その目的は、まだ多くの人たちが、ふくしまの子どもたちが今、低線量被ばくの中でどんなに危険な状態に置かれているかを知らない、そこで、これを正しく知り、ふくしまの子どもたちを今すぐ安全な場所に避難するように、世界中から大きな声をあげたいからです。
ふくしま集団疎開裁判はこの目的のために取り組まれたものです。疎開裁判の中身を知ることを通じて、ふくしまの子どもたちの大変な現状が理解していただけると信じます。
以下、本日のパフォーマンスのさわりを紹介します。
1、なぜ私たちは疎開裁判を起こしたのか
日本政府は1986年のチェルノブイリ事故から実に多くのことを学びました。その学びの成果が3.11の福島原発事故で遺憾なく発揮されました。それが、「情報を隠すこと」「事故を小さく見せること」「様々な基準値を上げること」の三大政策です。
「半径20キロ圏内」という避難指示の範囲を拡大しないために3.11の直後にSPEEDIの情報を敢えて公開しなかったことが「情報を隠すこと」の最たるものだとすれば、3.11の1ヵ月後の4月19日に文科省が、福島県内の学校の安全基準を年間1mSvからいきなり20倍にアップする通達を出したことが「様々な基準値を上げること」の最たるものでした。
しかし、子どもは原発事故で被ばくずると、どうして20倍も放射能に負けない身体に変身するのか? それとも、福島の子どもたちは遊んで福島原発を壊したのだから、20倍の被ばくを我慢しなさいとでも言う積りなのか? この理不尽極まりない仕打ちに福島の親たちが激怒したのは当然です。福島の親たちが大挙して、5月23日、ここ文科省に集まり、20mSv撤回の要求を突きつけました。そのため、文科省も5月27日、これを撤回し、「年間1mSv以下を目指す」と約束せざるを得ませんでした(5.27声明)。
しかし、これで福島の子どもたちが置かれている状態は何ひとつ改善されませんでした。私たちの控え目の計算によっても、郡山市の子どもたちは3.11から5月25日までの75日間で、外部被ばくだけで既に年間許容量(1mSv)の約4倍から9倍も被ばくしていました(報告書(2)3)。年間にすると12~24mSvというチェルノブイリ避難基準で強制的に避難させられる移住義務地域(年5mSv以上)に完全に該当する極めて危険な状態でした(汚染マップ参照)。
さらに、福島県は「地産地消」を合い言葉に、放射能汚染された地元の牛乳・野菜を学校給食の食材にしているため、それを食べる子どもたちは深刻な内部被ばくの危険にもさらされていました。本気で、「年間1mSv以下を目指す」のであれば、年間1mSv以下の地域に集団疎開するしかありません。ところが文科省は、郡山市が最初に始めた小中学校の校庭の表土の除去にすら「余計なことをするな。校庭の利用時間を限定さえすれば問題ない」という態度だったのです。真面目に、福島の子どもの命を考える気などさらさらなかったのです。
そもそも日本政府は福島第一原発事故の加害者です。加害者というのはいったい何をすべき者をいうのか。日本政府は、交通事故の加害者について「負傷者を救護し」なければならないと救護義務を定めています(道路交通法72条1項 (※1))。言うまでもなく、この理は原発事故でも同じです。であれば、原発事故の加害者である日本政府は直ちに救護義務を果すべきです。にもかかわらず、日本政府は、いわれのない人災のために、被害者として命と健康の危険にさらされている福島の子どもたちを救護しようとせず、このまま放置しています。これは過去に例を見ない凶悪な人権侵害行為です。のみならず、国際法上の犯罪である「人道に対する罪」にも該当する重大犯罪です。
そもそも日本政府は福島第一原発事故の加害者です。加害者というのはいったい何をすべき者をいうのか。日本政府は、交通事故の加害者について「負傷者を救護し」なければならないと救護義務を定めています(道路交通法72条1項 (※1))。言うまでもなく、この理は原発事故でも同じです。であれば、原発事故の加害者である日本政府は直ちに救護義務を果すべきです。にもかかわらず、日本政府は、いわれのない人災のために、被害者として命と健康の危険にさらされている福島の子どもたちを救護しようとせず、このまま放置しています。これは過去に例を見ない凶悪な人権侵害行為です。のみならず、国際法上の犯罪である「人道に対する罪」にも該当する重大犯罪です。
そこで、苦しみの中で救済を求めている福島の人々の声に耳を傾けようとしない政府と自治体の人権侵害行為をただすため、「人権の最後の砦」として政府等の病理現象を正すことを本来の使命とする裁判所に救済を訴え出ました。それが2011年6月24日、郡山市の小中学生14名が郡山市を相手に訴えた「子供たちを安全な場所で教育せよ」を求めるふくしま集団疎開裁判(仮処分申立)なのです。
以下、見出しのみ
2、疎開裁判の一審はどんな経過を辿ったのか
3、疎開裁判の一審判決はどんな内容だったのか
4、いま、疎開裁判は二審で何が明らかにされたのか
5、疎開裁判の二審はこのあと、どうなるのか
(※1)第2節 交通事故の場合の措置等
(交通事故の場合の措置)
第72条 交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。この場合において、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員。以下次項において同じ。)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官か現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む。以下次項において同じ。)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。
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