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2016年4月26日火曜日

今日でチェルノブイリ原発事故から30年:福島原発事故を経験した私たちの未来は、原発事故の起源=チェルノブイリにある。「チェルノブイリの犯罪」を「福島の犯罪」としてくり返してはならない。

 柳原 敏夫
チェルノブイリ原発事故から30年目の今年、次のことを訴えたいと思います。

今から30年間、旧ソ連、現在のウクライナとベラルーシの国境付近にあったチェルノブイリ原子力発電所で事故が発生しました。
チェルトコフチェルノブイリの犯罪によれば、この原発事故は次のことを意味します。

・チェルノブイリ原発のうち一基で実施された40秒足らずの実験で、ヨーロッパ全土を人が住めない土地に帰するほどの大惨事になる可能性があったこと。
・その大惨事を防いだのは、
事故直後のチェルノブイリ上空をヘリで飛び、原子炉の土台の下に液体窒素を注入することで大惨事を防げると突き止めた1人の科学者(ヴァシーリ・ネステレンコ)と、
ヴァシーリ・ネステレンコ

その科学者のプランを実行するために灼熱と高濃度の放射能地獄の現場に送られた何万人の炭鉱夫たち(リクビダートル〔後始末をする人という意味〕と呼ばれた)の尽力によるものだったこと。

http://www.belarusguide.com/chernobyl1/liquidators.htm
 しかし、
その科学者に与えられたのは、それまでの所長の地位解任とKGBによる二度の暗殺計画だった。
彼は「パニックを煽るろくでなし」と警告されたにもかかわらず、放射能を感知する器官を持たない汚染地の住民たちが無防備なまま取り残されているのに対し彼らの保護を訴え続けたから。
他方、原発事故から欧州大陸を救った何万人の炭鉱夫たちに与えられたのは、事故被害者の統計から除外され、「存在しないもの」として扱われることだった。
この抹殺政策の中で、彼らの若者の殆どが身障者となった。多くは30、40代で命を落とした。

なぜこのようなことになったのか。
国際原子力ロビー(IAEAの事務局長ブリックス)は事故直後から断言していた、チェルノブイリのような事故が毎年起こっても我々はびくともしない、と(アレクセイ・V・ヤブロコフの証言)。
このとき、原発事故の収拾のシナリオが作られた。それが直ちにチェルノブイリに適用され、事故とその被害は徹底的に小さくさせられた()。

そのシナリオは、その後の原発事故にも適用されることになった。それが福島原発事故だった。
もちろん今後発生する原発事故にも適用される。川内原発でも伊方原発でも浜岡原発でも、どこで原発事故が起ころうとも我々はびくともしないから。
そのシナリオによれば、汚染地の大多数の住民は事故被害者の統計から除外され、「存在しないもの」として扱われる。なぜなら「チェルノブイリ・福島のような事故が毎年起こっても我々はびくともしない」のだから。
今、日本で粛々と進められている帰還政策、これは原発事故の被害者はすみやかに「存在しないもの」として扱われるシナリオに沿った想定通りの展開だ。

しかし、これはまごうことなき犯罪ではないか。人道上、最も卑劣な、最も残酷な犯罪ではないか。
いま、この犯罪が福島原発事故で被ばくした、放射能を感知する器官を持たない住民たち(避難した人もしていない人にも)に襲いかかっている。

もしこのような犯罪がまかり通るとしたら、人類は既に滅亡しているのと同じではないか。
命ほど大切なものはないという私たちの価値観は到底この犯罪と両立することはできない。
命を守るために、私たちは、この犯罪の撲滅に立ち向かうしかない。
福島原発事故の犯罪を撲滅するために、私たちは、この犯罪の起源である、30年前に始まり今なお継続中の「チェルノブイリの犯罪」に注目し、この撲滅と取り組む。

「チェルノブイリの犯罪」は、2011年3月、ICRPからのお見舞い勧告以来、「福島の犯罪」としてくり返されており、将来、日本と世界のどこかで必ず起きる「原発事故の犯罪」としてくり返される。

だから、これは全世界の問題です。
先ごろ、「チェルノブイリの犯罪」を知っているトルコの人たちは、トルコの黒海沿岸に建設予定の原発の中止を求めるデモを行ないました(->日本の真実は報道しないが世界の真実は時たま報道するNHKニュースより)。
 このデモの参加者は、先月下旬来日し、日本、ウクライナをはじめとする世界中の市民と交流・連帯の機会を持ち、「チェルノブイリの犯罪」と「福島の犯罪」をじかに聞き、これをトルコでくり返してはならないと決意を新たにして帰国しました(「核と被ばくをなくす世界社会フォーラム2016」)

このように、全世界の市民が連帯して、国際原子力ロビーのシナリオを告発し、撤回させる必要があります。
それは全世界の大人の責務です。子どもの命を守りたいと思う世界中の人々が参加して、ヴァシーリ・ネステレンコの遺志を継ぎ、史上最悪の犯罪の阻止を実現しようではありませんか。


 ()それはチェルトコフの映画「真実はどこに?」とチェルノブイリの犯罪につまびらかにされている。 

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