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2012年8月22日水曜日

【速報】本日、野田首相に、首都圏反原発連合を通じて、「ふくしまの子どもたちの集団避難の即時実現」の申入書を手渡しました

本日(8月22日)午後2時に、首都圏反原発連合の代表者11人が野田首相と会い、「野田首相に対する直接要求・勧告行動」を行ないました。
その中で、「福島現地からの声」の1つとして、ふくしま集団疎開裁判の会が作成した「ふくしまの子どもたちの集団避難の即時実現」の申入書を野田首相に手渡しました。

申入れの動画(8分30秒~)

以下はその申入書の全文です。

そのあと、 ふくしま集団疎開裁判の会で、以下の記者会見を行いました。
時間:本日17時~
場所:衆院第一議院会館第3会議室
出席者: 井上利男(ふくしま集団疎開裁判の会 代表)
      柳原敏夫(ふくしま集団疎開裁判 弁護団)
      おしどりマコ さん(芸人)
記者会見の動画 ->IWJ

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2012年8月22日
野田佳彦 内閣総理大臣
「ふくしま集団疎開裁判」の会
代表 井上利男
「ふくしまの子どもたちの集団避難の即時実現」の申し入れ

 道徳の究極の原理は「命こそ宝」であり、全ての政治の原点はこの命を守ることにあります。とりわけ社会の最も弱い立場の、傷つきやすく大切な存在である子どもの命を守ることこそ政治に課せられた最重要の使命です。
いま、この命が最も危機に瀕しているのが3.11以来放射能の被ばくを日々受け続けているふくしまの子どもたちです。
放射能は目に見えず、臭いもせず、痛みも感じない、そのため、その恐ろしさを私たちの日常感覚では理解できません。放射能の恐ろしさは科学、それも政治・経済の圧力に屈しない正しい科学の目を通して初めて理解できるものです。
チェルノブイリ事故が子どもたちを襲った健康被害の惨状をつぶさに観察・追求し、正しい科学の目を備えた海外の科学者、医師たちは、「いま、ふくしまの子どもたちの命が危ない」と次のように警告し、世界の話題になっています。

◎ 本年4月26日福島県から発表された甲状腺の「福島県民健康管理調査」で、13市町村の3万8000人の子どもたちの35%に「のう胞」が発見された問題に対して
・「この子どもたちは追跡調査をしてる場合じゃありません。のう胞や結節などの全ての異常は直ちに生体組織検査をして悪性であるかを調べるべきです。 こういった甲状腺異常が一年も経たないうちに現れるというのは早過ぎます。普通は5~10年かかるものです。これは、子どもたちが大変高線量の被曝をしたことを意味します。もしも悪性なら甲状腺の全摘出が必要です。子どもたちに甲状腺結節やのう胞があるのは、異常極まりありません!」(昨年4月、NYタイムズに「安全な被曝量というものはない」を寄稿した被曝問題に詳しいオーストラリアのヘレン・カルディコット博士)

・カルディコット博士の上記見解に同意します。福島原発事故後にこれほどすぐに、多くの子どもたちに甲状腺の嚢腫や結節が見られることに驚いています、なおかつこの事実が世間に広く知られていないことに驚いています。(Business Insiderの取材に答えたアメリカ甲状腺学会次期会長、コロラド医学大学の内分泌科チーフのブライアン・ホーゲン博士)

低線量の内部被ばくによる健康障害が直接被ばくした本人のみならず、その第二世代により強く現れ、第三世代にはもっとより強く現れるという問題に対して(本年5月の講演「福島の失われた時間」)
「(放射能による)遺伝的損傷は、また特にゲノムの不安定性の原因となる遺伝子周辺の損傷は、親よりも子孫たちに、より重い状態で出現するという発見は、研究者たち驚かせた。世代から世代へと危険がどんどん高まっていくのである。‥‥『原子力事故が変異を引き起す力は、これまで疑われていたよりもはるかに重大であることを、今や私たちは認識している。真核生物のゲノムには、これまでは決して起りえないと考えられていた水準の件数で、変異が起ることを認識している』1996 年4 月25 日号「ネイチャー」誌の編集後記。‥‥(福島に対し)日本政府は何をすべきか。これ以上汚染と被ばくが続くことにより、遺伝的な損傷がこれ以上悪化することを遺伝学者の指導によって食い止めなければならない。」(元WHO専門委員、スイス・バーゼル大学医学部名誉教授のミシェル・フェルネクス博士)

昨年9月21日、衆院議員会館での講演「チェルノブイリ事故後のドイツ・欧州」
「福島の避難区域は、補償しなければならないという経済的理由によって小さく設定されている。政府が最優先で守らなくてばならないのは子どもたちであって、原子力産業ではない」
(ドイツ・ミュンヘン大学教授、ドイツ最大の環境団体FoEドイツ代表のフーベルト・ヴァイガー氏)

正しい科学の目から見て、ふくしまの子どもたちの命はいま途方もない危険な事態にあります。
2009年の最新データによれば、350の英語論文を元にしたIAEAの従来の公表記録に対し、ベラルーシ語、ウクライナ語、ロシア語を中心とした5000の論文に基づいたヤブロコフ・ネステレンコ報告はチョルノブイリ事故により98万人以上の人々が命を失ったと報告しています。このままでは、人口密度がチョルノブイリの12倍(→「15倍」に訂正{※})とされる福島県で今後どれほど膨大な数の被害者が発生するのか、想像を絶するものがあります。
では、どうすればよいのでしょうか。簡単です。今すぐ、子どもたちを放射能の被ばくから逃がすのです。なぜ今すぐか。チェルノブイリで世界標準とされる住民避難基準が採用されたにもかかわらず、98万人もの犠牲者を出したのは、その住民避難基準が不十分だっからではなくて、その基準の採用が事故後5年も経過してからで、人々はその間ずっと被ばくし続けていたためで、避難するのが遅すぎたのです。だから、今すぐ避難する必要があるのです。かつて、「国を守る」心得として「備えあれば憂いなし」を好んで口にした首相がいましたが、その格言は「命を守る」心得として、今こそふくしまの子どもたちの命を守るための集団避難として、直ちに実行されるべきです。

「子どもの命を救う」ことは国の最低限の道徳的責務です。人権保障すらなかった、かつての軍国主義国家日本でも、また全体主義国家ソ連でも行ったことです。ましてや、憲法で国に「子どもたちを安全な環境で教育を受けさせる」義務を定め、世界の先進国・経済大国となった今日のわが国でそれができない理由がありません。のみならず、そもそも日本政府は福島第一原発事故の加害者です。加害者は被害者を救済する義務があります。しかも子どもたちは遊んで原発をこわしたのでしょうか。子どもたちは福島へ原発誘致を賛成したのでしょうか。日本政府は加害者でありながら、福島第一原発事故に責任も関係もない100%被害者である子どもたちを救護しようとせず、このまま放置する行為は過去に例を見ない憲法違反の重大な人権侵害行為です。そして、この事実を知った国際社会から、国際法上の犯罪である「人道に対する罪」にも該当する重大な違反行為であると非難されたとき、どうやって釈明するのでしょうか。

郡山市の14名の小中学生は、昨年6月、苦しみの中で救済を求めているふくしまの子どもたちの声に耳を傾けようとしない文科省と自治体の人権侵害行為をただすため、「人権の最後の砦」である裁判所に避難の救済を訴え出ました(通称「ふくしま集団疎開裁判」)。裁判はいま二審の仙台高等裁判所に係属中で、先ごろ、10月1日に裁判を開くという異例の決定が出され、子どもたちの避難の申立を却下した一審判決が見直される可能性があるという重大な転換を迎えました。

かつて世界大戦からの復興にあたって「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ」(憲法前文)と宣言した日本政府がこれ以上国際社会から「子どもの人権侵害の歴史に永遠の汚点を残した」と言われないように、また、ふくしま集団疎開裁判の重大な転換期にあたって、裁判所から「日本政府の放置は子どもたちの命を脅かす人権侵害行為である」と指摘される前に、原発事故からの復興の最優先課題として「命の復興」を掲げ、次の措置を直ちに実行することを切に求めるものです。

18歳以下の子どもたちを今すぐ被ばくの安全な場所に集団避難させること。
                                                 以 上

{※}崎山比早子「チェルノブイリ大惨事による健康被害の実相:二つの報告書から--無視され続けてきたがん以外の健康被害」1157頁左段2行目(雑誌『科学』2011年11月号)









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