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2013年5月15日水曜日

【抱負】次はデモ、そして第二次疎開裁判、同時に避難プロジェクト。私たちはどんなむごい境遇でも決して自分の心を失わない「大地の子」

 あなたのアクションが間違った判決をただします->今すぐ、判決直後アクションに参加を!

                                          弁護団 柳原敏夫
                           
緊急の救済を求める仮処分事件の二審(高裁)で、これほど長期化した裁判を経験した者は私はもちろん、弁護団も日本の法律家もいなかったと思われます。通常なら、高裁に異議申立(即時抗告)をして2,3ヶ月で結論が出るから、2011年暮れに仙台高裁に異議申立をした疎開裁判も昨年春には結論が出るだろうと覚悟して、やれることは全てやろうと疎開裁判と同時進行で、世界市民に向け、世界市民法廷を開き、訴えてきました。
その結果、「事実は小説より奇なり」「理論は灰色で現実は緑だ」の言葉とおり、想定外の展開が次々と起こり、通常より1年以上もかかってしまいました。しかし、だてに1年が過ぎたわけではありません。判決にはこの1年間に私たちが主張した事実、提出した証拠がことごとく採用されました。

今年1月21日に3回目の裁判(審尋)で審理が終了した時点の予想では、判決が出るまでのロスタイムは3週間でした。しかし、実際は3ヶ月以上も要しました。4.24仙台高裁判決が出るまでの間、じりじりする中で、私は初めて、日本のドラマ「大地の子」を観た。3.11以来、日本のドラマは観る気にもなれなかったのに、初めて「こいつは俺のために作られたドラマだ」と思える日本で最高のドラマに出会いました。日本で最高の役者(上川隆也)にも、中国で最高の役者(「變臉 この櫂に手をそえて」の朱旭)にも出会った気がしました。そのとき、私たちはどんなむごい境遇でも決して自分の心を失わない「大地の子」でありたい、なりたいと思いました。どんなむごい境遇でも自分の心を失わないこと--それは3.11以後に生きるために必要な私たち人間の条件だからです。

君たちの命は危ない、しかし君たちを救う必要はない、と--「人間であることを否定された」にひとしい残忍酷薄な判決を受けたからといって、その運命に甘んじることはできない。生きる以上、私たちは「人間であること」をどうしてもやめることはできないからです。むしろ、これまで以上に大地に根を張って、「大地の子」として、「人間であること」を認めさせる次のアクションに出るしかありません。
それが、今週土曜日の新宿デモ、そして第二次疎開裁判、同時に避難プロジェクトです。

以下は、デモに向け、そのことを語った私の抱負です。

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      4.24仙台高裁判決の教訓と避難プロジェクトのスタート

4月24日の仙台高裁判決で最も注目すべき点は、事実認定で、福島原発事故の低線量被ばくにより福島の子どもたちはどのような健康被害を受けるのかについて、以下のように全面的にチェルノブイリ事故と対比し、《チェルノブイリ原発事故後に児童に発症したとされる被害状況に鑑みれば、福島第一原発付近一帯で生活居住する人々とりわけ児童生徒の生命・身体・健康について由々しい事態の進行が懸念される》と初めて表明したことです。
福島第一原発と同レベルの重大な原発事故とされる旧ソビエト連邦において昭和61年に発生したチェルノブイリ原発事故においては、事故発生の五、六年後から 甲状腺疾病と甲状腺腫双方が急増し、9年後には児童10人に1人の割合で甲状腺疾病が現れたとの報告がある(49)。そして、チェルノブイリ原発事故による健康障害調査データから郡山市で今後発症するであろう種々の健康障害(晩発性障害)の予測として、先天障害の増加、悪性腫瘍の多発、1型糖尿病の増加、水晶体混濁・白内障、心臓病の多発を指摘する意見もある(72)。                              
また、福島県県民健康管理調査検討委員会が発表した平成24年度甲状腺検査の検査結果とチェルノブイリ原発事故後に行われた小児の甲状腺検診データとを対比して、福島の児童には被ばくから数年後のチェルノブイリ高汚染地域の児童に匹敵する頻度で甲状腺癌が発生し、甲状腺癌が今後激増するおそれがあるとの指摘もある( 227)》(10頁ウ)
この事実認定から導かれる正しい教えは「チェルノブイリ事故の悲劇を二度と福島でくり返さないこと」です。それは「今すぐ」子どもたちを安全な場所に避難させることです。
チェルノブイリ事故では世界標準である避難基準が採用されました。にもかかわらず98万人以上の貴い命が失われました(ヤブロコフ・ネステレンコ報告「チェルノブイリ被害の全貌」)。その最大の理由は避難基準が採用されたのが「事故後すぐ」ではなく5年も経過してからで、その間子どもたちは被ばくし続け深刻な健康被害が発生したからです(甲148ウクライナ政府報告書2012923日放送ETV特集「ウクライナは訴える」)。避難が遅すぎたのです。   
他方、子どもたちの命は危ないと正しい事実認定をしながら、結論として、今すぐ子どもたちを安全な場所に逃がす必要はないとした仙台高裁の判決は、福島の学校安全基準を20倍にアップした文科省の児童虐待にお墨付きを与えるものであり、残酷な犯罪です。 
私たちは、この児童虐待、残酷な犯罪を告発し、ただすために第二次の疎開裁判を起こします。しかし子どもたちには時間がありません。現実に子どもたちを救うために、「子どもたちを安全な場所に避難させるプロジェクト」をスタートさせる必要があります。

仙台高裁判決でこれだけ画期的な事実認定を引き出しながら結論で負けたのは、まだまだ私たち一人一人が自分の良心に「自分は何ができるのか」「何をしなくてはいけないのか」を問いかけ、アクションを起こしていないからです。自分の仕事で、自分のミッションで忙しい、誰かがやってくれるだろうとお任せ気分の中にいるからです。しかし、チョムスキーがくり返し述べている通り()、子どもの命を守れるかどうかはエネルギー政策などの政策論とはそもそも次元が異なる、私たち一人一人が今すぐ最優先で取りくまなければならない道徳・倫理の根本問題です。
もし私たち一人一人が良心に目覚め、アクションを起こせば、必ず子どもたちの命を救うことができます。そのアクションがこれからスタートする「子どもたちを安全な場所に避難させるプロジェクト」です。これは日本のみならず世界中から誰もが参加し、協力し、貢献できるプロジェクトです。詳細は日の集会で発表します。是非、このプロジェクトに注目下さい。そして参加下さい。
                                      (文責 弁護団 柳原敏夫)

チョムスキーからのメッセージ
 「ふくしま集団疎開裁判」に個人的な支援ができることを光栄に思います。
社会が道徳的に健全であるかどうかをはかる基準として、社会の最も弱い立場の人たちのことを社会がどう取り扱うかという基準に勝るものはなく、許し難い行為の犠牲者となっている子どもたち以上に傷つきやすい存在、大切な存在はありません。日本にとって、そして世界中の私たち全員にとって、この法廷は失敗が許されないテスト(試練)なのです。」(Noam Chomsky 2012/01/12

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