【アクション告知】

■ 新宿アクション (第4の土曜日開催)
   日時: 11月25日 16時00分~(約1時間)  (開始時間を変更しました)
   場所:JR東口 アルタ前広場
   内容:街頭宣伝

■ 上映会 映画「知事抹殺」  => ここから (予約頂けると有難い) 
   日時: 12月9日 (1回目):13時30分~ (2回目):15時30分~
   場所: 渋谷 光塾 アクセス => ここから

■ 官邸前アクション (毎月19日を予定)
   日時: 12月19日 (時間未定)
   場所: 官邸前
   内容: 抗議

2013年1月24日木曜日

【報告】1.21福島の子どもらの衣類と頭髪の汚染調査と東電マニュアルから見えてきた報告書を提出



吉田邦博さんについて
南相馬市在住の吉田邦博さん(安心安全プロジェクト代表)は、「市民と科学者の内部被曝問題研究会」のメンバーとして、これまで、モニタリングポスト検証チームの中心メンバーの一人として、文科省が福島県に設置したモニタリグポストの測定値について検証して、昨年10月5日、記者会見をおこないました(以下がその映像。その会見報告は->こちら)。


また、昨年暮れに放送された、第2ドイツテレビ(ZDF)の番組「フクシマの子供たちの放射線障害」で取材を受けた吉田さんが登場します(以下の1分~)。



その吉田さんが、東京電力第一原発事故が福島県でどのような放射能汚染をもたらしたかを、
①.事故前に東京電力が作成し、原発作業員に渡してきたマニュアルを通して
②.福島の子ども等が着ている衣類と頭髪の汚染調査を通して
はっきりと見えてくることを明らかにした書面を作成し、裁判所に提出しました。
それが、以下の報告書(甲205)です。

PDFの全文は->こちら

  *************************************
報告書
環 境 汚 染 を 調 べ て 見 え て き た も の
 
2013年1月20日

安心安全プロジェクト
吉田 邦博

目 次
1.略歴                                    
2.福島県を測定して見えたこと
3.東京電力のマニュアルから見えるもの――福島県の多くは管理区域C 区域以上――
    3-1.管理区域とは
   3-2.管理区域境界線とは
   3-3.事業所境界線
   3-4.管理区域区分
   3-5.管理区域内での衣類装備について
   3-6.電離放射線健康診断(電離検査)
   3-7.管理区域と汚染地の比較
4.福島県農業試験センター発表のデータから
   空気中の塵に含まれる放射性物質の有無                 
5.環境汚染調査                                
   5-1.衣類の汚染調査
   5-2.頭髪の汚染調査
6.環境汚染調査結果報告――ベクレル(Bq)から考える――             
7.使用機器の紹介                               
終わりに 
                                  
 1.略歴 
昭和53年4月~ 東京で建築関係の仕事を自営。
平成元年 6月  東京から南相馬市に移り住む           
平成19~20年  東京電力福島第二原発で下請け会社の作業員として勤務
平成23年3月  赴任先の福島県広野町にて東日本大震災に遭遇
平成23年4月  福島第一原子力発電所事故による被災地の広野町より
         南相馬市にてボランティア活動を開始
平成23年7月     放射線の影響を危惧し安心安全プロジェクトを設立
         京都精華大 山田國廣教授、日本環境学会 畑明郎先生より
除染のレクチャーを受ける
平成23年8月  低減率70%以下を基準にした除染活動を開始
         除染場所:保育園4カ所、個人宅9カ所
         岐阜環境医学研究所所長・座禅洞診療所所長 松井英介先生より
             放射線医学のレクチャーを受ける
平成23年11月  国内外の放射線の影響について調査開始
平成24年10月  モニタリングポスト数値の異常を
          市民と科学者の内部被曝問題研究会と共同で発表
         衣服の汚染調査開始
平成24年11月  国連人権理事会 特別報告アナンド・グローバー氏から調査報告依頼
を受ける


.福島県を測定して見えてきたこと
この報告書は、東京電力第一原発事故が福島県でどのような放射能汚染をもたらしたかを示すものです。事故以前と事故以後とを比較することによって、事故がいかに深刻な重大な放射能汚染をもたらしたかが分かります。それが東京電力が事故以前に作成し、原発作業員に渡してきたマニュアル「放射線作業と遵守事項」(甲215.2001年に一部改訂。以下、本マニュアルといいます)です。

 事故以前、東京電力が原発作業員に渡してきた本マニュアルでは、放射能汚染程度に応じて様々なエリアに分け、作業員を内部被曝させないために高性能なマスクをさせるなど、放射線被曝から徹底的に防御するように指導してきました。
 本マニュアルのエリア区分によれば、事故後の福島県の多くの地域は管理区域のC区域に相当します。このエリアで作業を行なう作業員は、8頁の写真のような装備を義務づけられています。しかし、事故後、福島県の大半の地域はこのC区域に相当するにもかかわらず、そこに住む住民は、このような装備はおろか何の防護も指導されず、事故前と変わらない日常生活を送っているというのが現状です。

また、福島県中通りの切干大根から高濃度の放射性セシウムが検出された問題で、平成24年10月に発表された福島県農業試験センターの「平成24年度農業分野における放射性物質試験研究成果説明会」資料(甲192)は、高濃度の放射性セシウムの原因として放射性物質が大気中に飛散していることが報告しました。この報告によると、高さでの違いはあるものの、空間線量と空気中の放射物質の含有量は比例していません。つまり、空間線量が相対的に低いとされている場所であっても、大気中のチリとなって浮遊する放射性物質の量が多いことがあり得るということです。しかし、現在、福島県内の学校では、放射性物質からの防護策としてのマスクは必要ないと指導しています[1]。その結果、子どもたちは知らない間に呼吸によりチリとともに放射性物質を体内に取り込んでいる恐れがあります。いま、この切干大根のケースから、内部被曝をもたらす体内に取り込まれる放射性物質の問題に注目する必要があります。この問題を明らかにしようとしたのが衣服と頭髪の放射能汚染調査です。

 衣服と頭髪の調査では、放射性物質が大気中に存在する環境にあって、常に身体に密着している衣類・頭髪がいかに汚染されているかを明らかにしようとしたものです。
 中学生の衣服の調査で、普段着一式から0.7~0.8μSv/hの被曝が予想される、という結果が出ました。これでは学校をいくら除染しても衣服からの被曝からは逃げることはできません。ただでさえ高い空間線量の中で暮らす子どもたちにさらに加わる衣服からの放射線被曝の影響は深刻に考えなければなりません。なぜなら衣類の汚染は、身体に密着しているという意味で内部被曝に準じて考える必要があり、空間線量よりもはるかに影響が大きいと考えられるからです。
以上の現状に対して、放射線防護に関する法的な基準に依拠するならば、高性能のマスク、何重にも重ねた防護服を装着し、靴下は2重にし、手袋を3重に重ねて子どもたちを登校させなければならないでしょう。しかし現実の状況は、原子力発電所なら1日10時間までしか働いてはいけない放射線量の場所で、妊婦や子ども達が何の防護もないまま毎日、日常生活を送っているのです。


.東京電力のマニュアルから見えるもの――福島県の多くは管理区域C 区域以上――
 以下、東京電力は事故以前に作成し、原発作業員に渡してきた本マニュアルで、不要な放射線被曝をしないように、どのような放射線防護を指導してきたかを紹介します。
3-1.管理区域とは
本マニュアルによると、
  ・法令で実効線量当量が1週間に0.3mSv(1.78μSv/h)を超える恐れのあるところを管理区域とする。
※管理区域での労働は1日1mSvを超えてはならないと指導している。
  (我々は労働者ではない一般人は法で定めている年1mSvでなければならない。)
※管理区域には1日10時間以上入所してはならないと指導している。
  (被害者は24時間である。)
※体の表面に放射線物質が付着すると、それから出る放射線で更に被曝が増え、ケガを
  すると傷口から体内に取り込む恐れがあると指導している。
(被害者達には、何も放射線の教育も防御の知識も与えておらず、したがって、衣服の被曝が、どのように危険か、そして、怪我をすると内部被曝の危険があることすら知らない。)

3-2.管理区域境界線とは
  ・管理区域境界線とは実効線量が3ヶ月で1.3mSv(0.6μSv/h)とされている。
※管理区域には18歳未満は入所させてはならないと定めている。
  (妊婦を含めた多くの未成年者がこの線量の中で生活している。)
※管理区域境界線には、管理区域であることの標識を表示し立ち入りを制限しなければ
  ならないと定めている。 
(街中にいくらでも同じ放射線量の所があるが標識どころか、立ち入りが自由にできる。20Km内に入れないようにしているだけである。)
※管理区域での喫煙、飲食は禁止されている。
  (何も禁止されるものはなく、寝泊まりすることなど考えられない。)

3-3.事業所境界線
  ・管理区域を持つ事業所の人を立ち入り制限をしなければならないが(受付守衛所)、
   3ヶ月で250mSv(0.11μSv/h)と定めている。
※被曝労働者の作業時間外を含め、一般人は年間1mSv以下であり(0.11μSv/h)、法でそれを守るよう定めている。
  (世界的には放射線による影響にはしきい値がないとされ、年間1mSvが一般人の許
  容範囲とされている)


 











周辺防護区域の外側にしか、居住施設は作れない。
関東から北側の東北を含めた多くの地域が、周辺防護区域以上の放射線量となり、本来、居住エリアとしては認められない場所にあたる。

3-4.管理区域区分
管理区域の区域分け
・管理区域は、放射線レベルによるものと汚染密度の双方で厳格に区分され、人体が放射線をできるだけ受けず体内に汚染物質を取り込まないように徹底されている。
※放射線量より汚染密度が高いほうが危険と考えている。 
(チェルノブイリ法で定めた土壌の汚染による避難の概念と一致する。)


では、以上の管理区域区分を福島原発事故による放射能汚染状況を当てはめてみるとどうなるでしょうか。
次頁の。文部科学省やアメリカの科学アカデミーの発表セシウム沈着量マップから見ると、ほとんどの福島県、宮城県南部、群馬県沼田市、栃木県日光市、千葉県柏市、茨城県北部、岩手県と宮城県県境などが放射線管理区域C地区以上の汚染と確認できます。
しかも、原発爆発直後は福島県の多くの地域がD地域であった可能性があり、文部科学省の報告などでそれを確認できます。D区域とは、後に説明します重装備が必要とされる区域のことです

3-5.管理区域内での衣類装備について 
通常時に東京電力が用意している装備では、内部被曝を避けるための装備、放射性物質を外に持ち出さないようにするための装備と手順を指導している。(外部被曝については、防護のための装備は規定されていない。)

汚染区分
装着する装備
A
B帽子、B軍手、B靴下、一般服もしくはB服、B靴(青)
B1
B2
B帽子、B軍手、B靴下、ゴム手袋、B服、B靴(黄)履き替え
C帽子、綿手袋、ゴム手袋2重、靴下2重、C服、場合によってはC服の上にタイベック、水を使う場合アノラック(カッパ)、タイラック
C帽子、綿手袋、ゴム手袋2重、靴下2重、C服、場合によってはC服の上にアノラック(カッパ)、タイラック
B区域には2通りあり、B1:0.04Bq/c㎡未満、B2:~4Bq/c㎡


上の写真がC区域の装備である。どちらも外部被曝は防げない。
外に放射線物質を持ち出さないようにするためと、皮膚や頭髪、衣類に付着させ長い時間を過ごすと余計な被曝をするために完全な防備となる。
内部被曝からの防護のために、写真のようなマスクをさせている。放射線汚染地域でこのような装備は一切無いため、衣服や頭髪の汚染が進んでいる。
多少の内部被曝でも危険があるため、作業環境によってこのようなマスクを装着することになっている。建屋内には、風は吹かないため汚染物質が舞い上がることは少ないが、通常、屋外では汚染物質が風によって舞い上がり、住民はそれを吸引する。それは内部被曝を意味する。
原発労働者は、ホールボディカウンターだけでは内部被曝を検査しきれないため、電離検査という検診も行われる(P.9表)。
D区域の装備


 福島県浜通りや福島第一原発よ30Km圏外でも管理区域のD区域に値する数値があったことを示すデータ[2]が文部科学省より発表があり確認されています。


3-6.電離放射線健康診断(電離検査)
電離放射線健康診断(電離検査) 電離放射線の健康診断項目
(「電離放射線障害防止規則」で6ヶ月に1度義務付けられている)
1
被ばく歴の有無の検査
2
白血球数及び白血球百分率の検査
3
赤血球数及び血色素料又はヘマトクリット値の検査
4
白内障に関する目の検査
5
皮膚(爪を含む)の検査
白血球、赤血球などの検査のみならず、目や皮膚への影響も想定されている。

「電離放射線(被曝)で起きる健康障害は、放射線を受けた直後~数日以内に起こるものと、受けてすぐには発生せず、数週間~数年経過してから発生するもの、上に挙げた奇形や流産のように、次の世代に影響が出るものの3つのタイプがあります。
あざができやすくなる。貧血や、感染症への抵抗力が低下して風邪をひきやすくなる。不妊の原因となることもあります。発がん性や特に白血病の発生率が高くなります。予防保健協会調べ 電離放射線健康診断から予防保健協会調べ 電離放射線健康診断から」(予防山口県保健協会「電離放射線健康診断」[3]より)

3-7.管理区域と汚染地の比較
原発事故の被害地の多くはC区域以上にあたり、本来なら管理区域とされ、標識を立て、一般人は入ることすら許されないエリアです。管理区域に入る場合は、放射線の影響に対する防御など様々な教育を受けていなければなりません。管理区域内には10時間以上いてはならないし、肌の露出は極力抑え、ケガなどしないようしなければなりません。タバコや飲食も内部被曝の恐れがあるため禁止となっています。トイレも防護服やマスクをはずさなければならないため、管理区域外に行かなければなりません。
原発事故によって、広範な地域がこのC区域以上になっています。本来なら立ち入りを禁じられるはずの汚染の中に、放射線防御に対する指導もされることなく、防護服も高性能のマスクもなしに、多くの人びとが生活することを強いられているのです。
更に、放射線業務従事者は、その健康管理のために毎日の被曝の管理と6ヶ月ごとの健康診断と電離検査(30年保管管理)、内部被ばく検査などによる健康管理が義務付けられています。
管理区域では、現在シーベルトで示されている空間線量より空気中と物体のベクレルで示される汚染密度を重要視しています。それは被害地を土壌の汚染によって、エリアを管理しなければならない事を意味し、大雑把な空間線量だけで管理することが適切ではないことを示します。
また、外部被曝より内部被曝を重視し、少量の汚染でも高性能のマスクの着用を義務付けています。喫煙や、食事などを禁止しているのはそのためです。
さらに、現在、国は被災地の一部の子どもにだけ、ガンマ線だけしか測れない積算放射線量計を付けさせていますが、原子力発電所ではC区域以上では、すべての人間にベータ線・ガンマ線双方を測定する積算放射線量計を渡し、より正確な被曝線量を計測し管理しています。これは ベータ線が人体に影響を与える影響があることを証明するものです。
 また、衣類などに付着してしまうと更に余計な内部被曝や外部被曝を加算することになるため、何重にも衣類を重ね着替えることで、余計な被曝と汚染の拡大を防ぐよう指導しています。
しかし、上記のように、原子力発電所で定めている管理区域で必要とされてきた防護策は、同じ汚染密度の原発事故の被災地の地域では全く配慮されていないのです。


.福島県農業試験センター発表のデータから――空気中の塵に含まれる放射性物質の有無――
福島県農業総合センターが平成24年に行った研究―汚染されていない大根で切干大根を作る過程で、屋外で干した大根に放射性物質が付着した―は、空気中の汚染は空間線量とは関係ない事を示し、東京電力福島第一原発から30Km圏外でも空気中の汚染が深刻であることを示しています。

*福島県農業総合センター「平成24年度農業分野における 放射性物質試験研究成果説明会資料[4]」(甲192の2)より

福島県農業総合センターの実験で切り干し大根を作る過程での放射線物質の付着が認められました。空間線量と大根の汚染は比例していません。

干した場所 
空間線量(μSv/h)
切り干し大根の汚染(Bq/kg)
①松の木の樹幹地表  
1.8
220
②乾燥小屋地
0.5
892
③鉄筋ビルの軒下地表  
0.6
3421
④乾燥小屋地表1
0.5
165
⑤乾燥小屋地表2m    
0.5
90

⑤の「乾燥小屋地表2m  0.5μSv/h  90 Bq/Kg」の放射性物質を食物の経口と吸入で人体への影響を比較してみました。

ICRP Publ.72の係数使用
http://www.icrp.org/publication.asp?id=ICRP%20Publication%2072
セシウムの比率を セシウム137とセシウム134 6:4と考えて計算。
      食物の経口摂取として計算:90Bq=1.386μSv
           吸入として計算:90Bq=2.826μSv

ICRP(国際放射線防護委員会)の食物の経口摂取と呼吸による吸入の影響を算出するための係数は、呼吸による吸入の影響を大きく見積もっています。呼吸による内部被曝の人体への影響は大きいという認識です。切り干し大根に付着したものと同量のセシウムを、呼吸により吸入したとすると、食物として経口摂取したときよりも2倍以上の被曝量となります。



.環境汚染調査
5-1.衣類の汚染調査
本マニュアルでも衣服の放射能汚染は、被曝量の増加につながるため、極力減らす対策を取るよう指導しています。
では、現在、福島県の衣服の汚染はどの程度なのか、それはどの程度の影響を人体に与えているのか、福島県郡山市、南相馬市で調査してみました。

結論として、室内で洗濯物を干したり、コインランドリーの乾燥機で乾かすなど、涙ぐましい努力をしても、その効果はなく、衣類の汚染はかなり酷い状況であることがわかりました。

※注:写真の測定画面の日付や時間は測定ソフトの性質で実際の測定日や時間とは関係ない日付が表示されているが、測定日は写真上の表記通り。

    私の衣類
(1)、去年も着ていた長袖Tシャツ(右の写真)(測定日2012年9月22 日) 
測定結果:放射性セシウム 134と137の合算で130.7 Bq/1枚

 
(2)、同じTシャツ(前回測定後、肌着として使用、洗濯を3回繰り返した)(測定日2012年11月18 日) 
測定結果:放射性セシウム合算で173.65Bq/1枚(前回の測定130.7Bqから42.95Bq増加)


 
    山市の子どもの服や下着計測
(1)、(小学校高学年着用外で干したパーカー(右の写真)(測定日2012年11月28日)
測定結果:放射性セシウム合算40.76 Bq/1枚



(2)、小学校低学年着用室外で干した肌着(右の写真)(測定日2012年11月28日)
測定結果:放射性セシウム合算6.93 Bq/1枚





(3)、小学校低学年着用室内で干した肌着(測定日2012年11月28日)
測定結果:放射性セシウム合算8.5 Bq/1枚
 
(4)、新品のシャツ2枚を他の洗濯物と一緒に5回洗ったもの(測定日2013年1月15日)
測定結果:放射性セシウム合算で、シャツ1枚あたり22.28 Bq



(5)、(中学生着用)ナイロン製ジャージ(※ 右の写真)(測定日2013年1月15日)
測定結果:放射性セシウム合算で 114.02Bq /1枚

※ 一般には放射性物質が付きにくいといわれている。
一般的にはこのようなナイロン製の表面がツルツルした衣類を着ている場合、室内に入るときに 服の埃を払うと良いと言われたりしましたが、セシウムの付着は払い落とせるようなものではなくなっています。ジャージ上下で同様の汚染であれば、放射線の影響は倍になり、下着からも検出されています。

(6)まとめ
今仮に、この中学生が以上のすべての服(肌着、Tシャツ、ジャージ上下、パーカー)を着ていた場合にどれくらい放射能汚染されているでしょうか。各の衣類の値を合算すると、
22.28(下着シャツ)173.65(長袖Tシャツ)114.02×2(ジャージ上下)40.76(パーカー)464.73
464.73 Bqの物を身につけているということになります。居住地の空間線量に加え、この数値から身体が受ける放射線量が加算されることになるのです。しかも現実には、さらに、パンツ、靴下、頭髪の汚染も加わります。

 
5-2.頭髪の汚染調査
南相馬市の市民の頭髪。市内の理髪店で採集(測定日2012年10月 11日)
測定結果:放射性セシウム合算130.37 Bq/Kg

頭髪が100gであれば13.037Bq、やや長めで200gとすれば26.074Bq程度の放射性物質を頭に載せているということになります。女性のロングヘアであれば1Kgを超える場合もあるでしょう。1Kgであれば、シーベルトに換算すると、0.24μSv/hの放射性物質を頭に載せて生活していることになります。
リンスを使うと放射性物質がより結合しやすくなるといわれています。
理髪店で採集した頭髪をシャンプーで除染しようと試みましたが、シャンプーではなかなか落ちません。微量放射能測定装置 FNF-401での測定下限値にまで数値を下げるには、食器用洗剤が有効でしたが、現実にこの方法は使えません。


.環境汚染調査結果報告――ベクレル(Bq)から考える――
今までのデータからベクレル(Bq)をどう考えるかが、ポイントになります。
ベクレル(Bq)は1秒間に崩壊する放射性同位体がどれくらいあるかを表わしている単位です。
カウント・パー・セコンド(cps)は1秒間に検出器に何個の放射線が検出されたかという単位です。
両者の関係はさしあたり1Bq=1cpsといえます。また、セシウムはガンマー線で測定されますが、セシウムは崩壊の過程で、ベータ線を出します(*出典:放射線影響研究所[5]
内部被曝を計算する上では、ベータ線による人体における影響を考えることが必要不可欠であり、東京電力の指導でも、C区域以上ではベータ線とガンマ線両方の放射線積線量計を持たせています。
政府は地上1m地点で空間測定を行っていますが、政府が設置している機器、あるいは一般的に使われている放射線測定器の多くは、シンチレーションタイプで、これはベータ線はほとんど測定できません。
また、地表面にある放射性物質の崩壊で出るベータ線は、そのほとんどが1mの距離まで届かないため、もしベータ線を測れる機器であったとしても、地上1mでは測定が困難です。
しかし、内部被曝については、飛距離が短く体内に取り込むと人体に深刻な影響を与えるベータ線を無視することはできません。人体への影響を精確につかむためには、ガンマ線とベータ線の両方を測定する必要があります。セシウムは1回の崩壊で2本以上のベータ線を出すため、1Bq≒2cpsとなり、これを1時間で考えると2cps×60秒×60分=7,200cps/時間(h)、すなわち、1Bqは内部被曝の場合、1時間に7,200本以上の放射線の影響を受けるということを意味します。

汚染した衣服は、身体に密着しているため、限りなく内部被曝に近い外部被曝と考えていいでしょう。先の衣服の汚染調査の中学生のケースで、測定した衣服の数値443.21Bqに頭髪の測定結果の短めの毛髪量26.074Bqを合算した値は469.247Bqとなります。
そして、上記の測定値にベータ線を加え、1時間で換算すると、
469.247Bq×2(ベータ線を加える)×60秒×60分=3,378,578.4cps
となる。ガンマ線1本の放射線で2万個の分子の切断をするともいわれ、この数値は非常に大きいものです。
たとえば、衣類、頭髪の合計で500cpsだとすると、日立アロカでの計測では0.8μSv/hとなります。
そこから考えると10時間では8μSv、24時間では19.2μSv、1ヶ月では576μSv、1年では6,912μSv=6.912mSv となります。その服を着ているだけで、単純計算では、年間で約7mSvの放射線を受けていることになります。つまり、学校や公園だけを除染して数値を下げたとしても、衣服や頭髪からこれだけの数値の放射線を受け続けているのです。

参考 シーベルト換算
日立アロカTcs-172BでのcpsとμSv/hの関係  


100cps≒0.13μSv/h
130cps≒0.24μSv/h
500cps≒0.8μSv/h
2000cps≒2.7μSv/h


.使用機器
 今回の測定にあたっては、以下の機器を使用しました。
●日立アロカTCS-172B
Thermo RadEye B20ER
POLIMASTER PM1710A
● 応用光研工業株式会社 微量放射能測定装置: F N F – 401


終わりに
放射能はどんなに微量でも、確実にDNAを傷つけるものであるということは、国際的にも常識となっています。しかし、現在、様々な放射線による影響は過小評価されています。
 福島第一原発事故以前は危険とされ、法的に厳重に規制されていたことが、事故以後は多くの住民は事故以前は立ち入ることを法的に禁じられていたような放射線汚染地域で、何の防護の手段さえも講じられず、日常生活を送っています。つまり、放射線被災地の住民には被曝から防護するための法律が適用されないという不平等が起きているのです。これは明らかに何の根拠もない差別です。
国は原発事故による被害を住民に押し付けるのではなく、事故以前と同様に、生命や健康をすべての国民に対し平等に公平に実現すべきです。国はすべての国民に対して、健康的で安心できる環境で生活する権利を保障すべきです。ましてや、放射能に対する感受性が高い子どもについては言うまでもありません。裁判所にそのような判決を強く期待するものです。
以 上


[1](独)日本原子力研究開発機構作成の資料「放射線に関する御質問に答える会」14頁に「普通の生活で、内部被ばく防止のため、マスクをする必要はありません。」と記載。
[2] http://radioactivity.mext.go.jp/ja/contents/5000/4764/24/1750_1215.pdf
[3] http://www.yhoken.jp/htm/denri.htm
[4]http://www4.pref.fukushima.jp/nougyou-centre/kenkyuseika/h24_radiologic/121029_siryou.pdf
[5] http://www.rerf.or.jp/radefx/basickno/whatis.html

2 件のコメント:

  1. 放射線の管理区域区分が図入りで、とても判りやすい。更に全ての説明が具体的で、説得力がある。
    こうした情報を全国民が理解した上で、自らの行動を決める必要を感じる。
     津波教育をされていた小学生が家族を高台に避難することを促し難を逃れたとの報道があったが、小・中学生にこれを教材に放射線教育をすれば、家族も救われるのだろうと思っている。

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  2. 衣類から出る放射線は全て人体に当たるわけじゃないですよね?衣類は表と裏があり裏側に出た分は体に当たりますが、表に出た分は空中に出て行きます。よって人体に影響する数値は半分以下になるのでは?

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