曝させるような事をさせれば、
私は犯罪者として処罰された筈なんです。日本の国家から。

今回の清掃ボランティアも変わらない。しかも、今回は一人ではなく、多くの中高校生を危険な被ばくにさらすのだから、これは国際刑事裁判所で裁かれる国際法上の「人道に関する罪」()に該当する。
これが「みんなでやっぺ!!きれいな6国」のイベントの本質です。
こんなことは絶対許してはならない。


6、問題の根源はどこにあるのか。

しかし、今回のイベントは氷山の一角で、この種の屋外イベントはざらに行われている。なぜ、子どもたちの命と健康を危険にさらす、正気を失ったとしか思えないイベントが引きも切らずくり返されるのか。それは原発事故後、本質的には「情報を隠すこと」「様々な基準値を上げること」、そして事故を小さく見せること」しかやってこなかった日本政府の三大政策に根本的な原因がある。この虚偽の三大政策の結果、原発事故は収束したという「安全神話」をアピールして、危険な場所に避難者を帰還させる政策(その政策自体が正気を失っている)を取っていることの論理必然的な結果である。政府が「安全だ、帰還しても大丈夫」と言っているのを真に受けて、地元のNPOが復興の先発隊として国道の清掃ボランティアを募る企画を立てて、どこが狂っているのだろうか。一番狂っているのは正気を失った帰還政策を強引に進めている日本政府である。みんなでやっぺ!!きれいな6国」イベントは日本政府の姿を照らし出す鏡だ。

小出浩章さんはさきほどの講演の最後で次のようなことを言いました。それは今回の出来事にも当てはまると思う。子どもたちを正気を失った社会の犠牲者にしてはならない。 

原発事故前だったら、放射線管理区域の中に一人でも人々を置くことは、犯罪として処罰された。
原発事故後は、放射線管理区域の中にどれだけ人々を置いても、誰も処罰されない。
チャップリンは「殺人狂時代」で「一人殺せば悪党、百万人殺せば英雄」と言った。
今まさにそれがここで起きているのです。
きちっと処罰をさせる事がどうしても必要だと思います。

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国際刑事裁判所で裁かれる国際法上の「人道に関する罪」
(1)、国際刑事裁判所とは
国際刑事裁判所は、2003年、国際社会にとって最も重大な4つの犯罪(a集団殺人罪〔ジェノサイド〕、b人道に対する罪、c戦争犯罪、d侵略の罪)を防止するため、これらの犯罪の責任者を訴追し、裁くための常設の国際法廷として創設されました。国連創設以来50年間の悲願でした(→国際刑事裁判所の歴史)。竹島問題でも話題になった国際司法裁判所が当事者となりうるのは国家のみで、個人や法人には資格がないのに対し、国際刑事裁判所は個人の国際犯罪を裁くものです(→国際刑事裁判所)。
(2)、国際刑事裁判所の精神
国際刑事裁判所の精神は、1998年、その創設を決定し採択された「国際刑事裁判所に関するローマ規程」の次の前文に見ることができます(→ローマ会議)。
「20世紀に何百万人もの子どもたち、女性及び男性が、人類の良心に深い衝撃を与えた想像を絶する行為の犠牲になったことに留意し‥‥」
「国際社会全体の関心事である最も重大な犯罪は、罰せられることなく放置されてはならないこと‥‥を確認し、これらの犯罪を行なった者が処罰を免れることに終止符を打ち、もってそのような犯罪の防止に貢献することを決意して‥‥以下の通り合意に達した。」(前文)
さらに、時効について次のように定めています(29条)。
「本裁判所の管轄権に属する犯罪は、いかなる消減時効または出訴期限にも服さない。」
すなわち、国際刑事裁判所は
何よりも第一に、子どもたちが想像を絶する行為の犠牲になったことを忘れない、
そして犯罪者は決して見逃さない、時効で訴追が免れることもない、犯罪者はいつまでも、どこにいても犯罪者、世界中の人々の手で必ず追及する。
本年9月、ノーベル平和賞(1984年)を受賞した南アフリカのツツ元大主教がブレア元英首相とブッシュ前米大統領を2003年のイラク戦争開戦の刑事責任を問い、国際刑事裁判所に訴追するよう呼び掛けました。(「時事通信」2012/09/03
「イラクで失われた人命への責任を負う者は、ハーグで現在、責任を問われているアフリカやアジアの指導者らと同じ道を歩むべきだ」
(3)、国際刑事裁判所が裁く「人道に対する罪」とは、
「国際刑事裁判所に関するローマ規程」7条で、次のように定義されています。今回、注目するのはアンダーラインを引いた箇所。

第7条 人道に対する犯罪
1 この規程の適用上、「人道に対する犯罪」とは、文民たる住民に対する攻撃であって広範又は組織的なものの一部として、そのような攻撃であると認識しつつ行う次のいずれかの行為をいう。
(a) 殺人
(b) 絶滅させる行為
(c) 奴隷化すること。
(d) 住民の追放又は強制移送
(e) 国際法の基本的な規則に違反する拘禁その他の身体的な自由の著しいはく奪
(f) 拷問
(g) 強姦、性的な奴隷、強制売春、強いられた妊娠状態の継続、強制断種その他あらゆる形態の性的暴力であってこれらと同等の重大性を有するもの
(h) 政治的、人種的、国民的、民族的、文化的又は宗教的な理由、3に定義する性に係る理由その他国際法の下で許容されないことが普遍的に認められている理由に基づく特定の集団又は共同体に対する迫害であって、この1に掲げる行為又は裁判所の管轄権の範囲内にある犯罪を伴うもの
(j) 人の強制失踪
(j) アパルトヘイト犯罪
 その他の同様の性質を有する非人道的な行為であって、身体又は心身の健康に対して故意に重い苦痛を与え、又は重大な傷害を加えるもの
2 1の規定の適用上、
(a) 「文民たる住民に対する攻撃」とは、そのような攻撃を行うとの国若しくは組織の政策に従い又は当該政策を推進するため、文民たる住民に対して1に掲げる行為を多重的に行うことを含む一連の行為をいう。
  ‥‥(以下、略)

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