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2012年11月20日火曜日

【世界の声】日本からの訪問者、ジュネーブの人権理事会で放射線障害を証言(「WHOの独立のために」サイト記事日本語訳)

【リンク】

For the independence of WHO
<The World Health Organisation (WHO) is failing in its duty to protect those populations who are victims of radioactive contamination.>


WHOの独立のために (上記サイト日本語版)
「世界保健機構(WHO)は、放射能汚染の犠牲者を守るという使命を果たしていません」


 スイス・ジュネーブの市民グループ“For the independence of WHO”(「WHOの独立のために」)サイトに福島県双葉町の井戸川克隆町長と「ふくしま集団疎開裁判」の柳原敏夫弁護士のジュネーブ訪問を伝える記事が掲載されました――
Japanese testify on radiation hazards at Human Rights Council in Geneva
7 - NOVEMBER – 2012

 これを日本語訳して、以下に紹介します――
日本からの訪問者、ジュネーブの人権理事会で放射線障害を証言
2012117
WHOの前に立つ井戸川克隆・双葉町長

ジュネーブのような反核都市、それは、福島第1原子力発電所から3キロメートルの小さな日本の町、双葉の町長に、なんという夢であろうか、と思わせるはずである。双葉町は20113月の地震と津波のために壊滅的な被害をこうむった。住民は放射能のために、いつの日か帰還できるとしても、戻れるのはこれから何十年も先のことになるだろう。井戸川克隆町長は10月末、国連人権理事会で証言するために、「ふくしま集団疎開裁判」の柳原敏夫主任弁護士とともにジュネーブを訪問した。1030日、井戸川町長はジュネーブのレミ・パガニ市長に接見し、ジュネーブ市長はジュネーブ市の同情と支持を表明した。
ジュネーブ市長、レミ・パガニ氏は「あなたは、汚染地域に住まなければならなかったり、あるいは帰還すらしなければならなかったりする人びとの健康問題を無視する日本政府の方針に対して抗議なさっていますが、あなたに同調する首長はほかにもいるのですか?」と問いかけた。「いいえ、わたしただ一人です」と井戸川町長は答えた。「これはどういうことか説明していただけますか?」とジュネーブ市長はたずねた。「ほかの首長らは、危険性を最小限に見せかける当局のウソを信じています。当局は現実の放射能測定値を教えていません。それに当局は、国際専門機関が勧告する最大被曝限度を20倍に引き上げました。わたしたちには年間20ミリシーベルト、世界のほかの人びとには1ミリシーベルトというわけです。わたしたちはモルモットです」。井戸川氏は、チェルノブイリ事故のあと、ソ連当局はもっと汚染の少ない地域から人びとを避難させたと指摘した。「わたしたちは、避難対象でない地域の病気の子どもたちの率が現在80パーセントであると地域の小児科医が推計していることを知っています」。町長は、子どもたちを国土の安全な地域に避難させるよう日本政府に圧力をかけるための取り組みに対する支持を求めている。
国連ジュネーブ本部における証言
ジュネーブ市役所で暖かい接待を受けたあと、日本からの代表団は国連ジュネーブ本部で開催された告発会合でスピーチをおこなった。この会合は、人権理事会の普遍的定期審査(UPR)ワーキンググループによって1031日におこなわれる日本における人権状況に対する審理に先立つものである。井戸川町長は、不作為、および当局が提供する放射能に関する情報の歪曲のために、住民の人権が侵害されていると発言した。核事故の直後、町長および300人の住民は、町長みずからの決断によって避難するまでに極めて高いレベルの放射線に被曝した。「わたしは、死の灰におおわれるという個人的体験をもつ当代日本唯一の首長であります」と町長はいった。井戸川町長は、福島県全域にわたる放射能汚染状況に関するデータ表や地図類を網羅した詳細な情報、すなわち当局が住民に提供するのを拒んだ情報を提供した。柳原敏夫弁護士は自分の番になると、「ふくしま集団疎開裁判」について発言した。申立人たちは、この14人の子どもたちのための集団訴訟を通して、当局が数十万人の子どもたちには汚染地域から避難する法的な権利があることを認めることを余儀なくされるようになることを願っている。子どもたちが汚染食品を食べたり、放射能を含んだ空気を呼吸したりすることを強制されているという事実、これは子どもたちの権利の侵害なのだ。マスメディアは報道管制下に置かれたり、政府提供の虚偽情報を流したりしており、これは表現と情報の自由の権利の侵害になっている。
町長と弁護士は人権理事会に対して、日本政府が住民、とりわけ子どもたちの健康を優先することとする勧告をおこなうように要請した。柳原氏は、政府が補償経費支出を回避し、核産業に介入せず、放射線被曝受忍限度を引き上げ、すでに明白になっている疾病を隠蔽し、内部被曝の影響を考慮することを組織的に拒否し、統計学的な比較対象群データを作成しない…などなどのことは、チェルノブイリに学んだ教訓を活用しているからだと皮肉った。
井戸川克隆町長は、当局が設置した新しい計測装置の写真を示した。これらの機械は、国際標準に設定された機械に比べて40パーセントも低い放射線値を表示する。若い日本人学生であり「子どもたちを放射線から守る世界ネットワーク」代表、本田貴文さんは、子どもたちの手紙を代読したが、そのうちの福島の少女からの手紙には、自分が子どもをもてるのか、子どもたちが正常に生まれてくるのか、という心配や問いかけがつづられていた。
最近、日本を訪れた(スイスの)バーゼル大学名誉教授にして「WHOの独立のために」メンバーであるミシェル・フェルネックス博士は、放射能の摂取または被曝によって発現する出生時欠損、すなわち遺伝子が攻撃され、異常が発生することについて語った。これらの異常は、後世代にまで引き継がれていく。福島の周辺で、流産と周産期死亡率の増加、新生児の低体重、小児甲状腺異常、突然死がすでに見られる。癌は遅れて発症する、とフェルネックス博士はいった。子どもたちと妊婦を避難させることが、そしてすべての住民にとって健全な食品が入手可能になることが不可欠である。
日本人たちは、「ヒポクラテスの見張番」、つまり5年以上も前から平日に欠かさずWHOのジュネーブ本部に向かい合って立ち、世界のあらゆる人びとに可能なかぎり高いレベルの健康を保証する職権を果たせと要求する「WHOの独立のために」グループの活動家たちを訪問した。WHOは、放射線の健康に対する影響を扱う部門をもたないのである。この機関は責任を放棄し、核ロビーの方針を是認していて、それ自体が核保有諸国に支えられている。(写真参照)
WHO独立のために」グループ
ヒポクラテスの見張番」を訪問する井戸川克隆・双葉町長
健康に関する特別報告官、日本訪問へ
日本からの訪問者たち、告発会合を開催した言論・表現の自由を守る会 JRFS)などのNGO、双葉町長のジュネーブ訪問を支援したACSIR市民と科学者の内部被曝問題研究会)、日本弁護士連合会といった他の団体の取り組みは、すでに実を結びはじめている。日本に対するUPR(普遍的定期審査)のさい、「福島地域に居住する住民の健康と生命に対する権利を保護すること、およびそれに関連して健康に対する権利に関する特別報告官の訪問を保証すること」という勧告が採択された。その結果、特別報告官、アナンド・グローヴァー氏が1115日から26日にかけて日本を訪問すると発表した。ACSIRは、当該地域における放射能汚染に関して格別に憂慮を表明する書簡を特別報告官に発送したばかりである。去る5月、ACSIRの会員たちが「WHOの独立のために」グループが開催したフォーラムに参加したことが思い起こされることだろう。
今回の訪問は、かくも多くの生命に対する核の脅威に終止符を打つための相互連帯、そしてとても多くの団体の関与を象徴するものであり、これにわたしたちの会合主催者たちと「ヒポクラテスの見張番」参加者たちはとても深く感動した。
WHOの独立のために」
オディル & ジョージ・ゴードン=ルノックス
Odile and George Gordon-Lennox, IndependentWHO
翻訳:「ふくしま集団疎開裁判」の会、井上利男

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